本とITを研究する

「本とITを研究する会」のブログです。古今東西の本を読み、勉強会などでの学びを通し、本とITと私たちの未来を考えていきます。

時代を操る毒にも薬にもなる「神話」という魔術:『現代議会主義の精神史的状況』(カール・シュミット著)

某月某日、読書会初の試みとして、政治学を取り上げた。カール・シュミットといえば名著『陸と海と』があり、このイメージから、本文が100ページほどでAmazonにも在庫があったので、『現代議会主義の精神史的状況』が取りあげられることになった。読書会での…

おしらせ:6月29日(金)に「人にしっかりと伝わる アクティブ・ライティング入門」を開催します

好評のライティングセミナー、今月は29日(金)に開催します。言葉に積極的にかかわる書き方「アクティブ・ライティング」を学ぶ2時間のコースです。参加登録ページは以下です。 goo.gl 参加された方全員に、ライティングの要点中の要点がまとめられたカラー…

恐怖政治をもたらした自由と平等の革命:『フランス革命』(上・下)(アルベール・ソブール著、岩波新書)

人間に自由をもたらした革命。自由・平等・博愛の革命。もしくは、恐怖政治。マリー・アントワネットという無意識な人が好き勝手やっていた。ルイ十六世がダメだった。実はフリーメイソンの革命だった、など……。 フランス革命はいろいろな読まれ方があるが、…

セミナー・レポート:5月18日(金)開催、「はじめてのグラレコ・ミートアップ ~共創力を身につけよう~」 ~第6回 本とITを研究する会セミナー~

登録開始から数日で満席になり、その後も11人のキャンセル待ちになった人気セミナーのテーマは、「グラレコ(グラフィックレコーディング)」である。5月18日(金)、秋葉原のビリーブロード株式会社にて「はじめてのグラレコ・ミートアップ ~共創力を身に…

セミナー・レポート:5月11日(土)開催、「人にしっかりと伝わるアクティブ・ライティング入門」(後編)

セミナー・レポート後編では、Web記事の実例分析やワークショップを通して示された、実践メソッドをご紹介しよう。 「書く」技術を上げるポイントをまとめた三津田治夫講師作成の特別冊子も配布された。そばに置いて、繰り返し利用したい。 伝えるための媒体…

セミナー・レポート:5月11日(金)開催、「人にしっかりと伝わるアクティブ・ライティング入門」(前編)  

5月11日(金)、会議室MIXER(日本橋本町)にて、「人にしっかりと伝わるアクティブ・ライティング入門」が開催された。 ITの発達が、あらゆる人に「書く」必要性をもたらしている昨今、「書く」悩みを抱える人は多い。第4回分科会となるセミナーには、幅広…

「非宗教的な精神性」が組織と人類を豊かにする:『ティール組織 ~マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現~』(フレデリック・ラルー著)

英治出版の『ティール組織』は600ページ近い大著でありながら発刊早々で異例の3万部を突破したという、近年まれに見る話題のビジネス書だ。事業のイノベーションに参考になる例がありそうで気になるので、早速買って読んでみた。 まず、巻末の「本書に寄せて…

セミナーレポート:4月25日(水)開催、「新規事業を次々と生みだせるようになる講座(基礎編)」(後編)

(前編からの続き) 顧客の「課題」と「ジョブ」をあぶり出した例として、「ミルクシェイク」が取りあげられる。ミルクシェイクという一つの商品でも、顧客の置かれた状況や属性により、その意味あいはまったく異なってくる。たとえば車で通勤するビジネスパ…

セミナーレポート:4月25日(水)開催、「新規事業を次々と生みだせるようになる講座(基礎編)」(前編)

4月25日(水)、ビリーブロード株式会社神田イノベーションルームにて、「新規事業を次々と生みだせるようになる講座(基礎編)」が開催された。このセミナーは今年の2月と3月に産業技術大学院大学で2日間延べ14時間にわたり開かれたオープンキャンパス研修…

作家を育てた特殊な父子関係を手紙から読む(4) ~フランツ・カフカ著『父への手紙』 新潮社『決定版カフカ全集3』より~

本人にとっての最大の問題、結婚に関する記述が続く。 次では、父・自分・結婚の関係を、「牢獄」という言葉で比喩している。 ----- 譬えてみれば、牢獄につながれているのに、逃亡の意図ばかりか--これだけならもしかすると達成できるかもしれませんが-…

作家を育てた特殊な父子関係を手紙から読む(3) ~フランツ・カフカ著『父への手紙』 新潮社『決定版カフカ全集3』より~

前回からの続き。 職業と学問に関しては期待を持つべきではないという将来への予見を持っていたが、結婚の意義と可能性に関してはそうでなかった。なんとかなると思っていたから、カフカはたびたび結婚を試みた(が、残念ながらすべて婚約破棄の結果になる)…

作家を育てた特殊な父子関係を手紙から読む(2) ~フランツ・カフカ著『父への手紙』 新潮社『決定版カフカ全集3』より~

敏感な子供心は大人の矛盾をキャッチする。 しかしそれを言葉で口にすることはできない。 カフカの精神的プレッシャーは高まる。 ----- 「口答えはやめろ!」という嚇しと、そのさいに振りあげた手とは、すでに幼児期から付きまとっていました。......しかし…

作家を育てた特殊な父子関係を手紙から読む(1) ~フランツ・カフカ著『父への手紙』 新潮社『決定版カフカ全集3』より~

西洋文化を見渡すと、ツルゲーネフの『父と子』やモーツアルトの手紙、あるいはフロイトの精神分析においても、あちらこちらで「私-対-父」という構図が目に入る。 カフカという作家はその典型というか、父との関係と作家としてのカフカの精神構造が濃厚に…

4月7日(土)、印刷と出版の歴史を学ぶ「本とITを研究する会 大人の遠足編」をトッパン印刷博物館にて開催(後編)

エントランスの出版印刷史の展示・解説を終え、待望の印刷工房に移動した。工房では10人ずつ2班に分かれ、活版印刷を体験した。 ◎印刷工房の様子 工房内では印刷機と大量の活字に囲まれ、活字マニアにとっては垂涎の空間である。 ◎英アデナ社製卓上活版印刷…

4月7日(土)、印刷と出版の歴史を学ぶ「本とITを研究する会 大人の遠足編」をトッパン印刷博物館にて開催(前編)

4月7日(土)、本とITを研究する会初のフィールドワークとして、江戸川橋のトッパン印刷博物館で観覧勉強会を開催した。今回は「大人の遠足」ということで、おやつとドリンクを片手に、学芸員の解説に耳を傾け、活版印刷ワークショップに参加した。18時の閉…

西洋にそびえる巨大思想山脈に取り組んでみた:『現象学の理念』(フッサール著)/『存在と時間』 (ハイデッガー著)

会社の有休消化の1ヶ月を費やし、退職後初の読書ということで、『現象学の理念』(エドムント・フッサール著)と『存在と時間』(マルティン・ハイデッガー著)を読み終えた。おのおの、今回読んだのが3度目だが、ようやく1割は理解できたか、という感じ。以…

「日本人が言葉を失った瞬間」を教える本:『ニッポンの思想』(佐々木敦 著、講談社現代新書)

『ニッポンの思想』では、1980年に台頭したニューアカデミズムについて多くの紙幅が割かれている。私を含めてこの年代を生きてきた人たちにとって浅田彰の『構造と力』(1983年)、『逃走論』(1984年)や中沢新一の『チベットのモーツアルト』(1983年)と…

セミナー・レポート:「“人が集まる”ライティング入門」~第3回分科会 本とITを研究する会セミナー~(後編)

時代とともにさまざまな採用形態を受け入れること人材不足が深刻化する昨今、新卒から中途まで、いままでの採用方法に加えて、人づてに人材を調達するリファラル採用が注目されている。不特定多数ではなく人間関係を通してピンポイントで人材を集められると…

セミナー・レポート:「“人が集まる”ライティング入門」~第3回分科会 本とITを研究する会セミナー~(前編)

3月9日(金)、ビリーブロード株式会社神田イノベーションルームで、「“人が集まる”ライティング入門」~第3回分科会 本とITを研究する会セミナー~、を開催した。「人が集まる」をテーマに、人材採用に向けた集客に必要な考え方と方法を、ライティングと表…

4月7日(土)、印刷博物館へ、一緒にお出かけしませんか?

春まっさかりの4月7日(土)、本とITを研究する会で、トッパン印刷博物館の見学会をします。こちら、一緒にお出かけしませんか?ガイドさんの解説つきで、そしていま話題の活版印刷を実物で体験できるワークショップも行います。 私も活版印刷に実際に触れる…

若者が繰り広げる涙と笑いの群像劇:『メゾン刻の湯』(小野美由紀著)

歌舞伎町ブックセンターの現役ホストの書店員さんからのお勧めで、この本を買ってきた。小野美由紀という若い作家さんは非常に才能がある。取材力もあり、よく書いている。日本語の比喩表現や文学的な描写も立派だった。結論から言うと、面白かった。 これは…

4月7日(土)に開催が決定しました:「本とITを研究する会 大人の遠足編(おやつ付き)“トッパン印刷博物館見学会”」

4月7日(土)午後、印刷博物館の観覧をご一緒しませんか?「大人の遠足編」と題し、本とITを研究する会で初のフィールドワークをトッパン印刷博物館にて、出版歴22年の現役IT編集者の引率のもとで実施します。普段は硬めの勉強会形式の集まりが主でしたが、…

セミナーレポート:「想いが伝わる社会を実現する」をミッションに、書店復興事業のアイデアを構築(ワーク2日目・後編)

本ワーク(前回の結果)で作り上げられた以下事業アイデアに共通していえることは、「人」と「コミュニケーション」がビジネスモデルの中心に色濃く織り込まれている点だ。 ●レビューを通じてつながる本屋●想いがつながる「未来写真」●知識と食を軸に地域コ…

セミナーレポート:「想いが伝わる社会を実現する」をミッションに、書店復興事業のアイデアを構築(ワーク2日目・前編)

3月3日(土)、品川区立品川産業支援交流施設SHIPにて、産業技術大学院大学OPI公開講座『中小企業のための新規事業の作りかた~リーンスタートアップでイノベーションを起こす~』のユニット2(ワーク2日目)が行われた。◎オープニングで、三津田堂書店の社…

セミナーレポート:2月24日(土)、産業技術大学院大学のオープンキャンパスでイノベーションと学びを共有(ワーク1日目)

2月24日(土)、品川区立品川産業支援交流施設SHIPにて、産業技術大学院大学OPI公開講座「中小企業のための新規事業の作りかた ~リーンスタートアップでイノベーションを起こす~」を、産業技術大学院大学、越水重臣教授の司会進行のもと、ビリーブロード株…

3月9日(金)「“人が集まる”ライティング入門」~第3回分科会 本とITを研究する会セミナー~、開催します。

本とITを研究する会、第3回分科会のテーマは「“人が集まる”ライティング」と題し、経営者や採用担当者に向け、企業に人を集めるための、ライティングを通したWeb上での表現テクニックをお話しします。 IT編集者の私がこのようなテーマを話す理由は、編集者と…

「東欧のエクソシスト」は意外に面白い:『尼僧ヨアンナ』(ヤロスワフ・イヴァシュケヴィッチ著)

今回は、ワイダ晩年の映画『菖蒲』の原作も書いたポーランド文学者、ヤロスワフ・イヴァシュケヴィッチの作品を取り上げる。 『尼僧ヨアンナ』と聞くと、1962年のイエジー・カヴァレロヴィッチの作品を思い出す映画ファンも少なくないだろう。東欧文学独特の…

コミュニティと共産主義、そして美しい造本は、多彩なエクスペリエンスを与える:『ヴォルプスヴェーデふたたび』(種村季弘著)

1980年に刊行されたこの本、楽しみながら味読した。19世紀後半にドイツに作られた芸術家コミュニティ、ヴォルプスヴェーデをめぐるエッセイ集。 現在でもドイツはブレーメン郊外に観光地として存在するヴォルプスヴェーデ。詩人リルケが一躍有名にした村であ…

セミナーレポート:1月30日(火)開催「設計の謎の“本質”を探る」~第4回 本とITを研究する会セミナー~

今回は『システム設計の謎を解く 改訂版』の出版を記念し、「設計の謎の“本質”を探る」と題し、著者の高安厚思氏にお話しいただいた。 セミナー資料・スライドシェアURL 20180130 設計イベント from Atsushi Takayasu goo.gl 設計の基本知識からシステム設計…

日本をアジア史から再確認し、未来を考える 『一外交官の見た明治維新』(上・下)(アーネスト・サトウ 著)

通訳士として、親善の仲介役として、日本の政策に進言する参謀として、幕末の日本に配属された若きイギリス人青年外交官の目から見た、幕末から明治初期にかけての日本の姿がリアルに描かれた名著。 この本を支える2つのリアリティこの本のリアリティは2つの…