本とITを研究する

「本とITを研究する会」のブログです。古今東西の本を読み、勉強会などでの学びを通し、本とITと私たちの未来を考えていきます。

7月7日(火)、ピアニストの高橋望氏による第1回ブック・トーク大会、開催しました

7月7日(火)「withコロナ時代に捧ぐ読書の快楽 第1回 ブック・トーク大会」、無事終了しました。60分足らずで以下11冊を高橋望さんに猛スピードで紹介いただきました。 『モーツァルトの手紙』(高橋英郎訳、小学館)『方丈記』(鴨長明著、高橋源一郎現代…

7月21日(火)『首都感染』の作家、高嶋哲夫氏をお招きし、オンライン・セミナーを緊急開催

ウィズ・コロナ、ポスト・コロナ、アフター・コロナ、ニューノーマル、などなど……。新型コロナウイルスを巡って、さまざまなキーワードが生まれました。一方で、私たちはそんな言葉に翻弄されているようにも見えます。 本オンラインセミナーでは、『首都感染…

読書会の記録:『サド侯爵夫人』(三島由紀夫著、新潮文庫)

今年で早くも5年目に突入。20回目となった読書会のお題に、読書会初の戯曲、三島由紀夫の『サド侯爵夫人』を取り上げた。 基本、この読書会のメンバーはあくが強く満場一致の意見はまずないが、今回は見事に意見が分かれた。「共感できない、面白みがわから…

テレワークが加速させる、地方分権社会の形づくり

新型コロナウイルスの影響でテレワークを導入した企業が急激に増えた。 これにより、対面でも電話でもない、独特のコミュニケーション形態を味わってしまった人たちが急増した。 私もたびたびオンライン会議やWebセミナーを実施したが、なんともいえない距離…

新時代の受容と戦いを「差別」から扱った不朽の名作:『破戒』(島崎藤村 著)

私が高校生時代に亡くなった明治43年生まれの祖母から、実家山形の農家にいたときの次のような昔話をよく聞かされた。 村には「えた」という人がいて、茶碗を持って玄関の土間にやってくる。玄関から茶碗に食事を分け与え、決して土間から上に入ってこない。…

コロナと「変わる」ということ

新型コロナウイルスの到来で「働き方や生き方インフラがガラリと変わるされる」と言われている。 この、変わる、とはなにか?すなわち「革命」である。日本人が直近で遭遇した革命は150年以上前にさかのぼる。明治維新(Meiji restoration and "revolution"…

『紅い砂』(高嶋哲夫 著)を読んで ~社会変革と「壁」そして自由の本質(後編)~

(前編から続く) 警察が強権をふるう監視社会当時の東ドイツでは西ドイツのテレビ放送を傍受することができた。これにより東ドイツの人たちも西ドイツの情報を持っていたが、傍受した内容を学校や町中などで口にすると、市民に紛れた秘密警察(ゲハイムディ…

『紅い砂』(高嶋哲夫 著)を読んで ~社会変革と「壁」そして自由の本質(前編)~

『紅い砂』(高嶋哲夫 著、幻冬舎刊)は、元米兵ジャディスが率いる革命軍が内戦で中米コルドバの政権を奪取し、民主主義国家を樹立する、という物語だ。独裁政治と薬物による暗黒経済が支配するコルドバの国民は、自由を得ようと、メキシコとの間に米国が築…

読書会の記録:『方丈記私記』(堀田善衛 著)~激動の時代に「文化」を冷静に直視した作家の肖像~

今回読書会で取り上げた作品は、『方丈記私記』。堀田善衛といえば大正・昭和・平成を生き抜いた評論家。モンテーニュを扱った『ミシェル城館の主人』が文庫化され評価も高く、個人的にも読んでみたいと思っていた評論家である。で、『方丈記私記』とは、平…

いま考える、生存のインフラ「文化」について

見えない敵、新型コロナウイルスは、私たちの生活に覆いかぶさるよう日々情報を更新している。さまざまな意味で、破壊的である。先日は日本赤十字社が、ウイルスの次に来る脅威は「情報が与える恐怖」という啓蒙CMを流しはじめた。新型コロナウイルスの感染…

読書会の記録:『本居宣長』(小林秀雄著)(後編)

(前編から続く) さて、『本居宣長』の中でとくに重要なキーワードは「もののあはれ」と「ものしり人」である。そして根柢に流れているのは「音楽」だ。本居宣長は知識万能を嫌っていた。知識をつけたうえで、それを超える感性を備えなさい、ということを言…

読書会の記録:『本居宣長』(小林秀雄著)(前編)

小林秀雄と聞いて、皆さんはどんなイメージをお持ちだろうか? 「文章がよくわからない」「国語の受験問題で苦しめられた」「名前すら聞いたことがない」「素晴らしい批評家」 など、多様な返答が返ってくるはずだ。私の場合、小林秀雄というと父親の思い出…

読書会の記録:『ガリレイの生涯』(ベルトルト・ブレヒト著)

読書会、記念すべき第30回目に取り上げる作品は、戯曲である。どんな激動の時代にも「保身でしたたかに生き延びる人」はいる。その象徴的な一人が、今回読書会で取り上げた戯曲『ガリレイの生涯』(1943年)を発表した、ドイツの戯曲家で詩人、ベルトルト・…

自由で健康な心身で乗り越える、「情報」との戦い

一次情報にあたることで、情報としての毒性から逃れる新型コロナウイルスを書くことは、無闇に読む人の恐怖心を煽るというリスクがある。しかし恐怖心とは、「自分の力でコントロールできる」と気付くことにより、低減、もしくは消滅する。ここでは、「自分…

本当の意味での、本に向き合い自分に向き合う時代の到来

書籍の販売数は年々減少し、雑誌はさらに減少という状況を示す「出版不況」という言葉。出版業界にいる人が耳にタコができるほど聞いているお題目である。 最近は、雑誌が読まれる機会が本当に減ってきた。かつては雑誌流通が出版流通を下支えし、これに乗っ…

読書会の記録:某月某日『ヴェニスの商人の資本論』(岩井克人著)を読む

『ヴェニスの商人』といえばユダヤ人商人シャイロックの「人肉裁判」をクライマックスとするシェイクスピアの名戯曲。本作はこれを資本主義の原理と重ね合わせ経済学者が書き上げたエッセイ。 この手の書籍は読む人によりさまざまな意見が交差することが必定…

人と自然にまつわるさまざまな情報が集まる、川の土手

川の土手に出ると、人と自然にまつわるいろいろな情報が集まる。とくにすれ違う人とのあいさつを通した相手の表情や視線は、多くを物語っている。土曜は曇り空のせいもあってか、元気のない雰囲気だった。これは少なからず、新型コロナウイルスの影響だろう…

『首都感染』~情報に対する心のあり方へのヒント~

『首都感染』(高嶋哲夫 著)を読みながらラジオやテレビの報道を聞いていると、現実と創作の境界があいまいになってくる。科学と文学が連結すると、このような見たこともない文芸ができあがるのかという驚きもあった。いま冷静にやるべきことや、情報に対す…

「本」とのスリリングな出会いを求めて ~いまこそ、読書会のすすめ~

読書というと、じっと一人で読むもの、というイメージがあったが、最近はそうでもない。非常にアクティブで、外交的なツールとしての本がある。とくに近年、読書会が流行の兆しを見せている。流行というよりもむしろ、定番の活動として世間に定着しつつある…

読書会「軽井沢合宿編」の記録:『ファスト&スロー』(ダニエル・カーネマン著)

今回は、本読書会初の1泊合宿。しかもその場所は、平成天皇皇后両陛下が出会った高級リゾート地軽井沢。そして取り上げたテーマは、初の行動経済学。今回は、2002年ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマン著、『ファスト&スロー』(上・下)を読む…

「あなたも本が出せる! 出版集中講座」好評にて開催【アンケート結果を公開】

昨年から開催している「あなたも本が出せる! 出版集中講座」、今年も1月22日(水)、2月4日(火)と秋葉原にて講師の谷藤賢一氏と三津田治夫とで開講した。 「一人でも多くの人に出版の喜びを味わってもらいたい」「自分の生きた証を文章としてこの世に残し…

読書会の記録:「大人の寓話」の古典を堪能:『山椒魚戦争』(カレル・チャペック著)

今回は、チェコ文学の巨匠、カレル・チャペック『山椒魚戦争』を取り上げた。チャペックの作品では、ロボットという造語をはじめて使った戯曲『R.U.R』(ロッサム博士のユニバーサルロボット)が有名である。チャペックは、第2次世界大戦前という時代にロボ…

隙のない二枚目男と、囲われ者の悲劇の美学(後編) ~『雁』(森鴎外 著)~

(前編から続く) この作品で、作者が描いた運命のはかなさを誰もが読み取ることだろう。 一つは、救うはずで不本意に殺してしまった「雁」の存在で、これは「鯖の味噌煮」と関係する。鯖の味噌煮も偶然に出てきたもので、これがなければ「私」は岡田を誘っ…

隙のない二枚目男と、囲われ者の悲劇の美学(前編) ~『雁』(森鴎外 著)~

鴎外の作品は明治文学として漱石と並んでよく取り上げられるが、その中でも『雁』は、鴎外の小説作品として広く読まれている。 明治文学というと鴎外、漱石、とすぐに名前が出るが、「じゃあ彼らの作品といえば」と問われると「『坊っちゃん』『吾輩は猫であ…

新年、あけましておめでとうございます。

2020年、新年、あけましておめでとうございます。今年も、よろしくお願い申し上げます。 令和初の新年を迎え、日本では東京オリンピック、アメリカでは大統領選挙など、世界は相変わらず激しい変化を遂げていきます。AIやロボティクスなど、取り巻く環境の変…

2019年12月13日(金)開催「有楽町のナイトミュージアム観覧&相田一人館長の作品秘話に耳を傾ける夕べ」(後編)

(前編から続く) 「この、ブルース」を貫く本当の意義とは?相田館長は版元の書籍編集者であった経験から、「美術館の展示には本一冊作るほどの労力が必要」と語られた。 世のため人のためというきれい事で美術館運営はできず、相田みつを美術館は、相田一…

2019年12月13日(金)開催「有楽町のナイトミュージアム観覧&相田一人館長の作品秘話に耳を傾ける夕べ」(前編)

2019年12月13日(金)、「相田みつを美術館」(有楽町東京国際フォーラム)にて、「有楽町のナイトミュージアム観覧&相田一人館長の作品秘話に耳を傾ける夕べ ~第41回本とITを研究する会 大人の遠足特別編~」と題し、作品観覧と講演が開催された。本とIT…

日本文化を再定義した社会派歴史学者の古典名著:『日本文化史』(家永三郎 著)

ネット社会の現代、史実が限りなく事実であることは常識になりつつある。しかしかつては、史実が露骨に作り上げられる時代があった。戦前までの日本がその最たるものとし、そこに警鐘を鳴らしたのが本書である。1959年に初版が発刊された古典であるが、歴史…

書籍三題噺 ~本と本は次元の高いコンテキストでつながっている~

『人生を変える心理スキル99』(岸正龍著、きこ書房刊)を読み終えた。 カバーイラストの軽さとは相まって、400ページ以上にわたって、フロイトやユングなどの古典的な心理学から行動経済学までを広く取り扱い、実用的にすっきりしっかりとまとめられている…

1000人突破!感謝いたします。本とITを研究する会に向けて

このたび、出版関係者やITエンジニアを中心に結成された「本とITを研究する会」のメンバーが、1000人を超えました。 本とITを研究する会https://tech-dialoge.doorkeeper.jp/ 加入していただいた仲間たち、イベントや勉強会、セミナーに参加していただいた仲…