本とITを考える

「本とITを研究する会」のブログです。古今東西の本やニュースを読みながら、ITの未来を考えていきます

混迷の時代に「大衆とはなにか?」を考える:『大衆の反逆』(オルテガ・イ・ガゼット)

ネットにつながる大衆、街に群がる大衆、投票する大衆、列車に乗り込む大衆、旅行に大挙する大衆……。いまや当たり前に大衆の時代だが、それが認知されたのが20世紀前半。一世紀近く前の混迷の時代に書かれた書物から知恵を拝借すべく、某月某日、都内某所で…

混迷の時代に「古典」を読む価値:『永遠平和のために』(エマニュエル・カント)

「情報氾濫の時代」「ゴールの見えない混迷の時代」「リーダー不在の時代」などなど、いまの世の中、しばしばこのように表現される。確かにその通りで、有史以来、時代の変わり目は必ず先行き不透明になる。そんな時代に、時代を画す知性や知恵が現れるとい…

オープンソース黎明期の記録②:Perlの開発者、ラリー・ウォール氏独占インタビュー

1998年、いまから19年前、Perlの開発者、ラリー・ウォール氏来日を記念してインタビューを実施した。ZDNet Japan(現IT Media)の記事として書いたその内容を、前回の基調講演の記事に続くものとして、アップしました。 前回同様、コンピューティング世界史…

オープンソース黎明期の記録①:Perlの開発者、ラリー・ウォール氏来日基調講演

1998年、いまから19年も前の話になるが、Perlの開発者、ラリー・ウォール氏が来日した。そのときの基調講演の模様をZDNet Japan(現IT Media)の記事として書いた。 ラリー・ウォールといえばオープンソースの神様で、私はこの基調講演に聴き入ってしまい、…

AI時代に「人間の身体とは?」を問う:『知覚の現象学』(上・下)(メルロ・ポンティ著、みすず書房刊)

「われわれは歴史の<頭>にも<足>にも心を奪われるべきではなくて、その全身にこそ専念すべきである。」 日本が誇るSF大作『攻殻機動隊』はハリウッドで映画化され、スカーレット・ヨハンソン扮する草薙素子は「自分ってなに?」の自分探しをはじめる。原…

「AI(人工知能)ビジネスの可能性を考える」セミナーレポート ~豊かな対話の場を共有~

2016年8月26日(土)TKP新宿ビジネスセンターにて、「AI(人工知能)ビジネスの可能性を考える」~第1回 本とITを研究する会セミナー~が、満員御礼にて無事開催されました。その一部始終をお届けします。 ●AIは情報の「予測」と「分類」をしているだけ登壇…

満員御礼にて、セミナー、無事終了しました

8月26日(土)、満員御礼にて「AI(人工知能)ビジネスの可能性を考える」~第1回 本とITを研究する会セミナー~ https://goo.gl/74tiZf が無事終了しました。この場を借りて深く感謝、お礼を申し上げます。皆様とお目にかかれ、本当に嬉しかったです。また…

自由と奴隷制の原理から覚醒するプロセスを考える:『自由への大いなる歩み』(マーチン・ルサー・キング著、岩波新書)

キング牧師というと非暴力でアメリカ公民権運動を貫いた偉人である。最近では、トランプ大統領の白人至上主義者的発言が指摘されたり、彼の父親が実はKKK(白人至上主義結社)のメンバーだったと暴露されるなど、米国内では改めて差別の問題が問われている。…

第3次人工知能ブームは、私たち人類に「問い」を投げかけてくれた

第3次人工知能ブームの与えた貢献は、人類の未来の可能性や利便性を高めるといった期待以前に、私たち人類に「問い」を投げかけたという点にある。 つまり、「知性ってなに? 人間ってなに? 身体ってなに?」と、AIは、人が自問自答し、人が哲学的になるき…

日本ロボティクス黎明期の記録② ~フロントエンド・プログラミングの新しい形~

「UXデザインワークショップ」として、2016年7月、都内でPepperプログラミングのワークショップが開催された。 「ロボット演劇」を編み出した平田オリザさんの演劇・演出の手法が、いかにPepperプログラミングに有効かが、さまざまなワークと共に伝えられた…

いまを予見する貴重な講演の記録。ノーム・チョムスキー教授が示す、人間のこれからあるべき姿 ~来日講演『資本主義的民主制の下で人類は生き残れるか』に行きました~

2014年、上智大学四谷キャンパスで、『資本主義的民主制の下で人類は生き残れるか』(Capitalist Democracy and the Prospects for Survival)と題するノーム・チョムスキー教授の講演を聞いてきた。現代資本主義の崩壊やポピュリズム政党の出現、そして、AI…

日本ロボティクス黎明期の記録①

2015年、劇作家の平田オリザさんがpepperのプロジェクトにかかわられた件を東京藝術大学や豊岡市の関係者に取材し、記事にしました。 志賀直哉にまつわる古風な温泉にpepperとは、なかなか風流なものです。pepperプロジェクトの背景やその未来まで、本ブログ…

セミナー/イベントは、共鳴と化学反応が起こる貴重な場 ~モーツアルトから得た考察~

8月26日(土)に、本とITを研究する会第1回記念セミナー「AI(人工知能)ビジネスの可能性を考える」(https://goo.gl/74tiZf)を開催するが、それを踏まえて、ライブイベントにはどういった意味と価値があるのか、以下、考察してみた。 以前、エーリッヒ・…

原爆投下日にあたり、ビキニ環礁で被爆した大石又七さんの講演メモ

72年前、1945年の明日、8月6日、午前8時15分、核兵器が人類に初めて使われた。広島に原爆が投下された日時である。 それから9年後の1954年、ビキニ環礁で操業中の漁船、第5福竜丸が米軍の核実験に巻込まれ被爆した。 その模様と後日談は『ビキニ事件の真実――…

参加者と「ストーリー」を共有するべく、コミュニティ第1回記念セミナーを開催します

他人の共感を得て意識を共有するためにも「ストーリー」(物語)は大切。その人ならではのエピソードや事件が時間的な前後の脈絡でつながり、ドラマを織りなす。そしてドラマであるから人は共感する。 出会いと対話を通し、参加者と「ストーリー」を共有する…

文学作品を読み、「共感力」を高める。『白痴』『堕落論』(坂口安吾 著)

「小説を多く読むことが他人の心理状態の理解につながる」という研究成果があるらしい。文学作品を通じ、他者の考えについて想像することができるようになるという。 「共感の時代」といわれるいまこそ、文学作品の価値は高いといえる。いまの時代を豊かに生…

AIは労働「道」を生み出す

「AIは人間の労働を奪うか?」という恐怖感は、産業革命の時代に労働者たちが蒸気機関の機械を打ち壊した恐怖感に似ている。現代においては、奪う、ではなく、「代替する」が正しい表現だろう。 AIにより人間の労働時間が減少すれば、ベーシックインカムのよ…

古代ギリシャから読み解くリーダー論:『国家』(上・下)(プラトン著)

日本国内ではリーダー不在の政治不信が続き、書店のビジネス書棚に向かえばリーダー論に関する書籍が大量に置かれている。今回は、日本人が渇望するリーダーのあり方・考え方に対し、その源流となる書物をひもといてみたい。ビジネス書にも少なからず、こう…

AI・人工知能に「意識」は生まれるのか? 『意識と本質』(井筒俊彦 著、岩波文庫)

某月某日、都内某所で開かれた読書会のテーマは、『意識と本質』だった。AI・人工知能に「意識」は生まれるのか。そもそも意識とはなんなのか。この本を通して考えてみたい。 本書のテーマは書名の通りで、非常に明確なフレームワークが冒頭数十ページで示さ…

ITは現代資本主義を救えるのか? 『最後の資本主義』(ロバート・ライシュ著)

山積された問題を克服し、いま瀕死の状態にある現代資本主義を乗り越え、新しい資本主義を創り上げていくことをテーマにした本。 著者のロバート・ライシュは資本主義を、人類の持つ共有財産として捉えている。『最後の資本主義』という挑発的な邦題から資本…

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その昔、情報とは文字だった。情報技術/ITは、15世紀のドイツ、グーテンベルグによる活版印刷からはじまりまった。文字を活字に分割し、活字を亜鉛合金で鋳造し、インクを盛り、紙に刷り込む機械の開発まで、文字情報を大量生産する一連の技術を、グーテン…