本とITを研究する

「本とITを研究する会」のブログです。古今東西の本を読み、勉強会などでの学びを通し、本とITと私たちの未来を考えていきます。

本当の意味での、本に向き合い自分に向き合う時代の到来

書籍の販売数は年々減少し、雑誌はさらに減少という状況を示す「出版不況」という言葉。出版業界にいる人が耳にタコができるほど聞いているお題目である。 最近は、雑誌が読まれる機会が本当に減ってきた。かつては雑誌流通が出版流通を下支えし、これに乗っ…

読書会の記録:某月某日『ヴェニスの商人の資本論』(岩井克人著)を読む

『ヴェニスの商人』といえばユダヤ人商人シャイロックの「人肉裁判」をクライマックスとするシェイクスピアの名戯曲。本作はこれを資本主義の原理と重ね合わせ経済学者が書き上げたエッセイ。 この手の書籍は読む人によりさまざまな意見が交差することが必定…

人と自然にまつわるさまざまな情報が集まる、川の土手

川の土手に出ると、人と自然にまつわるいろいろな情報が集まる。とくにすれ違う人とのあいさつを通した相手の表情や視線は、多くを物語っている。土曜は曇り空のせいもあってか、元気のない雰囲気だった。これは少なからず、新型コロナウイルスの影響だろう…

『首都感染』~情報に対する心のあり方へのヒント~

『首都感染』 を読みながらラジオやテレビの報道を聞いていると、現実と創作の境界があいまいになってくる。科学と文学が連結すると、このような見たこともない文芸ができあがるのかという驚きもあった。いま冷静にやるべきことや、情報に対する心のあり方へ…

「本」とのスリリングな出会いを求めて ~いまこそ、読書会のすすめ~

読書というと、じっと一人で読むもの、というイメージがあったが、最近はそうでもない。非常にアクティブで、外交的なツールとしての本がある。とくに近年、読書会が流行の兆しを見せている。流行というよりもむしろ、定番の活動として世間に定着しつつある…

読書会「軽井沢合宿編」の記録:『ファスト&スロー』(ダニエル・カーネマン著)

今回は、本読書会初の1泊合宿。しかもその場所は、平成天皇皇后両陛下が出会った高級リゾート地軽井沢。そして取り上げたテーマは、初の行動経済学。今回は、2002年ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマン著、『ファスト&スロー』(上・下)を読む…

「あなたも本が出せる! 出版集中講座」好評にて開催【アンケート結果を公開】

昨年から開催している「あなたも本が出せる! 出版集中講座」、今年も1月22日(水)、2月4日(火)と秋葉原にて講師の谷藤賢一氏と三津田治夫とで開講した。 「一人でも多くの人に出版の喜びを味わってもらいたい」「自分の生きた証を文章としてこの世に残し…

読書会の記録:「大人の寓話」の古典を堪能:『山椒魚戦争』(カレル・チャペック著)

今回は、チェコ文学の巨匠、カレル・チャペック『山椒魚戦争』を取り上げた。チャペックの作品では、ロボットという造語をはじめて使った戯曲『R.U.R』(ロッサム博士のユニバーサルロボット)が有名である。チャペックは、第2次世界大戦前という時代にロボ…

隙のない二枚目男と、囲われ者の悲劇の美学(後編) ~『雁』(森鴎外 著)~

この作品で、作者が描いた運命のはかなさを誰もが読み取ることだろう。 一つは、救うはずで不本意に殺してしまった「雁」の存在で、これは「鯖の味噌煮」と関係する。鯖の味噌煮も偶然に出てきたもので、これがなければ「私」は岡田を誘って外出しなかった。…

隙のない二枚目男と、囲われ者の悲劇の美学(前編) ~『雁』(森鴎外 著)~

鴎外の作品は明治文学として漱石と並んでよく取り上げられるが、その中でも『雁』は、鴎外の小説作品として広く読まれている。 明治文学というと鴎外、漱石、とすぐに名前が出るが、「じゃあ彼らの作品といえば」と問われると「『坊っちゃん』『吾輩は猫であ…

新年、あけましておめでとうございます。

2020年、新年、あけましておめでとうございます。今年も、よろしくお願い申し上げます。 令和初の新年を迎え、日本では東京オリンピック、アメリカでは大統領選挙など、世界は相変わらず激しい変化を遂げていきます。AIやロボティクスなど、取り巻く環境の変…

2019年12月13日(金)開催「有楽町のナイトミュージアム観覧&相田一人館長の作品秘話に耳を傾ける夕べ」(後編)

「この、ブルース」を貫く本当の意義とは?相田館長は版元の書籍編集者であった経験から、「美術館の展示には本一冊作るほどの労力が必要」と語られた。 世のため人のためというきれい事で美術館運営はできず、相田みつを美術館は、相田一人館長の編み上げた…

2019年12月13日(金)開催「有楽町のナイトミュージアム観覧&相田一人館長の作品秘話に耳を傾ける夕べ」(前編)

2019年12月13日(金)、「相田みつを美術館」(有楽町東京国際フォーラム)にて、「有楽町のナイトミュージアム観覧&相田一人館長の作品秘話に耳を傾ける夕べ ~第41回本とITを研究する会 大人の遠足特別編~」と題し、作品観覧と講演が開催された。本とIT…

日本文化を再定義した社会派歴史学者の古典名著:『日本文化史』(家永三郎 著)

ネット社会の現代、史実が限りなく事実であることは常識になりつつある。しかしかつては、史実が露骨に作り上げられる時代があった。戦前までの日本がその最たるものとし、そこに警鐘を鳴らしたのが本書である。1959年に初版が発刊された古典であるが、歴史…

書籍三題噺 ~本と本は次元の高いコンテキストでつながっている~

『人生を変える心理スキル99』(岸正龍著、きこ書房刊)を読み終えた。 カバーイラストの軽さとは相まって、400ページ以上にわたって、フロイトやユングなどの古典的な心理学から行動経済学までを広く取り扱い、実用的にすっきりしっかりとまとめられている…

1000人突破!感謝いたします。本とITを研究する会に向けて

このたび、出版関係者やITエンジニアを中心に結成された「本とITを研究する会」のメンバーが、1000人を超えました。 本とITを研究する会https://tech-dialoge.doorkeeper.jp/ 加入していただいた仲間たち、イベントや勉強会、セミナーに参加していただいた仲…

【12/13(金)開催】「有楽町のナイトミュージアム観覧&相田一人館長の作品秘話に耳を傾ける夕べ」のチケット販売開始

先日のエントリーでお伝えした、相田みつを美術館の夜間特別観覧と相田一人館長の特別講演のチケット販売、以下サイトから開始いたしました。 チケット販売サイトhttps://tech-dialoge.doorkeeper.jp/events/100395 金曜の夜を、有楽町のナイトミュージアム…

12月13日(金)、「有楽町のナイトミュージアム観覧&相田一人館長の作品秘話に耳を傾ける夕べ」緊急開催決定!

このたび、本とITを研究する会の特別企画として、作家の相田みつをさんのご長男で相田みつを美術館の館長である相田一人氏により、相田みつをさんの作品を囲みながら、作品のことや創作論、グラフィックデザイナーとしての活動など、相田みつをさんの魅力を…

令和改元から半年、ベルリンの壁崩壊から30年周年を迎え、考えた「分断」と世界

旧東ドイツ側から撮影した、東西世界分断の象徴である、ベルリン・ブランデンブルク門 旧東ドイツの象徴的モニュメント「世界時計」(ベルリンにて撮影) ベルリンの壁の破片(実物)令和改元から半年。同時に、東西冷戦の象徴であるベルリンの壁崩壊から11…

読書会の記録:職人たちが織りなす壮大な職業論を考察 ~『五重塔』(幸田露伴 著)~

明治の作品ということもあり、また露伴の独特な文体もあり、いまとはかけ離れた言い回しの日本語や時代がかった思想から、わかりづらい、という意見もあったが、各人からさまざまな見解が飛び出し、興味に尽きなかった。一つの本でも、読む人にとってさまざ…

神保町ブックハウスカフェにて「iSO式フラッシュ速読・親子速読プレミアム体験会」を開催

2019年10月6日(日)、神保町ブックハウスカフェにて「iSO式フラッシュ速読・親子速読プレミアム体験会」を開催しました。ご家族で、速読の体験に取り組んでいただきました。また今回は特別に、国語の「予想読解」も磯一郎先生の手により講義。もちろん、出…

9月28日(土)、地元商工会議所主催の「創業塾」にて登壇

9月28日(土)、地元越谷商工会議所主催の「創業塾」にて登壇しました。私の創業2年目の生々しい話を、未来の起業家たちの前でお話してきました。会場には、また同業の方が来られていて、驚き。以前はYahoo!とお取引があったとのこと。 私の前にトップバッタ…

世の「救いのなさ」を徹底して描いた奇書:『チリの地震』(ハインリヒ・フォン・クライスト 著、種村季弘 訳)

恐ろしくまた美しい世界観この本の文庫版が河出書房新社から出ているが、読んだのはオリジナルの王国社版。クライストは1777~1811年までドイツで活動した作家だから、ちょうどゲーテが28歳あたりから61歳だったころまで生きていたことになる。クライストの…

本とITを研究する会向け限定サービス「無料キャリア相談会」のススメ ~テクノブレーン株式会社人財紹介部部長 碣石浩二氏インタビュー~

今回は、株式会社テクノブレーンが本とITを研究する会のメンバー限定に提供している「無料キャリア相談会」に関し、「なにが聞かれるのか」「参加してどんなメリットが得られるのか」などの質問に、インタビュー形式でお答えする。いまのエンジニア人材市場…

ポーランド人の複雑なメンタリティが沈潜した傑作SF:『エデン』(スタニスワフ・レム著、小原雅俊訳)

ポーランド人の複雑なメンタリティが沈潜した傑作SF作品。1959年の作品であるというのに、すでに放射能汚染にまで言及されている。さすがコペルニクスとキュリー夫人を排出した科学の国ポーランド。キュリー夫人にいたっては被爆で命を落としているぐらいだ…

驚異のiSO式フラッシュ速読と、子どもの脳の不思議な力

このところ速読が注目されている。欧米の横文字文化では速読が当たり前で、アメリカのケネディ大統領が速読の技術で大量な書類をさばいていたというエピソードはよく耳にする。1960年代から日本でも日本語の速読をビジネス用途で開発する人たちが現れ、同時…

8月21日(水)東京・田端にて、「本とITを研究する会 創立2周年感謝・懇親会」を開催

「 8月21日(水)東京・田端にて、「本とITを研究する会」創立2周年感謝・懇親会」を開催しました。皆様には楽しんでいただき大盛況で、この2年間を振り返るという意味でも、感謝にたえない時間でした。この場をもって、重ね重ね、参加された方には心から感…

「夏休み子供科学電話相談室」から学ぶ「どうして?」の力

毎年夏になると、NHKラジオで恒例の「夏休み子供科学電話相談室」が放送されている。最近は仕事で子供たちと接する機会が多い関係もあってか、これを聞くたびに、子供たちの感性の豊かさに心が動かされる。たとえば、 「どうして星は流れ星になって落ちてこ…

鎌倉仏教が教える、企業経営に流れる宗教性と精神性:『立正安国論』(日蓮 著)

会社勤めのころからビジネス書や経営者向けの本をたびたび読んできたが、実際独立するにおよんで、この本ほどいまの心に響くものがなかったことを告白する。 『立正安国論』とは日蓮が鎌倉幕府に提出した檄文である。そして日蓮とは日蓮宗の宗祖で、宗教家で…

読書会の記録:近代科学の基盤を作った天才科学者の隙のない自伝:『方法序説』(デカルト著)

アフォリズムも満載。天才が編み出した学問の軌跡デカルトといえば「われ思うゆえわれあり」の、当時としては画期的な、精神と肉体を分離して人間を考えた哲学者、近代科学の基盤を作った科学者、代数幾何を確立した数学者である。ダヴィンチやゲーテなどに…