本とITを研究する

「本とITを研究する会」のブログです。古今東西の本を読み、勉強会などでの学びを通し、本とITと私たちの未来を考えていきます。

ポーランド人の複雑なメンタリティが沈潜した傑作SF:『エデン』(スタニスワフ・レム著、小原雅俊訳)

ポーランド人の複雑なメンタリティが沈潜した傑作SF作品。1959年の作品であるというのに、すでに放射能汚染にまで言及されている。さすがコペルニクスとキュリー夫人を排出した科学の国ポーランド。キュリー夫人にいたっては被爆で命を落としているぐらいだ…

驚異のiSO式フラッシュ速読と、子どもの脳の不思議な力

このところ速読が注目されている。欧米の横文字文化では速読が当たり前で、アメリカのケネディ大統領が速読の技術で大量な書類をさばいていたというエピソードはよく耳にする。1960年代から日本でも日本語の速読をビジネス用途で開発する人たちが現れ、同時…

8月21日(水)東京・田端にて、「本とITを研究する会」創立2周年感謝・懇親会」を開催

8月21日(水)東京・田端にて、「本とITを研究する会」創立2周年感謝・懇親会」を開催しました。皆様には楽しんでいただき大盛況で、この2年間を振り返るという意味でも、感謝にたえない時間でした。この場をもって、重ね重ね、参加された方には心から感謝い…

「夏休み子供科学電話相談室」から学ぶ「どうして?」の力

毎年夏になると、NHKラジオで恒例の「夏休み子供科学電話相談室」が放送されている。最近は仕事で子供たちと接する機会が多い関係もあってか、これを聞くたびに、子供たちの感性の豊かさに心が動かされる。たとえば、 「どうして星は流れ星になって落ちてこ…

鎌倉仏教が教える、企業経営に流れる宗教性と精神性:『立正安国論』(日蓮 著)

会社勤めのころからビジネス書や経営者向けの本をたびたび読んできたが、実際独立するにおよんで、この本ほどいまの心に響くものがなかったことを告白する。 『立正安国論』とは日蓮が鎌倉幕府に提出した檄文である。そして日蓮とは日蓮宗の宗祖で、宗教家で…

読書会の記録:近代科学の基盤を作った天才科学者の隙のない自伝:『方法序説』(デカルト著)

アフォリズムも満載。天才が編み出した学問の軌跡デカルトといえば「われ思うゆえわれあり」の、当時としては画期的な、精神と肉体を分離して人間を考えた哲学者、近代科学の基盤を作った科学者、代数幾何を確立した数学者である。ダヴィンチやゲーテなどに…

メンバーに支えられた「本とITを研究する会」の2周年を感謝し、懇親会を開催

8月21日(水)、本とITを研究する会の創立2周年記念懇親会を都内で開催する。 プレスリリース:8月21日(水)、編集者とITエンジニアのコミュニティ「本とITを研究する会」が創立2周年を記念した集まりを開催https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.00…

7月3日(水)開催の勉強会「「AI導入は出版業界を救うか?」 ~第28回 本とITを研究する会~」が、ITmediaに取材されました

7月3日(水)に開催した勉強会、「「AI導入は出版業界を救うか?」 ~第28回 本とITを研究する会~」の、ITmediaによる取材記事が以下にアップされました。 出版業界もAIに熱視線 「どう使う?」技術者らが提案 https://www.itmedia.co.jp/news/articles/190…

起業の「身体性」を示したプロフェッショナルのドキュメント:『新しい一歩を踏み出そう!』(守屋実著、ダイヤモンド社刊)(後編)

事業がうまくいかなかったときにも関係を継続できる「人」に投資「守屋実さんを囲む会」では、本文外部のエピソードを著者自身からたくさん聞くことができた。たった一滴の血液から10秒で検査ができるサービスをケアプロで提供した社会的意義について。パチ…

盛況のもと「出版を元気にする勉強会プロジェクト:「AI導入は出版業界を救うか?」が終了!

7月3日(水)、「出版を元気にする勉強会プロジェクト:「AI導入は出版業界を救うか?」 ~第28回 本とITを研究する会~」、盛況のもと、無事終了いたしました。多数のご参加に、深く感謝いたします。 会場での闊達な質疑応答と熱気には、圧倒されました。こ…

起業の「身体性」を示したプロフェッショナルのドキュメント:『新しい一歩を踏み出そう!』(守屋実著、ダイヤモンド社刊)(前編)

6月某日都内にて、新刊『新しい一歩を踏み出そう!』(ダイヤモンド社刊)を持ち寄り、著者の「守屋実さんを囲む会」を開催した。今回は、書籍からの引用とそのときに出た言葉をベースに、本書を紹介する。 まず、著者の守屋実氏は、巻末の自己紹介文の冒頭…

教養としての「文学」のすすめ

7月3日(水)には勉強会「AI導入は出版業界を救うか?」を開催する。5月10日のブログエントリーで書いたとおり、登壇者の二人であるITエンジニアの三井さんと文学YouTuberベルさんとで、事前MTGを実施した。このときの議事録を読みながら、本を巡った談話の…

「言葉とはなにか」を鋭くえぐった名著:『グラマトロジーについて』(ジャック・デリダ著)(後編)

「禅」に馴染みのある日本人には比較的理解しやすいかもしれない「言葉には意味がない」を西洋の哲学者がこのように解明し、事細かに解き明かそうとするのだが、日本人にとってはおなじみの「禅」がすでに説明している。道元は『正法眼蔵』の中で、当時の中…

「言葉とはなにか」を鋭くえぐった名著:『グラマトロジーについて』(ジャック・デリダ著)(前編)

マルクスと言えば『資本論』、カントと言えば『純粋理性批判』、デリダと言えば『グラマトロジーについて』というぐらいの大作、代表作。この本を読むために、フッサールの『現象学の理念』とハイデッガーの『存在と時間』を読んでいた。フッサールとハイデ…

映画化もされた情熱編集娯楽劇は面白い:『船を編む』(三浦しをん著)

辞書づくりに人生を賭ける編集者やその周辺の人間を描いた感動の物語。実に軽快な筆づかい。編集者の仕事に関しては取材を重ねたはず。編集者に関する描写の本質においてはリアリティが高い。 私が手がけているIT書籍の編集は、次元は違えど辞書づくりに近く…

7月3日(水)開催「AI導入は出版業界を救うか?」のチケット予約販売を開始しました!

7月3日(水)に神保町の日本出版クラブで開催する勉強会「AI導入は出版業界を救うか?」のチケット予約販売を開始いたしました。すでに席が埋まってきているので、お早目の登録を、以下サイトからお願いいたします。 「AI導入は出版業界を救うか?」チケット…

7月3日(水)19:00~「出版を元気にするプロジェクト:「AI導入は出版業界を救うか?」~本とITを研究する会~」を開催!

きたる7月3日(水)19:00~、日本クラブ会館(http://shuppan-club.jp/)にて、「出版を元気にするプロジェクト:「AI導入は出版業界を救うか?」~本とITを研究する会~」を開催いたします。登壇者は、以下の4名が決定いたしました。 ・沢辺 均(JPO出版情…

壮大なテーマと詳細なデータで読者を「次世代の大使」へと導く、リーダー必読の啓蒙書:『海の歴史』(ジャック・アタリ著)(後編)

後半は、海とともに人間がいかに生き残り、いかに成長するのかを提言する。歴史や政治経済は組織のトップダウンで決めるものではなく、ボトムアップで個人が作り上げていくという姿勢を、著者は一貫して崩さない。そのうえで、一人一人が人類の「次世代の大…

壮大なテーマと詳細なデータで読者を「次世代の大使」へと導く、リーダー必読の啓蒙書:『海の歴史』(ジャック・アタリ著)(前編)

「海」をテーマに、人間の未来は海が担っているという事実を、詳細なデータで読者に解き明かしながら、人間はいかにして海と生きるべきかを指南する。壮大なスケールを持つ読み物であり、啓蒙書である。 人類史と世界史、環境、物流、経済から海を理解するま…

読書会の記録:伝記文学から人生の「陰と陽」を考えた『人類の星の時間』(シュテファン・ツヴァイク著)

伝記文学の古典中の古典今回は趣向を変えて、ドイツ語圏から伝記文学を取り上げました。シュテファン・ツヴァイクといえばオーストリアの大作家で、『マリー・アントワネット』や『ジョセフ・フーシェ』はいまでも文庫で手に入り、気軽に読むことができる。…

趣味から美学、崇高、自然まで、スリリングで難解な論考を展開:『判断力批判』(上・下)(カント 著)

カントを知るには『純粋理性批判』と『実践理性批判』という巨大な山脈があるが、その最後に控えているのが『判断力批判』である。カントの「批判シリーズ」の最終作で、遺作。 まずカントの言葉で誤解しやすいのは、「批判」の語意だ。日本語で言う批判とは…

セミナー・レポート:4月3日(水)、株式会社C60秋葉原オフィスで「「エンジニアのための「おとなの速読」入門講座」 ~第18回 本とITを研究する会セミナー~」が開催

4月3日(水)に株式会社C60秋葉原セミナーラウンジにて、「「エンジニアのための「おとなの速読」入門講座」 ~第18回 本とITを研究する会セミナー~」が、同社代表の谷藤賢一氏を講師として開催された。 ◎株式会社C60秋葉原セミナーラウンジにて、満員の会…

駐輪場+シェアリングエコノミーの「みんちゅう」サービスが藤沢市と提携

3月28日(木)、神奈川県藤沢市役所にて、株式会社アイキューソフィアが提供するサービス「みんちゅう」が、同市と提携を結んだことが発表された。◎株式会社アイキューソフィアの中野里美代表取締役社長「みんちゅう」は駐輪場にシェアリングエコノミーを導…

ITエンジニアの「悔いのないキャリア」の築き方とは? ~キーパーソン・インタビュー:テクノブレーン株式会社会長、能勢賢太郎氏~

AIやディープラーニング、ブロックチェーン、画像・音声認識技術、自然言語処理など、さまざまな要素技術が飛び交う複雑化した社会で、いま、ITエンジニアの持つべきキャリアやその考え方はどういったものか。そして、ITエンジニアが悔いのないエンジニア人…

読書会の記録:AIやロボットなど「生命を模倣したもの」が多い現代が見えてくるフィールドワーク:『忘れられた日本人』(岩波文庫、宮本常一著)

宮本常一氏が長年のフィールドワークで獲得した「忘れられた日本人像」をまとめあげた渾身のルポタージュ。 1960年刊。半世紀以上前ですでに「忘れられた日本人」であるから、取材される人物は幕末や明治初期を生きた古い人物たちだ。そのころ日本人は現在と…

反骨大河文学を通してインドネシアを深く理解:『人間の大地』(上・下)(プラムディヤ・アナンタトゥール著)

東南アジアでは日本から最も遠く、また、国土面積が最も大きな国インドネシアは、ビジネスや観光やで日本とは盛んな交流関係にある。文学の楽しみとは、その場にいながら文字情報だけで、脳内で時間や空間を移動できることだ。今回はインドネシア現代文学の…

Springフレームワークを巡る16年

「Spring Boot2」はSpringフレームワークの一部として基幹系システムでよく使われている定番Javaフレームワークである。私の会社で制作をお手伝いした、2018年11月発刊の『現場至上主義 Spring Boot2徹底活用』(韓国版の発刊も決定)は、Spring Boot2とその…

『コンビニ人間』を読んで考えた「自分らしさ」を追求する手段としての「教養」と「感性」

このごろよく使われるキーワードに「自分らしさ」がある。2016年に第155回芥川賞を受賞し、その後文庫化され累計100万部を突破したベストセラー『コンビニ人間』。この作品を読んだ人は本ブログ読者にも多いはずだ。 主人公は30代半ばの独身アルバイト女性。…

「ボヘミアン・ラプソディ」と「ゴルトベルク変奏曲」が見せてくれた、「体験」を進化させるテクノロジーの力

映画「ボヘミアン・ラプソディ」が大ヒットで、空前のクイーンブーム到来と言われている。第91回アカデミー賞で5部門にノミネートされ、1月時点で累計興行収入100億4168万7580円、観客動員は727万904人に到達したそうだ。クイーン世代の中高年に限定されず、…

バウハウスを訪ねる旅(後編) ~ライプツィッヒ~

ライプツィッヒバウハウスを訪ねる旅の最終目的が、この、ライプツィッヒだった。ライプツィッヒはバウハウスにゆかりの深い街、というわけではないが、この街に住む友人の母親がバウハウス作品のコレクターであり、生家がバウハウスの建造物であるという、…