本とITを研究する

「本とITを研究する会」のブログです。古今東西の本を読み、勉強会などでの学びを通し、本とITと私たちの未来を考えていきます。

新刊『DXビジネスモデル』ダブル・カテゴリ1位に

小野塚征志さん著、当方プロデュースの新刊『DXビジネスモデル』、見本が上がってまいりました。 また、カテゴリ・ダブル1位に上がってまいりました! カバーも印刷も美しく、優しい仕上がりです。書店ではぜひお手に取ってごらんください。5月19日発売です…

第37回・飯田橋読書会の記録:『テヘランでロリータを読む』(アーザル・ナフィーシー著) ~革命、ジェンダー、自由を描いた女子群像劇~

第37回を迎え、もはや歴史的な会となった飯田橋読書会。今回は新規のHHさんとTTさんが加わり、レギュラーメンバーのKMさん、MMさん、HNさん、AAさん、SMさん、KNさん、SKさん、KHさん、私を含め、総勢11名の過去最高の大人数となった。こういうときにZOOMと…

不確実性を味方につける、ワーケーションという生き方

ワーケーションをいう言葉をよく耳にする。「ワーク(work)」と「バケーション(vacation)」を組み合わせた造語で、本来の意味は休暇や帰省の合間に仕事を組み入れるという働き方のことである。リモートワークの定着や時代背景から、その意味が大きく変わ…

渋沢栄一とその子孫の創造力 ~時代を突破する武器としての教養~

先日知り合いの誘いで、渋沢栄一(1840~1931年)をテーマにした読書会に参加する機会を得た。これを機に、いろいろと調べ、考えた。 渋沢栄一の名前から私が第一に思い出すのは、作家、澁澤龍彦である。彼は渋沢栄一のいとこのひ孫にあたる、文学の翻訳や欧…

見ながらわかるDXの本・校了間近:『DXビジネスモデル 80事例に学ぶ利益を生み出す攻めの戦略』

小野塚征志さんによる5月19日発売の新刊、『DXビジネスモデル』、校了作業、いよいよ佳境に入ってまいりました。確認校ゲラの検査中です。 DXビジネスモデル 80事例に学ぶ利益を生み出す攻めの戦略 (できるビジネス) www.amazon.co.jp 見開きで図を眺めなが…

ナチスの凄惨な殺戮と破壊の歴史を、作家が書く物語:『HHhH』(プラハ、1942年) (ローラン・ビネ著)

オビにあるマリオ・バルガス・リョサの賛辞の通り、心に残る、忘れがたい作品だった。 この本のテーマは、「ナチス」と「プラハ」。 金髪の野獣と言われたナチス親衛隊のナンバー・ツーでユダヤ人大虐殺の首謀者、ラインハルト・ハイドリッヒと、それを追う…

ウクライナ、SNSが戦争を抑止することへの試練、期待

ウクライナが戦争で目も当てられない。1991年の湾岸戦争は衝撃的だったが、それ以上だ。当時は欧州都市のテロが多発していた。私は短波ラジオを携帯し、戦況を気にしながら学生最後の旅をしていた。湾岸戦争の終戦はポーランド・クラコフのユースホステルで…

詩人ニコライ・ゴーゴリの故郷ウクライナに、平和を

ウクライナの状況は目も当てられない。 民間人のビルにロケットが撃ち込まれ、市街地に戦車の残骸が転がっているなど、あんな光景を私が生きている間に隣国で見ることは、想像もしたくなかった。 ウクライナが1日でも早く平和を取り戻すよう、同国の私が敬愛…

『RubyではじめるWebアプリの作り方』のインタビューを収録しました

『RubyではじめるWebアプリの作り方』の「本TUBE」動画の撮影にオーム社様撮影スタジオにお伺いしました。中村優子さんの元女子アナ引き出しトーク力で、著者の久保秋真さんからITプログラマ話を多数いただきました。帰路で久保秋さんがスタジオにPCを忘れて…

第22回飯田橋読書会の記録:『見えない都市』(イタロ・カルヴィーノ著) ~都市を再定義した摩訶不思議な作品~

今回は初のイタリア文学作品ということで、イタロ・カルヴィーノ(1923~1985年)の作品、『見えない都市』を取りあげることにした。作品が発表されたのは1972年。おりしも東西の列強がアジアの都市を奪還しようと火の粉をまきあげていたベトナム戦争のまっ…

「なんでこうなったのかわからない!」を言語化した不気味な傑作:『審判』(フランツ・カフカ 著)

カフカの長編には『審判』のほかに『城』と『失踪者』があるが、その中でも最も暗く、恐ろしい作品だ。カフカの作風に一貫したものは、「なんでこうなったのかわからない!」という理不尽さや因果関係のわからなさ、不気味さである。ある意味、いまの「AI」…

文化と日常の不思議な関係

今回のコロナ禍で「文化」という言葉が海の向こうからはたびたび聞こえてきた。飲食店や舞台、ライブなど、言葉や作品の対話がリアルに交わされる場が閉鎖されたため。しかしこの状況に日本で、「文化」という言葉が使われることが少なかった気がする。「文…

DXの「D」と「X」の深い断絶をつなぐメディアとコンテンツのお役目

DX(デジタル・トランスフォーメーション)という単語が世に知れ渡って久しい。 1年前のいまごろは、 「一過性のバズワードだろう」「一年後には陳腐化する言葉だ」 という意見が方々から聞こえてきた。しかしそれどころか、DXはまだまだ世の中に浸透してい…

来週2月3日(木)19時に、交流会を有楽町で実施いたします。

来週2月3日(木)19時に、以下交流会を有楽町で実施いたします。 bit.ly 2020年、クリエイターとITエンジニアを中心に、学びや考え、アウトプットを共有する「知活人」(ちいきじん)プロジェクトを立ち上げました。上記は、そのオフライン初顔合わせイベン…

第36回・飯田橋読書会の記録:『ギリシャ悲劇全集Ⅱ』(ソポクレス編) ~悲劇の世界から舞台とメディア、カタルシスを考える~

2014年1月に第1回目を開催してはや7年。今回で第36回を重ねることになった飯田橋読書会。お題は、たびたび取り上げるジャンルの戯曲。今回は、古代ギリシャの劇作家、ソポクレスの悲劇を取り上げた。 2020年2月5日の第30回読書会『ガリレイの生涯』(ブレヒ…

本日、1月11日をもって、創業5年目を迎えることになりました

本日、1月11日をもって、私が代表・運営する株式会社ツークンフト・ワークスは、創業5年目を迎えることになりました。たかが5年目、されど5年目という、実感です。思い返すと、未知・未体験の現象が山のように出現し、勉強と実装の繰り返し、繰り返し、でし…

小説作品から日本仏教のルーツを探る:『鳩摩羅什 ~法華教の来た道~』(立松和平/横松心平著)

鳩摩羅什(くまらじゅう)という書名を目にして衝動的に買った一冊。副題にもあるように、この方は日本に法華経をもたらした中国の高僧で、西遊記でおなじみの三蔵法師の一人である。 小説は2つの物語から構成されている。一つは現代。病苦から世をはかなみ…

演じられることの少ない名喜劇:『こわれがめ』(クライスト、岩波文庫)

クライストの書いた喜劇とはどんなものだろう。そんな疑問を持ちながら読んでみた。 さすがクライストだけあって、喜劇とはいえ辛口。割れてしまった甕を巡る裁判を通していろいろな事実が判明し、そこにオチがつく。クライストの作品の中ではわかりやすい世…

音楽や文章との感動的な出会いは、年齢とともに突如やってくる

近頃はマーラ―ばかりを聴いている。学生時代は交響曲第1番『巨人』は少し聴いていたが、それ以外はどうも肌に合わなかった(ちなみに1980年代、世紀末に迫ることを機に「空前のマーラーブーム」というものがあった。その影響で外発的に聞いていた)。が、最…

投票会場で見た民主主義の風景

新型コロナウイルスや経済問題など、世の中に課題が渦巻く中、10月、衆議院選挙が行われた。駅のコンコースに臨時設置された期日前投票会場に足を運んだ。そこは、いままでに見たことのない行列だった。国民の関心の高さがうかがえるとともに、いままでの選…

『ゼロから理解するITテクノロジー図鑑』の中国語繁体字版見本が到着

『ゼロから理解するITテクノロジー図鑑』の中国語繁体字版の見本が到着いたしました。 監修させていただいた本作が海を越えたことは感無量です。 版型はB5。大きくなりました。フォントは「字型」、ディープウェブは「深網」と訳されています。台湾において…

『ゼロから理解するITテクノロジー図鑑』の動画取材を受けました

「本TUBE」の取材を受けました 先日、「本TUBE」の取材をいただきました。紹介書籍は、監修させていただいた『ゼロから理解するITテクノロジー図鑑』です。懐かしのITガジェット紹介なども交え、楽しく、本書の魅力とITをめぐるお話をさせていただきました。…

第35回・飯田橋読書会の記録:『現代経済学の直観的方法』(長沼伸一郎 著)~「縮退」の停止した多様な世界はどこに?~

毎回連続したテーマを取り扱わないことをモットーとした飯田橋読書会。前回の『孔子伝』(白川静著)から変わって、今回は『現代経済学の直観的方法』(長沼伸一郎 著)を取り上げる。世界的に経済が混乱をきたすいまだからこそ、経済学に取り組むことには意…

19世紀の哲学者がまとめたビジネス書の原典:『法の哲学』(I/II)(ヘーゲル著)

大学時代、授業の課題図書として本書を出され、著者の意図するところがさっぱりわからずに挫折した。20代、サラリーマンになりたてのときにも再挑戦。それでも本書の意図がほとんどわからなかった。50代になり、やっと、ようやく、ドイツの哲学者ヘーゲルが…

草加せんべいをめぐる小さな文化の物語

◎草加宿を北に抜けた場所に設置された松尾芭蕉像地元の名菓に草加せんべいがある。草加は17世紀に栄えた日光街道二番目の宿場町だ。俳人の松尾芭蕉が訪れたことでも知られており、当時は戸数120軒ほどからなる小さな宿場町だった。宿場では余った米やまんじ…

秋の虫から聞こえた、命の循環と環境のこと

草むらでは秋の虫が元気に鳴いている。このところ、環境のことや健康、食べ物のこと、世界のことを考える人は増えてきたと思う。健康、食べ物のことは、10年以上前に医師たちと書籍をつくっていた関係から、よく調べたし、いまでも個人的関心は高い。とくに…

個人が事業の「ファン」として投資する、クラウドファンディングを取材

日経ムック『DXスタートアップ革命』の事例⑨で紹介された日本クラウドキャピタルが、渋谷東急本店に「FUNDINNO SHOP」を出展されました。出展最終日の9月20日(月)、取材にお伺いしました。 ◎案内してくださった日本クラウドキャピタルの向井純太郎CMOと中…

この夏の、もう一つの敗戦体験 ~第五福竜丸展示館にて~

毎年夏になると、東京新木場(夢の島)にある第五福竜丸展示館に来る。きっかけは、2011年6月に埼玉県草加市の講演で偶然お会いした、第五福竜丸の乗組員として被ばくされた大石又七さんとの対話だった。講演での質疑応答や講演後の名刺交換で20分ほど話させ…

第34回・飯田橋読書会の記録:『孔子伝』(白川静著) ~乱世に現れた反逆の聖人~

皆さんは孔子というと、どのようなイメージを持たれているだろうか。渋沢栄一の『論語と算盤』はテレビドラマの影響で最近よく話題に上がるが、孔子の名前はその『論語』の原作者として第一にあげられる。 「論語読みの論語知らず」のことわざでも『論語』は…

研修課題図書として取り上げた『学習する組織』(ピーター・センゲ著)

知活人で実施したつくば1泊リーダー研修の課題図書は『学習する組織』(ピーター・センゲ著)でした。仏陀、孔子、ソクラテス、キリスト、マホメット、道元、カント、ヘーゲル、マルクス、フロイト、ユング、レヴィ・ストロース、マリノフスキー、デリダ、な…