本とITを研究する

「本とITを研究する会」のブログです。古今東西の本を読み、勉強会などでの学びを通し、本とITと私たちの未来を考えていきます。

セミナー・レポート:ノンプログラミングでAIチャットボットができる、「Concierge U」のワークショップに参加

12月19日(水)、株式会社コンシェルジュ主催の「直感操作でらくらく高機能なAIチャットボットを作ってみよう!「Concierge U」体験型ワークショップ」が都内で開催された。そのレポートをお届けする。

「AIチャットボット」と聞いて、もはや知らない人はいまい。
WebやSNSで、端末側の人間とサーバー側のAIが自動対話する仕組みである。
2015年にマイクロソフトがLINEとTwitter上で女子高生AI「りんな」をリリースしたことで、AIチャットボットは一気に認知度が高まった。

最近ではWebのサポートページにチャットボットがよく使われている。有名なところでクラウド会計サービスを提供する「freee」では、ユーザーサポートの多くをチャットボットに任せている。

柔軟なカスタマイズに対応する「Concierge U」
株式会社コンシェルジュが提供するAIチャットボット・サービス「Concierge U」の最大の特徴は、ユーザー(チャットボットを提供する人)が独自に、ノンプログラミングでクライアント(Webアクセスをしてきた顧客)との対話内容を作成・カスタマイズできる点にある。

本ワークショップでは対話内容の作成・カスタマイズを、レクチャーに従ってパソコンから実際に行った。

必要なものは最新のGoogle Chromeブラウザのみ。もちろん、OSは問わない。

f:id:tech-dialoge:20181220113652j:plain◎会話や条件分岐のポイントとなる「ノード」を追加していく

ブラウザ上から管理画面にアクセスすると、チャットボットの作成・カスタマイズ画面が開く。

f:id:tech-dialoge:20181220113736j:plain◎ノードどうしをドラッグアンドドロップで接続することで、これら関連性が作られる

ユーザーはこの画面上で「シナリオ」を作成する。問いかけの言葉や「はい」「いいえ」といった選択肢などを「ノード」として入力。各々のノードをドラッグアンドドロップでつなぎ、対話フローや条件分岐を作成していく。

画面自体はHTML5JavaScriptで作りこまれており、ファイルのアップロードや設定の保存といったサーバーとのやり取りが発生するアクション以外は、ストレスなく、非常に軽快に操作することができる。

できあがったシナリオは、ブラウザ上でフローや関連性が一目でわかる。

応答の文章をカスタマイズする
「問われた言葉」と「返答の文章」のペアをCSVファイルに格納し、長文による返答も対応可能である。
サーバー側の「Concierge U」は入力された言葉を形態素解析し、「問われた言葉」とマッチングを実施。それに応じ「返答の文章」を返すという仕組み。

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◎クライアント側に表示する「ボタン」も設定可能

「返答の文章」に関しては、クライアントサイドに「回答は満足でしたか?」の質問が投げかけられる。それに対する「はい」「いいえ」の数量が記録され、「問われた言葉」と「返答の文章」がマッチする精度が上がっていく。さらに「はい」「いいえ」の数量はデータベース化され、ユーザーに統計情報として提供される。その他アクセスされたブラウザや端末など、一通りの統計情報がユーザーに提供される。

f:id:tech-dialoge:20181220113843j:plain◎ノードの制作が終わり「シナリオ」が完成(Q&Aサポートの例)

数あるAIチャットボット・サービスの中、「Concierge U」の特徴は、上記のようなマーケティングに強く、ユーザーに近い、という点があげられる。また、導入時のオンサイトによるサポート体制も整備されている。

顧客とのつながりを密にするAIチャットボットの新しい役割
AIチャットボットというと、人員削減やコストカットといった「働き方改革」に連動した使われ方が多く見受けられる。そんな中「Concierge U」を、「顧客との関係を密にし、企業の売り上げにつなげるソリューションとして活用してもらいたい」と、同社セールスプランナーの池頭宏和氏は語る。

同氏が言うように、AIチャットボットは人員削減のツールとしてではなく、人間どうしのコミュニケーションの質を高めるサポート・ツールへと成長していくはずだ。文脈自体を数値評価するという新しいアルゴリズムがあるシリコンバレー企業により開発されたという報告も耳にする。AIによる自然言語処理アルゴリズムは進化を続け、ここ数年で自然言語処理まわりの技術が大きく様変わりすることは間違いない。

アルゴリズムやハードウェアの進化とともに自然言語処理は進化し、AIチャットボットどうしが会話をはじめる時期が来るかもしれない(FacebookがAIどうしの会話を「強制終了させた」というニュースがあったことは記憶に新しい)。

現在、AIチャットボット業界にはおおよそ50社が林立するという。
ノンプログラミングで対話を自由に作成・カスタマイズ可能で、クライアントからの豊富な統計情報を収集できる。活用の柔軟性の高い「Concierge U」は、これから独自のポジションを築いていくであろう。他のAPIとの連携も強化されていく模様である。ぜひ、今後の動きに注目していきたい。

三津田治夫