本とITを研究する

「本とITを研究する会」のブログです。古今東西の本を読み、勉強会などでの学びを通し、本とITと私たちの未来を考えていきます。

書籍三題噺 ~本と本は次元の高いコンテキストでつながっている~

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『人生を変える心理スキル99』(岸正龍著、きこ書房刊)を読み終えた。

カバーイラストの軽さとは相まって、400ページ以上にわたって、フロイトユングなどの古典的な心理学から行動経済学までを広く取り扱い、実用的にすっきりしっかりとまとめられている。

実用性と学問性をバランスよく兼ね備えた稀な良書である。
各章トビラを開くと現れる、カバーに登場するアンドロイド少女と、作家の分身であろう主人公男子との成長の対話が面白い。

はじめはピンとこないが、後半に行くにつれて起業の物語になっている。
そのリアルな紆余曲折のプロセスがとても響く。

この写真には3冊が写っているが、これはいってみたら「書籍三題噺」である。
左の本はノーベル賞受賞学者チャード・セイラーの『行動経済学の逆襲』。
右側が詩人相田みつをの『にんげんだもの』。

『人生を変える心理スキル99』は行動経済学を実にわかりやすく紹介している。
また、チャード・セイラーは相田みつをの大のファンであるという(参考:http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4066/)。

つまり、一見脈絡がなさそうだが、

『人生を変える心理スキル99』
     ↓
行動経済学の逆襲』
    ↓
にんげんだもの

の3冊は、次元の高いコンテキストでつながっている。

本は、書店で置かれている棚が違っていたり、判型の違い、作者の置かれた本籍やイメージにより、受け手や読者が「こういうものだ」と規定している場合が多い。
しかしこうして、一段上の視点で書籍を見てみると、異なったつながりが見えてくる。

だから、本を読みたくなる
だから、本は面白い。

最後に、『人生を変える心理スキル99』は、著者の岸正龍さんからご献本いただきました。
お礼にかえてご報告いたします。

三津田治夫