本とITを研究する

「本とITを研究する会」のブログです。古今東西の本を読み、勉強会などでの学びを通し、本とITと私たちの未来を考えていきます。

個人が事業の「ファン」として投資する、クラウドファンディングを取材

日経ムック『DXスタートアップ革命』の事例⑨で紹介された日本クラウドキャピタルが、渋谷東急本店に「FUNDINNO SHOP」を出展されました。
出展最終日の9月20日(月)、取材にお伺いしました。

f:id:tech-dialoge:20210922130128j:plain◎案内してくださった日本クラウドキャピタルの向井純太郎CMO中村優子さん。

「FUNDINNO」は、個人投資家が事業の「ファン」として投資する、株式投資クラウドファンディングのサービス。投資先各社が出展されていました。

f:id:tech-dialoge:20210922130306j:plain『DXスタートアップ革命』の展示を発見

f:id:tech-dialoge:20210922130335j:plain◎足をスキャンし、3Dプリンターによる最新技術を使い、一生もののフルオーダー靴が10万円を切る低価格で手に入る「菖蒲」「AYAME」ブランドを提供するcrossDs japanの諏訪部代表(中央)たち

f:id:tech-dialoge:20210922130412j:plain◎足型の3Dプリンター。14時間で足型を生成する

近年「タンス預金」は増加傾向にあり、日銀発表では2020年12月時点で初の100兆円突破の101兆円となり、過去最高を記録したという。
人間の防衛本能は即座に経済活動に如実に現れる。
こと新型コロナウイルスによる心理的影響は大きい。

f:id:tech-dialoge:20210922130557j:plain◎沖縄の卓球チーム「琉球アスティーダ」の応援グッズ&、沖縄物産

世の中は本来、血液のようにお金が循環して活動するものだ。
タンスに入った101兆円は、言い換えれば、いつ使われるかわからない輸血用バッグに蓄えられた血液。
しかも個人の自宅に。
個人の所有であれ、世の中に循環させてお金は初めて活きる。
その意味で「投資は体験」というFUNDINNOのコンセプトは時代の要求に一つだろう。

日本ではお金や投資というと、1970年代の田中角栄金権政治、2000年代の村上ファンドライブドア事件など、なにかとネガティブなイメージが多い。
日本人古来のメンタリティに由来するものなのかは定かでないが、かつて「米」が財力のベンチマークとして使われていた時代が長かったことから、お金への潜在的なネガティブイメージに関連しているように思える。
ともあれ、勤務する会社も収益と投資、融資、資金繰りによって成り立っている。
また、投票した政党も政治献金や投資、助成金で成り立っている。
住んでいる地方自治体も税収や公共投資によって成り立っている。
お金と投資は我々の生活でいつもつながり、循環している。

その昔、「交通戦争」という言葉があった。
交通事故で自動車は人命を奪い、排ガスは光化学スモッグをもたらす。
だから自動車は社会的にネガティブな存在である、という論調だ。
いま、自動車を社会的にネガティブな存在という人はどれだけいるだろうか。
自動車は、産業、物流、日常など、社会になくてはならない存在だ。

同様に、いまはお金や投資の意味も再定義される時期にある。
接触が推奨されるこの時代、お金や投資という「媒体」「記号」も重要である。
お金や投資に対する教育やサービスの登場を通し、お金を社会的にネガティブな存在という人はどれだけいるだろうか、と問われる日は近いだろう。

お金と投資の在り方を見せていただくことで、知と発見のあった貴重な出展だった。