本日、2025年1月11日(土)をもちまして、当社株式会社ツークンフト・ワークスは創業8年目を迎えることになりました。
ここまで来られたのは、事業活動を支えてくださった著者様ならびに読者の方々、パートナー企業様、デザイナーさんなど出版プロフェッショナル、書店の方々、公私にわたり活動を支えてくださった皆様が、共に歩んでくださったことにほかなりません。
月並みになりますが、ここをもって、深くお礼を申し上げます。
あっという間で長かった8年目を迎え、10年目までも目前となりました。
改めて、当社が一体何者で、なにをする企業なのかを考えてみました。
当社起業の原点に立ち返り、本年は以下2点に注力して活動を行ってまいります。
①ITのための「技術継承」を行う
②身体性が見えるアナログ仕事を行う
以下、それぞれについて書かせていただきます。
①ITのための「技術継承」を行う
日本のデジタル競争力の伸び悩みはたびたび報道されています。
スイスの国際経営開発研究所(IMD)が2024年11月に発表した「世界デジタル競争力ランキング」で日本は31位、「デジタルスキルの習得」にいたっては67位という結果でした。
IT教育を熱心に行う先生方、解説動画や資格試験の種類は増え、勤勉で学習熱心な日本人がITを学ぶ機会に事欠かないのにです。
なにかがすっぽり抜け落ちているはずです。
最近よく耳にするのは「IT関連の資格試験がビジネス化している」という言葉です。もちろん、資格試験は人の社会的なスキルを底上げする素晴らしい仕組みですし、寄付やボランティアなしに人が動いている限りビジネスは必須です。
しかし、もしかしたら、手段から目的がすっぽり抜け落ちてしまっているのかもしれません。
IT出版においては、出版不況など業界構造の変化から、読み継がれる定番技術書籍や、技術を詳解したしっかりとした本を出しづらくなってきています。ここに、すっぽり抜け落ちているなにかがあるという仮説を当社は持っています。
こうした現状を憂慮し、自費出版でIT書籍の出版を行う人たちも増えてきましたが、ページ数が100を超えるとまとめきれない、共著の扱いが難しい、などの限界があるという相談を受けることもありました。
IT書籍における商業出版の機能と目的は、本づくりのプロたちが「出版物を通して技術を継承する」ところにあります。それを実現するための手段としてビジネス(商業)があります。
目的と手段の構造がゆがむことで、出版物を通して技術を継承するという行為自体が回っていないのではないかと当社では考えています。
上記のようなことからも、株式会社ツークンフト・ワークスでは、社会に資する「技術継承」をミッションに、業界のエキスパートたちを筆者にお招きし、出版活動を実施してまいります。
②身体性が見えるアナログ仕事を行う
①に関連し、②にも力を入れ、技術継承を行います。
技術とは、AIプログラミングやメディアなどの人工物を、人間というアナログの身体が生み出すための知見と手段です。
人間の身体が生み出したメディアの原点を、当社では「本」であるとしています。本を原点に、技術継承につながる技術共有、技術伝達の仕事に注力します。
人間は言葉という技術を共有することで初めて、文化という独自の意識を形成しました。そして文化を中心に、宗教や科学、芸術、商業といった、さまざまな生活圏を手にしてきました。
半面、科学の発展において、巨大IT企業が力を持ち、本来人間に自由とつながりをもたらするはずのITという存在が、いまや権力と分断という言葉へと置き換わりつつあります。これはAIの進化を通し、日々加速しています。
ITが発展すればするほど、ITは人間と一体化し、ITの存在は見えづらくなります。そうしたITの未来を見据え、「本」や、人間同士の対話・接触といったアナログの活動に、AIやオンラインといったデジタルを意識的に活用しつつ、力を入れたいと思っております。
ITにより、数十年、もしくはそれ以上、世の中は変革と再編を繰り返していきます。むしろこれからの平穏は、変革と再編の中から生み出されるものとなっていきます。
ITが取り巻く変革の世の中、当社8年目もいままでと変わらず、なにとぞごひいきのほど、よろしくお願い申し上げます。
株式会社ツークンフト・ワークス
代表出版プロデューサー 三津田治夫