本とITを研究する

「本とITを研究する会」のブログです。古今東西の本を読み、勉強会などでの学びを通し、本とITと私たちの未来を考えていきます。

驚異のiSO式フラッシュ速読と、子どもの脳の不思議な力

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このところ速読が注目されている。
欧米の横文字文化では速読が当たり前で、アメリカのケネディ大統領が速読の技術で大量な書類をさばいていたというエピソードはよく耳にする。
1960年代から日本でも日本語の速読をビジネス用途で開発する人たちが現れ、同時に速読を扱った書籍が出はじめ、1980年代には韓国のキム式、パク式速読で日本に一大ブームが巻き起こった。

「飛ばし読みじゃないか」「斜め読み?」という懐疑論も多い中、着実に速読は定番技術化しつつある。
ビジネス書なら1冊数分で読めるのが速読術である。
そのスキルに到達するまでのトレーニングの内容と時間が最も重要である。

超高速速読の力を身につけた中学2年生の少女
仕事で速読の調査や取材をする中、ある中学2年生の少女の動画と出会う機会があった。
この子は400ページあるミヒャエル・エンデの長編『モモ』を数秒で読み、直後、あらすじを暗唱してしまうのだ。
そして1ヶ月後、「類似のスキルを持った女子中学生を発見した」と、iSO式フラッシュ速読の開発者である磯一郎先生から報告を受けた。
磯一郎先生は、1973年から40年以上、速読の開発を続けている権威である。
後日、この子の速読トレーニングに立ち会うことができた。

はじめは読書すらおぼつかない子だったが、数時間のトレーニングで、ディズニー作品をノベライズした子供向け新書を、ものの15秒で読めるようになった。

事実は小説よりも奇なり。
この衝撃は隠しきれなかった。
信じられない。
しかし、明らかな現実として起こっている。

活字が視覚を通して脳に入り込み、そこでなんらかの処理がなされている。
この子は、速読した内容を文字に書き出していた。
読み上げるのは15秒だが、書き上げるのには何10分もかかる。
一文字一文字、頭から情報を絞り出すようにアウトプットしながら、見事にあらすじが再現されていた。

磯一郎先生によると、このような超高速速読術は、子供にしか身につかないという。
科学的なエビデンス首都大学東京との共同研究で現在検証中だが、察するに、脳の成長期にのみ発現する特殊な能力なのだろう。

このような事実に直面し、私はふと「カスパー・ハウザー」を思い出した。
カスパー・ハウザーは、19世紀のドイツに現れた謎の少年で、哲学者フォイエルバッハの父である法学者のA.V.フォイエルバッハが彼について克明にレポートしている。
壁の向こうを透視したり、暗闇の中で文字や色を識別したりなど、数々のありえない能力を発揮したという。
1991年の本だが、フォイエルバッハの『カスパー・ハウザー』(福武書店)が文庫として翻訳されているので、興味があっったらぜひ読んでいただきたい。

もう1人思い出したのは、フランスの詩人アルチュール・ランボーである。
10代のうちに文学史に残る詩作を数々生み出した天才で、成人すると突如断筆し、商売人に転身してしまった。
歴史的名作『酔いどれ船』を書いたのが1871年
実に17歳である。

子供の速読能力に上記2名を引き合いに出したのは、子供時代にしか持ちえない脳の力の脅威に共通点を見たからである。
だからこそ、子供の情操教育は大事だし、幼児期に与える愛情はその子の一生に大きな影響を与える意味でとても重要だ。
そんな脅威の時期に、子供たちが高速に文章をインプットする能力を身につけたら、なにが起こるだろうか。
受験用の学習はもちろんのこと、大量な文芸作品や歴史書に触れることができる。
選別された言葉が大量にインプットされることで、豊かな知識と心が養われる。

豊富な体験と語彙力が大人の脳の力を高める
同じことは、大人にも言える。
脳の成長は成人とともに停止するが、使っていない脳の部位や潜在意識は意図的に活動させることが可能だ。
これにより、成人後にも速読の能力を飛躍的に高めることができる。

そもそも、大人には、子供にはない豊富な体験と語彙力がある。
インプットした文章と自分の持つ体験や言葉の意味をマッチングさせることで、文章を記憶に深く定着させることができる。
そして、定着させた文章を経験と語彙力使ってアウトプットすることができる。
大人にしか持ちえない力で速読術を身につけ、活用することができるのだ。

これにより、文字に接する態度はまったく変わってくる。
現に私も、iSO式フラッシュ速読をトレーニング中だが、読書のスピードがすでに平均の10倍以上にアップしている。
また、自分に必要な書籍に素早くアクセスできる力が身についた。
それがひいては、言葉に対する自身にもつながっている。

単に本を早く読むだけの術でないのが、磯一郎先生が開発したiSO式フラッシュ速読の最大の特徴である。
インプットした文字情報を定着させ、的確にアウトプットさせるテクニックの一つでもあるのだ。
今後は各方面にiSO式フラッシュ速読は適用されるであろう。
世間にはさまざまな種類の速読術が公開されている、興味のある人は、自分に合った速読術を選び、体験してみることをお勧めする。

デジタルの時代が進めば進むほど、アート作品や料理といったアナログのものに、非常に高い価値付けがなされる。
文字情報も同じである。
つまり、検索エンジンが拾ってきた情報の価値は低い。
人間が脳の各部位をフル回転させて選び抜いた情報にこそ価値がある。
そしてその情報を人間が再構成し、アウトプットしたものにこそ価値がある。
iSO式フラッシュ速読との出会いを通して、そんな時代が来ていることを強く感じている。

三津田治夫