本とITを研究する

「本とITを研究する会」のブログです。古今東西の本を読み、勉強会などでの学びを通し、本とITと私たちの未来を考えていきます。

2023-10-01から1ヶ月間の記事一覧

読みました:『人間の条件』(ハンナ・アーレント著)~大衆の中での個人主義のあるべき姿~

ハンナ・アーレント(1906~1975年)と聞くと、全体主義批判の社会学者、ハイデッガーの元カノだったというイメージが先行するが、実際、本作『人間の条件』(1958年)とはどういった作品なのだろうか。先入観を排除して頭をクリアにし、独自解釈を施してみ…

読みました:『世界インフレの謎』(渡辺努著) ~経済解決はトリクルダウンか賃金アップか? 介入か対話か?~

COVID19による人間の移動の制約でグローバル物流が分断され、世界の物の動きが停滞した。物不足、世界インフレが発生。さらには戦争が追い打ちをかけ、状況を複雑化させている。この問題を起点に、本作の論旨が展開される。 パンデミック終息後もいまだ世界…

第43回・飯田橋読書会の記録:『昨日の世界』(Ⅰ・Ⅱ)(シュテファン・ツヴァイク著)

今回の課題図書は、2度目に取り上げることになったオーストリアの作家、シュテファン・ツヴァイク(1881~1942年)の自伝、『昨日の世界』(1942年)であった(ちなみに前回は『人類の星の時間』)。 定例読書会の課題図書として私が初めて選書した作品で、…

ChatGPTは人類を超えるか?

ChatGPTが巷で大流行だ。一時の過熱ぶりからは落ち着いてきたとはいえ、この言葉を聞かない日はない。イーロン・マスクなどシリコンバレー系の識者が意味ありげな発言をしたり、新バージョンに対する期待感、ビジネスの根底を書き換えるのではないかという不…