ブックレビュー
いわゆる評論とは、「〇〇主義」や「××説」、「□□論」という引用やひな形が論調のベースに敷かれることが多い。しかし本作はそうではない。ドストエフスキーが書き記した言葉そのもの、言語そのものに迫り、彼の作品の本質に迫る、共感が多い文芸評論である。…
2025年5月24日(土)、第51回目の読書会を飾った選書のテーマは「オカルト」である。 皆さんは、オカルトという言葉を聞いてどんなものをイメージするだろうか。不思議、怖い、得体が知れない、そんなものに関心がある人自体が気持ち悪い、などがあるだろう。…
伝説のストリッパーの晩年を取材した作品。メディアに潰された人間の分析、アウトサイダー社会分析、精神病理学的観点など、さまざまな視点からの思考が行間に織り込まれた作品。 体当たりで本作を取材上梓した作者の加藤詩子氏、現在は沖縄で精神カウンセラ…
7月27日、企業での導入が進む「GX」(グリーン・トランスフォーメーション)を解説した入門書、『GX実践の教科書』が発刊された。 当社、株式会社ツークンフト・ワークスが「X」(トランスフォーメーション)をテーマに企画を手がけて以来、4年ぶりの新刊。…
映画『アッカットーネ』の脚本文学。パゾリーニは世間の評価や一部の映画の評判、短い人生だけを見聞すると超異端の怪人だが、作品に接すると、まぎれもない天才アーティストである。そうした認識転換のきっかけは、映画通の友人からDVDを借りたり、四方田さ…
とてつもない大作。一度は読んでみたいと思いつつ、なかなか手を出す機会がなかった。今回一気に読ませていただいた。 この大作を5歳児に向けて要約するとどうなるのだろうか。いま話題のChatGPTに聞いてみた。 ---**「オリエンタリズム」ってどんな本?**「…
本作には、音楽家、グスタフ・マーラー(1860~1911年)を評し称えた、当時西洋で発表された関係者による雑誌記事や論考が便覧的に収録されている。 大きく分けて、マーラーの活躍時代、没直後、没後数十年の、3時代からの記事が掲載されている。 寄稿者は、…
今回は記念すべきキリ番の第50回目である。 皆さんは「アメリカ」という国の名前を聞いて、なにをイメージするだろうか。世代により国名から響くイメージが相当異なるはずだ。 たとえば戦中派は、「外国の象徴」だったり「カッコいい」「憧れ」のイメージだ…
当社株式会社ツークンフト・ワークスがプロデュースさせていただいた『ゼロからわかるITほんき入門+マンガ 生成AIのなかみ』の重版が決定した。本シリーズ第一弾の重版である。 著者の黒川なおさん、監修の橋本泰一さんの筆力やサポート力はもとより、マン…
当社、株式会社ツークンフト・ワークスがプロデュースさせていただいた新刊、『ビジネスリーダーのための意思決定の教科書』が読者から評価をいただき、発売後2週間で重版が決定した。 ◎2025年4月23日付の日本経済新聞に掲載された広告 企画立ち上げ当初は、…
昔、ドリフのコントで「もしものコーナー」というものがあった。「もしも直木賞作家の山口瞳が考古学者だったら」と設定したら、きっとこんな本が書かれるだろう。そういった示唆に富んだ名著だった。 なにより、私が生まれた昭和の葛飾立石についての物語が…
今回で第2回目を数えることができた「ピアニスト髙橋望によるブックトークと音楽」。2025年2月16日日曜日の午後、ピアノカフェ・ベヒシュタインにて、多くのお客さんに囲まれ、本と音楽のマリアージュが2時間展開された。(第1回目の模様はこちら) 今回ブッ…
『WTF経済 ―絶望または驚異の未来と我々の選択』を読みました。IT出版人ティム・オライリーの書下ろし。献本いただいてさっと読んで書架に入れてしまったが、改めて精読する機会があり、実に面白く、500ページを超える大著だが、作品にのめりこんでしまった…
当社、株式会社ツークンフト・ワークスでお手伝いさせていただいた『ゼロからわかるITほんき入門+まんが』シリーズ、書店で順調に売れているとの報告を版元から受けました。 以下、シリーズ第1、2弾がすでに発刊されており、第3弾は年内配本予定として計画…
皆さんはエドガー・アラン・ポーという名前を聞いて、思いうかべることはあるだろうか。 私は中学一年、ポーの作品が初の海外文学体験だった。きっかけは、当時本などまったく読まなかった私にあるとき、図書室にあったポプラ社の江戸川乱歩にのめり込んだ時…
ゴンブロヴィッチはブルーノ・シュルツやヴィトキエヴィッチと並んでポーランド文学の異端派として名が知られている、南米アルゼンチン亡命の作家。彼の作品は『フェルディドゥルケ』に3回挑戦したが理解ができなかった。そして『ポルノグラフィア』は彼の作…
『チームでの未来戦略の描き方 はじめてでもできるDX・事業変革プロセス入門』(インプレス刊)の見本が到着いたしました。 ITエンジニア観点からの、事業開発・変革のためのDX(デジタル・トランスフォーメーション)ならびに戦略、プロセスを描いています…
その昔、頭の冴えた女性が社会に出てくると、攻撃的、闘争的というイメージが強かった。長らく続いた世界的な男尊女卑の反動から、こうした女性の男性化という戦略で、女性たちは男女同権を勝ち取ろうと努力をしてきた。個人的には1970年代「中ピ連」などウ…
ユルゲン・ハーバーマスの『自然主義と宗教の間』を行きつ戻りつ読んだ。近年の論文ばかりを集めたこの本、いわばハーバーマスの詰め合わせ。ハーバーマスが来日したときに京都で語った感動的な講演録(幼少期の体験から思索への出会い)をはじめ、後半のカ…
都内で読書会を開催。参加者は五名。テーマは、カントと、柄谷行人の『トランスクリティーク』。 話題のほとんどはカントの認識論的形而上学でした。 次回は、西洋哲学と東洋哲学を横断したテーマにしたトランスクリティークを試みたいという要望から、2月22…
今回のテーマは2冊ということで、ミヒャエル・エンデの『モモ』と大島弓子の『綿の国星』の組み合わせだった。前回、「次回のテーマ」を考える際、参加者から『モモ』の声があがり、「ならば『綿の国星』も」と、どんな関連が見出されたのかわからないが、こ…
今回のテーマは、「山田風太郎著『婆娑羅』と網野義彦著『異形の王権』を読み解く」でした。 乱世の時代とはなにか、そもそも南北朝とはなんだったのか、後醍醐天皇は怪人だった、などの意見が2時間飛び交いました。博覧強記の先輩方の薫陶を受け、私の脳は…
今回のテーマは高田宏著『言葉の海へ』でした。西洋に比肩する日本初の国語事典『言海』を編纂した、大槻文彦の評伝小説。 前半の8割が幕末や明治維新を舞台にした人間模様、戦争の物語。後半の2割が辞書作りの話。この辺が『船を編む』の原案になっている。…
ひと昔前「空気読めよ」という言葉が流行った。今回取り上げた『「空気」の研究』(1977年、山本七平著)は、まさにこの流行り言葉の先鞭をつけた作品である。本読書会ではおもに、古典の文学や評論、思想を中心に、誰もが読むベストセラーではないが、一定…
8月5日、当社で制作をお手伝いさせていただいた新刊『データ分析に強くなるSQLレシピ』 ~小規模データの前処理・分析の書き方&テクニック~が発刊されました。 RDB(リレーショナル・データベース)とSQL(データベースを操作する言語)という、レガシーで…
『マタイ受難曲』(磯山雅 著、東京書籍刊)のオリジナルは残念ながら現在絶版。文庫版にフォーマットを変え再刊されている。 このカバー、実は半透明のハトロン紙。これを外すと、光沢表紙へ4色で印刷されたイエス・キリスト像とバッハの楽譜が出てくる。 …
(2022年5月14日、こんな本と出会っていた)明日で沖縄本土復帰50周年である。本作『つながる沖縄近現代史: 沖縄のいまを考えるための十五章と二十のコラム』は、那覇空港の書店にて、カバーとオビが目に飛び込んできたので買ってみたものだ。以下、沖縄は非…
今回は、読書会初の韓国文学への挑戦である。 2016年、イギリスのマン・ブッカー国際賞を受賞した作家、ハン・ガンによる『少年が来る』を取り上げた。 ハン・ガンは1970年生まれ。本作は、彼女の生地、かつての全羅南道道庁所在地の光州で起こった「光州事…
我々が運営する知活人コミュニティが、出版事業を開始しました。その第一弾刊行物が、『埼玉を食べつくす“ネイタマ” Native Saitama: 魅惑のフード合衆国・人生を賭ける埼玉メシのすべて』(高橋智 著)です。 著者の高橋智(プリティ・ワンダフル・サトシ)…
当社株式会社ツークンフト・ワークスにて『経営層のためのサイバーセキュリティ実践入門 ~生成AI、DX、コネクティビティ時代を勝ち抜くための必須スキル~』(淵上真一 監修)の制作のお手伝いをさせていただきました。 232ページの紙幅に、生成AIとクラウ…