本とITを研究する

「本とITを研究する会」のブログです。古今東西の本を読み、勉強会などでの学びを通し、本とITと私たちの未来を考えていきます。

読みました:『ネオ・ダダの逆説 ~反芸術と芸術~』(菅章 著、みすず書房 刊) ~アートとその本質とのジレンマ~

作者は『現代美術史』(山本浩貴著)に記された日本現代美術史を取り上げ、「驚くべきことに〈ネオ・ダダ〉は〈ハイレッド・センター〉の項目の中で、赤瀬川原平を語る際(「赤瀬川原平とネオ・ダダ」という小見出しが付され)わずか10行の記述にとどまり、…

「SEによる、SEのためのパワー交換会」を開催しました。

2月14日(水)、「顔OFF OK」ということで、IT開発現場のエンジニアたちが11人集まり、IT書籍著者・IT教育コンテンツ開発者の谷藤賢一氏を中心に、参加者たちとの現場ぶっちゃけ本音トーク「SEによる、SEのためのパワー交換会」を、のべで3時間行った。 独立…

第45回・飯田橋読書会の記録:『アラブが見た十字軍』(アミン・マアルーフ著)

2023年ラストの飯田橋読書会は、『アラブが見た十字軍』(アミン・マアルーフ著、 筑摩書房刊)を取り上げた。アラブが語られる際に、私たちの耳目に入る情報は西洋からのものがほとんどであるが、本作はアラブがいかに西洋から侵略されたのかという逆の視点…

「クイーンと私」【その3】:『クイーン詩集』

クイーンの歌詞は、取りつく島のない、物寂しい、薄暗いものが多い。その対極に「バイシクル・レース」のような純粋な言葉遊びがあったり、クイーンの作り出す詩の世界のコンテキストは奥深く広い。 私が『クイーン詩集』を買った当時(大学生)も、クイーン…

2/23(金)休日、イベント「ピアニストによる ブックトークと音楽」を開催します

FM番組「クラシック音楽への旅」のパーソナリティをつとめるピアニスト髙橋望が、本と音楽のコラボ・イベントを開催します。 ゲーテ、バッハ、三島由紀夫、シューベルト、川端康成、ショパン、E.T.A.ホフマン、シューマン、チャールズ・バーニーなど……。古今…

読みました:『ねむれ巴里』(金子光晴著)~濃い日本人が多数登場する1930年詩人のパリ滞在記~

少女の頭蓋骨から作った杯を見たとか、川の上の娼館から落ちた娼婦が鰐に食われたとか、どこまでが本当でどこからが詩想なのか、境界線がほとんど見えない金子光晴(1895~1975年)の作品は面白い。本作は純粋な紀行文学、文明論、エッセイとして味読できる…

「クイーンと私」【その2】:『戦慄の女王』

デビューアルバム『戦慄の女王』において、すでにクイーンは完成されていた。映画『ボヘミアン・ラプソディ』ではこれ以前の、ブライアン・メイとロジャー・テイラーが結成した「スマイル」の時代から描かれている。スマイルがあのままのバンドだったら、よ…

読みました:中欧の香り漂うポーランド文学『逃亡派』(オルガ・トカルチュク 著、小椋彩 訳)

旅の物語や解剖学にまつわる昔話、量子力学、ショパンの心臓のエピソードなど、116の断章からなる不思議なポーランド文学。ポーランドと言えばお隣のウクライナが緊張状態で大変なことになっている。このような、西と東の狭間にある地理的状況と、それゆえの…

「クイーンと私」【その1】:『Queen2』

写真の『Queen2』は、15歳のとき(1983年)、私が生まれて初めて購入した輸入盤LPレコード。当時国内版LPというと2600円したが、輸入盤だと1700円で買えたので、葛飾の自宅からお茶の水まで電車賃節約のため自転車をこいで『Queen2』を買いに行ったものだ。 …

当社株式会社ツークンフト・ワークスは創業7年目を迎えることができました

本日、2024年1月11日(木)をもちまして、当社株式会社ツークンフト・ワークスは創業7年目を迎えることができました。ここまで来られたのは、支えてくださった皆様のお力にほかなりません。ここをもって、厚くお礼を申し上げます。 2018年1月、雪が降りそう…

読みました:『詐欺師フェーリクス・クルルの告白』(トーマス・マン著)

未完の中編ながらも、実は、本作は名著『魔の山』『ヴェニスに死す』にはめ込む挿話として構想されていたものだという。1922~1937年の作品。 トーマス・マン独特の、言葉をこねくり回したような表現と、この時代のドイツ語文学ならではの描写や文脈が盛りだ…

『リチャード三世』を読みました ~イングランド・シェイクスピア・デスメタルの深い関係~

10月に亡くなった友人の元Toransgressor(トランスグレッサー)Bass、キクちゃんが住んでいたストラトフォード・アポン・エイヴォンの作家、シェイクスピア『リチャード三世』を読んでいた。 シェイクスピアの悲劇といえば『ハムレット』や『マクベス』『リ…

バッハの大作をつづる、『ヨハネ受難曲』(礒山雅著)を読みました

師走になると日本もしだいにキリスト教の雰囲気(クリスマス商戦)になっていくが、課題図書として読んだイスラム教をめぐる歴史書『アラブが見た十字軍』から一変し、今度は『ヨハネ受難曲』(礒山雅著)を読んだ。原曲を聞きながら何度も読むとさらに味わ…

第44回飯田橋読書会の記録:『百年の孤独』(ガルシア・マルケス著)

前回の『昨日の世界』(シュテファン・ツヴァイク著)と打って変わって、今回は南米コロンビアのノーベル文学賞作家、ガルシア・マルケス(1928~2014年)の代表作、『百年の孤独』(原作1967年発表。日本発表1972年)を取り上げた。 架空の町マコンドを舞台…

副業から生まれる新「資本」主義

90年代の日本企業では、経営者が従業員に対して「経営者意識を持って仕事に臨め」「つねに強い危機感を持て」と檄を飛ばしている場面がしばしば見られた。 実際に企業で従業員が経営者意識を持ってしまったら大変なことになる。従業員が役員をクビにしたり、…

『アラブが見た十字軍』(アミン・マアルーフ著)を読みました

昨今の課題であるパレスチナ問題を深く知ろうということで、今年最後の読書会のテーマとして取り上げられた作品。十字軍とパレスチナ問題の大きな違いは、やる側がバチカンかアメリカかという点。しかしやられる側はつねにアラブ人である。 歴史とは常に勝者…

人間がクリエイトする意味はどこのあるのか?

ChatGPTというAIが登場することにより、人間のやるべきことが人間の鏡としてのAIに映し出されてきたことは、前回に書いた。 人間とAIの違いがわからなくなってきたのだ。ChatGPTは人間のような振る舞いで人間に似た答えを出してくる。それは当たり前である。…

読みました:『人間の条件』(ハンナ・アーレント著)~大衆の中での個人主義のあるべき姿~

ハンナ・アーレント(1906~1975年)と聞くと、全体主義批判の社会学者、ハイデッガーの元カノだったというイメージが先行するが、実際、本作『人間の条件』(1958年)とはどういった作品なのだろうか。先入観を排除して頭をクリアにし、独自解釈を施してみ…

読みました:『世界インフレの謎』(渡辺努著) ~経済解決はトリクルダウンか賃金アップか? 介入か対話か?~

COVID19による人間の移動の制約でグローバル物流が分断され、世界の物の動きが停滞した。物不足、世界インフレが発生。さらには戦争が追い打ちをかけ、状況を複雑化させている。この問題を起点に、本作の論旨が展開される。 パンデミック終息後もいまだ世界…

第43回飯田橋読書会の記録:『昨日の世界』(Ⅰ・Ⅱ)(シュテファン・ツヴァイク著)

今回の課題図書は、2度目に取り上げることになったオーストリアの作家、シュテファン・ツヴァイク(1881~1942年)の自伝、『昨日の世界』(1942年)であった(ちなみに前回は『人類の星の時間』)。 定例読書会の課題図書として私が初めて選書した作品で、…

ChatGPTは人類を超えるか?

ChatGPTが巷で大流行だ。一時の過熱ぶりからは落ち着いてきたとはいえ、この言葉を聞かない日はない。イーロン・マスクなどシリコンバレー系の識者が意味ありげな発言をしたり、新バージョンに対する期待感、ビジネスの根底を書き換えるのではないかという不…

昭和の教育とは、いったいなんだったのだろうか。

近ごろは世の中が多様化し、教育の世界でも多様化に対応するべく、STEAM(Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Art(芸術)、Mathematics(数学))という言葉が使われ出している。 無意識に多様化という言葉を使ってしまったが、本…

『ゼロから理解するITテクノロジー図鑑』、中国語簡体字版が発刊

『ゼロから理解するITテクノロジー図鑑』 の、中国語簡体字版の見本がプレジデント社から到着いたしました。 コンパクトに美しくまとまっており、各国の編集者や読者の嗜好の違いを知るとともに、率直に、感動しました。 これにて、日本語原版にあわせ、韓国…

第42回・飯田橋読書会の記録:『世界史の誕生』(岡田英弘著)

歴史とはなんだろうか?歴史とは、過去に記述された文献や、人類が作り上げた物体の蓄積である。そして歴史学とは、これらを採集・解釈・再構成し、いまに生きる私たちの知恵として役立てるための学問である。また、歴史にはエンタテイメントの要素もある。…

『昨日の世界』を読了しました ~3つの時代を生き抜いたウィーン作家の壮大な自伝~

シュテファン・ツヴァイク(1881~1942年)の自伝、『昨日の世界』を読み終えた。定例読書会の課題図書として、私が初めて選書した作品。選書しておいて、647ページの大作を手にして一瞬面くらったが、私にとって非常に興味深い内容で、一気に読むことができ…

小さな創造と集合知。これらが動き出し、イノベーションのタネを生む

日本が年々国際競争力を失う中、たびたび「イノベーション」という言葉が引き合いに出される。 先日とあるセミナーに参加し、印象深い公式をお見せいただいた。それは クリエイション × オペレーション = イノベーション である。いまの日本人は、アイデア…

第41回・飯田橋読書会の記録:『舞姫・阿部一族』(森鴎外著)

森鴎外と聞くと、あまりにも古い作家だったり、国語の教科書を思い出したりなどと、なんだか遠い、お勉強の世界にある作家だというイメージを持つ人が少なくないかもしれない。 今回取り上げる『舞姫・阿部一族』は、明治(とはいえ生まれは幕末)の文豪、森…

読みました:『はてしない物語』(ミヒャエル・エンデ) ~大人も楽しめる政治メタファー・ファンタジー~

これはおもしろい。大作ファンタジー。エンデの世界観は壮大で好感が持てる。作品の使命とは、世界の可視化である。しかもエンデの場合は児童文学という領域で、大人が作り上げている世界を可視化している。 『モモ』が経済学の物語であるとしたら、『はてし…

第1版から11年を経て、『ビジネスサイトを作って学ぶ WordPressの教科書 Ver.6.x対応版』が発刊

先日、当社株式会社ツークンフト・ワークスが企画と制作を担当した、『ビジネスサイトを作って学ぶ WordPressの教科書 Ver.6.x対応版』が発刊されました。 本作の第1版が発刊されたのは2012年3月。あれから11年の月日が流れ、当時としては考えづらかった、簡…

『DXビジネスモデル』(小野塚征志 著、インプレス刊)の重版見本が到着

『DXビジネスモデル 80事例に学ぶ利益を生み出す攻めの戦略』(小野塚征志 著、インプレス刊)の重版見本が届きました。 2022年5月発刊以来重版が続いており、「続々重版!」の帯コピーが冠されています。 「DX」(デジタルトランスフォーメーション)を知る…