読書会、開催12年目にしてとうとうやってきてしまったのが、西洋哲学の巨人、エマニュエル・カントである。今回の選書はその中でも比較的わかりやすいといわれている、カント自身が書いたカント哲学の入門書『プロレゴーメナ』である。 学生時代に哲学書を読…
大変な名作、奇書。訳した翻訳者も企画を通した編集者・出版社、いずれも大仕事だったことが想像できる。フランス語初版は1947年出版で、日本語版は1996年。実に半世紀を経て翻訳出版にいたっている。 イタリア語版の翻訳はウンベルト・エーコ税込3,738円と…
本作、シェイクスピアのデビュー作は全3部の長編大河戯曲。第2部から不気味な権勢争いになり、後半からは血で血を洗う系シェイクスピア悲劇の世界に一気に突入。 後半から徐々にシェイクスピアらしい詩的な長台詞が増え、『リア王』や『マクベス』『ハムレッ…
資本主義を徹底解明したマルクス・エンゲルスの脳内で起こった、思考の流れが読み取れる作品。彼らの扇動的な文体が興味深い。 学生時代、本作をドイツ思想の一般的な解説書だと大きな勘違いをして何度か手を出した(ちなみに同級生たちは本作を『ドイデ』と…
UV加工が施されたカバーに箔押しの帯には「全米200万部突破」とある。鈴木成一のブックデザインが特徴的な作品、『ジェイムズ』が今回の課題図書である。 マーク・トウェイン著『ハックルベリー・フィンの冒険』を、ハックの従者でパートナーの黒人奴隷ジム…
『じわじわわかる機械学習 データ分析・AIアルゴリズムのなかみ』(橋本泰一著)の見本が届きました。書店でも配本が開始されています。数式らしき数式を一切使わず、言葉とイラストで機械学習の豊かな世界をイメージとしてつかみとれる構成です。「機械学習…
サイードがラジオ出演したときの模様を収録した作品。難解な言葉や文脈がほとんどなく、読みやすい。1994年という30年以上前の作品として、まったくの「いま」を予言しており、素晴らしく、また恐ろしい本だった。パレスチナの悲惨な状況のいま(の方がさら…
2026年2月14日(土)、都内で「第3回 ピアニスト髙橋望による ブックトークと音楽」が開催された。5月15日(金)の「バッハ・フランス組曲全曲演奏会」に先立ち、ブックトークと共に、バッハの以下楽曲が演奏された。 ・フランス組曲第1番 ニ短調 BWV 812ア…
世界史の成立が「交換」という切り口から俯瞰的にわかりやすくまとまっている。節の長さは適度に調整されており、「例えば」が多用されるなど、読者に読ませる工夫は多い。専門用語やわかりづらい部分は読み飛ばしても十分に理解できる。次世代を担う人たち…
ソクラテスは知の産婆術師といわれるぐらいで、他者との対話を通して相手の無知を気付かせる(無知の知)という、クリエイティブで生成的、啓蒙的な人物である。 たとえば、ソクラテスが処刑される直前に知の真理を熱弁した『ソクラテスの弁明』や、ソフィス…
3月15日(日)、トークとコンサート、落語を交えたシンポジウム「音楽×数学×料理 <デタラメのすすめ> ~不規則のイノベーション~」が都内で開催されます。当ブログの運営企業 株式会社ツークンフト・ワークスが協賛しております。登壇者は各界で才能をふ…
当社で制作をお手伝いさせていただいた衛藤豊さんの著作『やさしいデータベース設計 要件定義から運用までの勘どころ』が、発刊翌日の1月22日からデータベースアプリケーションカテゴリ第1位を獲得しております。モデリングの基礎からデータベース設計の手順…
2月14日(土)、「ピアニスト髙橋望による ブックトークと音楽」、好評を重ね、今年で第3回目、開催いたします。 FM番組「クラシック音楽への旅」のパーソナリティをつとめるピアニスト髙橋望が、ゲーテ、バッハ、三島由紀夫、シューベルト、川端康成、ショ…
2026年1月11日(日)をもちまして、当社・株式会社ツークンフト・ワークスは創業9年目を迎えました。 ここまで仕事をご一緒いただいた関係者並びに、公私ともにさまざまな助言や対話の機会をいただいた皆様には、心から感謝いたします。 創業早々からコロナ…
【前編】からの続き。 評伝に現れたカフカという人物と作品今回も読書会の会場からはカフカに対する自由な発言が飛び交った。この自由を許容する懐の深さはカフカの魅力だ。一方でこの自由を許容するカフカの懐の深さに制約を与えたのも、過去の名だたる評論…
カフカほど、時代ごとにいろいろな読み方がなされ、世界中の読者を魅了してやまない作家は存在しないのではないだろうか。 なぜそのようになったのか?それは、膨大な数の「カフカ論」にある。世界中の作家や学者、評論家たちが、ありとあらゆるカフカ論を書…
近ごろ、社内のITエンジニアがプログラミングやシステム構築などの技術情報を本などで外へ出すことに「待った」をかける企業が増えていると聞く。企業は情報漏洩のリスクを気にしているのだろうか。それとも、従業員が本業に集中しないことを気にしているの…
『開かれた社会とその敵』(カール・ポパー 著、小河原誠 訳、岩波文庫、全4冊)とはなんとも挑発的な書名である。さらに副題には「第1巻 プラトンの呪縛」「第2巻 にせ予言者――ヘーゲル、マルクスそして追随者」とあり、いささか扇動的ある。一瞬色物ではな…
人間にはいろいろなタイプがある。欧米のような宗教や言語、人種が入り乱れた状態の地続き環境にいない日本人は、人間のタイプ分けが好きだ。1980年代に血液型占いが流行ったのもその一つ。ユングのタイプ論を日本人流に解釈して「あなたは~タイプ」のよう…
いわゆる評論とは、「〇〇主義」や「××説」、「□□論」という引用やひな形が論調のベースに敷かれることが多い。しかし本作はそうではない。ドストエフスキーが書き記した言葉そのもの、言語そのものに迫り、彼の作品の本質に迫る、共感が多い文芸評論である。…
先日、とある教育関係のエッセイを読む機会があった。その中で、学費上昇の問題が興味深く取り上げられていた。 ここ60年近くの大学の授業料の推移統計によると、国立大学の年間学費は1万2000円(1965年)から53万5800円(2016年)に増加し、この間、実に44…
最近あまり聞かなくなってきたものに、「文化」という言葉がある。雑誌や書籍が花開いた昭和時代までには「出版文化」という言葉もあった。 そこでいま一度、忘れかけていた言葉である「文化」をめぐって考えてみる。 人間が生み出した心にかかわる成果Webを…
最近、人と読書会に関して話をする機会が増えてきた。そこで、「読書会で人と人がつながる」という意見を聞くことが何度かあった。なかには、読書会の中で縁結びが生じ、めでたくご結婚、という話も聞いた。 人と人がつながる手段が読書会であることに、どう…
先日、読書会メンバーの友人から次のようなことを耳にした。 人に読書会の話をすると、「怪しい集まり」「壺を売りつけられるのではないか」という声が上がってくるという。 1980年代、「セミナー」や「勉強会」と称してさまざまな勧誘が行われた。そこには…
2025年5月24日(土)、第51回目の読書会を飾った選書のテーマは「オカルト」である。 皆さんは、オカルトという言葉を聞いてどんなものをイメージするだろうか。不思議、怖い、得体が知れない、そんなものに関心がある人自体が気持ち悪い、などがあるだろう。…
伝説のストリッパーの晩年を取材した作品。メディアに潰された人間の分析、アウトサイダー社会分析、精神病理学的観点など、さまざまな視点からの思考が行間に織り込まれた作品。 体当たりで本作を取材上梓した作者の加藤詩子氏、現在は沖縄で精神カウンセラ…
7月27日、企業での導入が進む「GX」(グリーン・トランスフォーメーション)を解説した入門書、『GX実践の教科書』が発刊された。 当社、株式会社ツークンフト・ワークスが「X」(トランスフォーメーション)をテーマに企画を手がけて以来、4年ぶりの新刊。…
映画『アッカットーネ』の脚本文学。パゾリーニは世間の評価や一部の映画の評判、短い人生だけを見聞すると超異端の怪人だが、作品に接すると、まぎれもない天才アーティストである。そうした認識転換のきっかけは、映画通の友人からDVDを借りたり、四方田さ…
とてつもない大作。一度は読んでみたいと思いつつ、なかなか手を出す機会がなかった。今回一気に読ませていただいた。 この大作を5歳児に向けて要約するとどうなるのだろうか。いま話題のChatGPTに聞いてみた。 ---**「オリエンタリズム」ってどんな本?**「…
本作には、音楽家、グスタフ・マーラー(1860~1911年)を評し称えた、当時西洋で発表された関係者による雑誌記事や論考が便覧的に収録されている。 大きく分けて、マーラーの活躍時代、没直後、没後数十年の、3時代からの記事が掲載されている。 寄稿者は、…