コラム/エッセイ
私が経営する株式会社ツークンフト・ワークスは、1月11日をもって創業6年目に突入した。出版プロデュース事業を起業して丸5年を経て、従業員時代には体験したことのないさまざまな風景を見ることができた。道半ばとはいえ、ここまで来ることができたのは、ひ…
DXという単語に伴い、近ごろはリスキリングという言葉もよく耳にする。企業がいままでの組織人を、変化の激しい世の中に対応できる新しい組織人へと教育する。これが、リスキリングと呼ばれている。 DXもリスキリングも、とくに日本の大企業においては、成功…
2021年7月刊の『DXスタートアップ革命』のプロデュースを手掛けた際には「DXという言葉は年内には旬でなくなる」と言われて一年を経たが、今年5月に刊行された『DXビジネスモデル』は3刷となり、発売後4か月で累計1万部を超えた。「DX」というキーワードへの…
先日、Web3を扱った書籍が版元により回収されたという出版事故がネットを騒がせた。IT書籍の老舗版元での出来事であり、同業という意味でもまったくの他人事ではない。この話には愕然としてしまった。同時に、身を引き締める思いである。サイトには誤記個所…
本づくりに携わる「編集者」という言葉の意味は、時代とともに大きく変わってきている。そのことを最近強く感じるようになってきた。明治の文豪幸田露伴を支えた小林勇は、作家の黒子として創作に寄り添い、作家の臨終にまで立ち会った編集者だった。昭和の…
先日、世界経済フォーラムが発表した世界の観光魅了度ランキングで、日本が初の第1位を獲得した。これは素晴らしいと思いつつ報道を聞いていた。そして、昨年の第1位はスペイン(今年は第3位)だという。何百年も前の世界大国であったスペインがいまは観光小…
サイト「経営者テラス」に、当方が運営する株式会社ツークンフト・ワークスがプロデュースを担当させていただいた『DXビジネスモデル』(小野塚征志著)の以下紹介記事を寄稿させていただきました。keieishaterrace.jp 本作の編集制作時つねに念頭に置いてい…
サンフランシスコのモスコーニセンターで1998年に開かれた「JavaOne」にて、当時の上司が取材に行った際手土産に買ってきてくれた歴史的なお品物が「The Java Ring」である。 この指輪の中にはJavaでセキュリティが確保された接触型の個人情報(64ビットのID…
ワーケーションをいう言葉をよく耳にする。「ワーク(work)」と「バケーション(vacation)」を組み合わせた造語で、本来の意味は休暇や帰省の合間に仕事を組み入れるという働き方のことである。リモートワークの定着や時代背景から、その意味が大きく変わ…
先日知り合いの誘いで、渋沢栄一(1840~1931年)をテーマにした読書会に参加する機会を得た。これを機に、いろいろと調べ、考えた。 渋沢栄一の名前から私が第一に思い出すのは、作家、澁澤龍彦である。彼は渋沢栄一のいとこのひ孫にあたる、文学の翻訳や欧…
ウクライナが戦争で目も当てられない。1991年の湾岸戦争は衝撃的だったが、それ以上だ。当時は欧州都市のテロが多発していた。私は短波ラジオを携帯し、戦況を気にしながら学生最後の旅をしていた。湾岸戦争の終戦はポーランド・クラコフのユースホステルで…
ウクライナの状況は目も当てられない。 民間人のビルにロケットが撃ち込まれ、市街地に戦車の残骸が転がっているなど、あんな光景を私が生きている間に隣国で見ることは、想像もしたくなかった。 ウクライナが1日でも早く平和を取り戻すよう、同国の私が敬愛…
今回のコロナ禍で「文化」という言葉が海の向こうからはたびたび聞こえてきた。飲食店や舞台、ライブなど、言葉や作品の対話がリアルに交わされる場が閉鎖されたため。しかしこの状況に日本で、「文化」という言葉が使われることが少なかった気がする。「文…
DX(デジタル・トランスフォーメーション)という単語が世に知れ渡って久しい。 1年前のいまごろは、 「一過性のバズワードだろう」「一年後には陳腐化する言葉だ」 という意見が方々から聞こえてきた。しかしそれどころか、DXはまだまだ世の中に浸透してい…
近頃はマーラ―ばかりを聴いている。学生時代は交響曲第1番『巨人』は少し聴いていたが、それ以外はどうも肌に合わなかった(ちなみに1980年代、世紀末に迫ることを機に「空前のマーラーブーム」というものがあった。その影響で外発的に聞いていた)。が、最…
新型コロナウイルスや経済問題など、世の中に課題が渦巻く中、10月、衆議院選挙が行われた。駅のコンコースに臨時設置された期日前投票会場に足を運んだ。そこは、いままでに見たことのない行列だった。国民の関心の高さがうかがえるとともに、いままでの選…
◎草加宿を北に抜けた場所に設置された松尾芭蕉像地元の名菓に草加せんべいがある。草加は17世紀に栄えた日光街道二番目の宿場町だ。俳人の松尾芭蕉が訪れたことでも知られており、当時は戸数120軒ほどからなる小さな宿場町だった。宿場では余った米やまんじ…
草むらでは秋の虫が元気に鳴いている。このところ、環境のことや健康、食べ物のこと、世界のことを考える人は増えてきたと思う。健康、食べ物のことは、10年以上前に医師たちと書籍をつくっていた関係から、よく調べたし、いまでも個人的関心は高い。とくに…
毎年夏になると、東京新木場(夢の島)にある第五福竜丸展示館に来る。きっかけは、2011年6月に埼玉県草加市の講演で偶然お会いした、第五福竜丸の乗組員として被ばくされた大石又七さんとの対話だった。講演での質疑応答や講演後の名刺交換で20分ほど話させ…
先日、某IT人材企業の代表にお会いし、業界のことやエンジニアのキャリアのあり方などについて話を伺い、さまざまなキーワードを手にした。その中でもとくに、以下3つが印象に残った。 ・要素技術は時代とともに消える・エンジニアリングそのものは消えない…
先日、農林水産省が「「農業DX構想」の取りまとめについて」を発表した。「データ駆動型の農業経営により消費者ニーズに的確に対応した価値を創造・提供する農業(FaaS(Farming as a Service))への変革を進める」とし、日本古来の仕事である農業の世界に…
先日、作家の髙坂勝氏のWeb講演に参加してきた。同氏は千葉県匝瑳(そうさ)市で有機農業や再生可能エネルギーの普及にライフワークとして取り組まれている方である。延べ3時間におよぶスピーチと質疑応答は、まだまだ時間が足りないほどの、あっという間の…
(前編からの続き) 編集者のやりがいざっと、編集者の仕事の流れを見てきた。編集という仕事を選んだ限り、やはり、やりがいは欲しい。どんな仕事でも、給料をもらったり、売り上げがあがったときは、うれしく、ありがたい。そして、この仕事をやっていて良…
2014年1月25日に『トランスクリティーク』(柄谷行人 著)にてはじまった読書会、11月7日をもって、のべで32回の開催となった。そして次回から8年目を迎える。先日、その忘年会を開催した。 メンバーの増加やオフラインでの開催ができなくなるなど紆余曲折を…
私は企業のシステムエンジニアとしての新入時代4年間を除いて、25年間編集者である。この間、本ばかりを作っていた。起業してからも、出版プロデュースを軸に、編集の仕事を手掛けている。なぜか知らないが、編集者になりたいという願望が強かった。業種を変…
最近よく「「本」とはなにか?」という議論を耳にします。デジタル社会で情報優位が高度化する中、ますます「本」という物体に人の目が向けられているのではないでしょうか。近年アナログガジェットとしての文具が見直されているのも、この流れに近い感じが…
8月某日、今後の地方分散社会を視野に入れ、東京近郊地方での生活とはどういうものかを知るため、一泊でつくばの田舎暮らし体験を試みた。 体験取材ということで一日目はいろいろと考えながら行動していたが、二日目は「楽しい」という純粋な体験・印象ばか…
「開校100年 きたれ、バウハウス ―造形教育の基礎―」と題し、東京ステーションギャラリーで展覧会が開催された。9月6日(日)の最終日もそろそろ近づいてきたので、猛暑日、足を運んでみた。 ◎出口には実際に座れるマルセル・ブロイアーのパイプ椅子があった…
32年間、毎年必ずクリスマスカードの交換をしていたドイツの友人のコリンナから、昨年はカードが届かなかった。非常に筆まめな方で、なにかあったのだろうか、暑中お見舞いでも出して様子を伺おうかと考えていたら、あまりパソコンを使わない彼女から珍しく…
◎オンライン・セミナーの模様 7月21日(火)、作家の高嶋哲夫氏をお招きし、「アフター・コロナを考える「新しい日本の形、新しい日本の創造」」と題し、本とITを研究する会主催のオンライン・セミナーを64人で開催した。高嶋哲夫氏は、『首都感染』(講談社…