本とITを研究する

「本とITを研究する会」のブログです。古今東西の本を読み、勉強会などでの学びを通し、本とITと私たちの未来を考えていきます。

9月28日(土)、地元商工会議所主催の「創業塾」にて登壇

f:id:tech-dialoge:20191007154532j:plain

9月28日(土)、地元商工会議所主催の「創業塾」にて登壇しました。
私の創業2年目の生々しい話を、未来の起業家たちの前でお話してきました。
会場には、また同業の方が来られていて、驚き。
以前はYahoo!とお取引があったとのこと。

f:id:tech-dialoge:20191007154558j:plain

私の前にトップバッターで登壇された方は元版元編集者、現在版元&古書店経営者。
この方も同業者でした。
激動の時代、事業家として、たくましく生き抜いていきましょう!

三津田治夫

世の「救いのなさ」を徹底して描いた奇書:『チリの地震』(ハインリヒ・フォン・クライスト 著、種村季弘 訳)

f:id:tech-dialoge:20191003183507j:plain

恐ろしくまた美しい世界観
この本の文庫版が河出書房新社から出ているが、読んだのはオリジナルの王国社版。
クライストは1777~1811年までドイツで活動した作家だから、ちょうどゲーテが28歳あたりから61歳だったころまで生きていたことになる。
クライストの年代から見ると、ゲーテの人生にちょうどすっぽり入り込んだ形だ。
20年以上経ってクライストを読み返し、この作家の特異さ、天才性がようやく理解できた。
文体や文脈が独特かつ緻密。
はじめはなんだかわかりづらい。
が、腰を落ち着けページを進めるごとに、その緻密な文体と文脈が迫力を増して迫り、あるときから急に物語の世界観が開けてくる。
それの世界観は恐ろしく、また、美しい。

クライストの作風には、のちの推理小説怪奇小説のベースとなった技法(物語や題材、描写)がふんだんに織り込まれている。
それゆえにストーリーをすべて書いてしまうとネタバレになるが(まあ、古典なので、物語はすでに知れ渡っている、ともいえるが)、総じて、奇想天外な物語である。

奇想天外なクライストらしい作品たち
表題となっている『チリの地震』はまさに彼の作風の典型。
突如起こった大地震で街は瓦礫と化し人々は命を失うが、生き別れて死刑を宣告された女とその悲しみに自殺を試みた男の恋人同士が地震をきっかけに命拾いし再会するという物語だ。
もちろん、話がそれで終わらないのがクライストのすごいところだが。

その他、『聖ドミンゴ島の婚約』は黒人社会に入り込んだ白人男と黒人少女の愛の悲劇で、これもまたすごい。
ロカルノの女乞食』は緊張感の高い文体で名作の誉れが高い数ページの怪奇小説
『拾い子』もいままでに読んだことのない展開。
疫病の感染で息子を失った夫婦がその感染源の子供を引き取り養育するのだが、養子の成長とともに、両親の人生に災いと悲劇をもたらす。
『聖ツェツィーリエあるいは音楽の魔力』は、教会の祝祭を破壊しようとやってきた愚連隊が聖歌を聞いて発狂し、敬虔な信者として精神病院に収容され延々と聖歌を歌い続けている話。
『決闘』はクライスト作品の白眉。
中世の騎士が名誉を賭けて決闘を繰り広げるが、その背後に虚実と欺瞞、人間関係の機微が潜む、奇想天外な物語。

「救いのない世を受け容れよ」というメッセージか?
総じて、クライストの作品は「悪魔的」と評される。
悪魔的といわれても悪魔を知らない我々日本人にはピンとこない。
わかりやすく言えば、「運命とはなんだ」という疑問が全作品に埋め込まれている、か。
キリスト教圏の西洋人がクライストの作品を読むと、「私たちの神とはなんだ」という深い疑問に陥るはずだ。
つまり、善行が必ずしも善という結果を生むわけでもなく、悪行が必ずしも悪という結果を生むわけでもない。
そんなもの人間のコントロール埒外である。
だから、「万物は神のみぞ知る」、ということになる。
ある意味救いがない。
その救いのなさをクライストは文学という芸術にまで昇華させた。
そして、「救いのない世の中を素直に受け入れ、生きることが、人間の救い」という、新しい視点を提示してくれる。

いわずもがな読み物としての質は非常に高く、この手の作風に興味のある方にはオススメである。

三津田治夫

本とITを研究する会向け限定サービス「無料キャリア相談会」のススメ ~テクノブレーン株式会社人財紹介部部長 碣石浩二氏インタビュー~

今回は、株式会社テクノブレーンが本とITを研究する会のメンバー限定に提供している「無料キャリア相談会」に関し、「なにが聞かれるのか」「参加してどんなメリットが得られるのか」などの質問に、インタビュー形式でお答えする。
いまのエンジニア人材市場の俯瞰から、若手ならびにシニアミドルに向けた、今後のキャリアをどう見つめたらよいのかなどのヒントも含まれている。
同社にてIT系技術者人財の紹介チームをリードしている碣石浩二氏に話を聞いた。
(聞き手:本とITを研究する会 三津田治夫)

最短で2週間。3~6か月で転職先が決定
創業以来25年以上、テクノブレーン株式会社は一貫してエンジニアの人財スカウトサービスにたずさわってきました。
私たちは年間2000~2500名のエンジニアさんとお会いします。
そのうえでお会いしたキャンディデイトと、その人が持つスキルを求める企業とをおつなぎしています。
転職先が決まるのは最短で2週間。
何度か面談を繰り返すことで3~6か月で決まることが多いです。
場合によっては、1年から複数年のお付き合いをさせていただくこともしばしばです。
ケースバイケースですが、あえてじっくり時間をかけて、キャンディデイトにとって最適な環境を多角的な視点で見るためでもあります。

f:id:tech-dialoge:20190918170414j:plain

◎話し手のテクノブレーン株式会社人財紹介部 碣石浩二氏

不安解決とフィードバックの場
エンジニアさんにはあくまでもスカウトコンサルタントとしてのスタンスで、求人企業の生の声をお伝えするように接しています。
とくに、情報過多で「なにを信じたらよいのかがわからない」という時代背景の中、漠然とした不安を持った人が多いと感じます。
その漠然とした不安解消に、少しでも役に立てればと考え、はじめたのが、この無料キャリア相談会ともいえます。
言い換えると、定量化されていないものに評価がなされる時代、です。
そんな時代の価値観の中で、エンジニアの皆さんと企業との間に立ち、客観的かつ本質的に提案できるのが、私たちの価値であると自負しています。
それゆえ、「エンジニア一人ひとりの方々に、どういうことをお伝えすれば問題が解決するか、もしくは解決する可能性があるのか」を、つねに大切にしています。
年収や待遇など、ネットで拾える情報の価値は年々低くなっています(簡単に手に入ります)。
それよりも私たちは、お会いした方に、ネットだけでは提供できない、客観的な市場動向や企業の評価(求めているもの)の本音、また、そこから推測する今後求められるエンジニアのスキルや考え方についてフィードバックをするようにしています。
ちなみに、この無料キャリア相談会は、どなたでも利用することができます。

f:id:tech-dialoge:20190918170616j:plain
◎インタビューに同席したテクノブレーン株式会社人財紹介部の五十嵐瑠菜氏。「転職先が決まった人が世の中で活躍しているのを知ることが喜び」という

その場で得られる「気づき」が大切
無料キャリア相談会は、1 時間から、長くて2、3 時間になることもあります。
参加されるエンジニアさんが手にする最大のメリットは「気づき」だと思います。
たとえば、若手エンジニアさんに転職の話を伺うと、「現職では1年で全部やりつくしました!」という方が、ときどきいらっしゃいます。
そういった方には、私たちとの面談を通して、市場という現実と自分とを照らし合わせ、あえて厳しい現実の話をすることもあります。
それは、短期的な視野ではなく、中長期にわたり市場価値の高いエンジニアになってほしいという思いであり、そこに気づいていただきたいからです。
この気づきこそが、その方の次の大きな成長のきっかけになるはずです。
また、面談がきっかけで若手エンジニアさんが企業の現場のトップと会う、ということも推奨しています。
そこでもまた、若手エンジニアさんの中に気づきが生まれます。
自分の上司や現職の環境からだけでは気づけない、客観的なフィードバックが得られるのは、若手エンジニアさんにとって大きなメリットだと思うからです。たとえ、それが転職につながらなくてもです。
シニアミドルのエンジニアさんの場合は、その人に経営の問題を解決するスキルがあるかどうかも市場価値につながるポイントです。
企業にはそれぞれ課題があり、ある会社では不要なスキルでも、ある会社では重要なスキル、という場合もあります。
そうした「生かし切れていないスキル」を持ったシニアミドルのエンジニアさんとも、ときどきお会いします。
経営者と意気投合し、転職を機に、企業経営やサービス運営に欠かせない右腕として活躍されている方もいらっしゃいます。
経験を積んだシニアのエンジニアさんの中には、「自分のニーズは市場にないのではないか?」と考えられている方も多いように感じます。
この無料キャリア相談会では、そうしたシニアの方にも、どんな企業がどんな悩みを持っているのか、また、具体的にどんなニーズがあるのかを知っていただき、ご自身の今後のキャリアの糧としての気づきを得ていただきたいと思っています。

参加者の課題解決を提供
私たちのスタンスは、転職マッチング支援者ではなく、あくまでも職業に対する課題解決を行うコンサルタントとしての役割です。そのためにも、本質的でフラットな対応をいつも心がけています。
昨今は「面接する側、される側」という対立構造で企業が人材採用をするような時代ではありません。
人財も企業も、フラットに、互いの意見を出し合う。
背景にどんな課題意識があり、どういったスキルで解決できるのかを徹底してすり合わせる。
こうしたプロセスを経て採用活動をしないことには、人財は企業に定着しないし、問題も解決しません。
企業に対するこうしたプロセスへの働きかけも私たちの大きな役割だと考えています。
エンジニアさんが技術スキルを持っていることは大前提です。
そのうえで、その人がどうありたいのか、なにをしたいのか、なにが課題なのか。
これらが重要です。
無料キャリア相談会は、転職前提ではありません。
あくまでも、私たちがスカウトコンサルタントとして、得てきた知見や市場の生の声をお伝えし、皆さん、一人ひとりに新たな気づきを感じていただく場であると考えています。

話し手プロフィール:
テクノブレーン株式会社人財紹介部ITSection部長 碣石浩二(たていしこうじ)
テクノブレーン株式会社にてエンジニア専門のスカウトエージェントとして勤務。
その経験から多くのエンジニアとの人脈を持つ。
単に求人の紹介ではなく、エンジニアの成長やスキルアップに関心が強く、中長期的な視点から今後のキャリア市場を捉える考えを持つ。
今後手掛けたいこと:
・エージェントという枠を超えて、未来のキャリアや市場の変化についてディスカッションができる関係の構築とその空間の提供。
・学生時代から社会人の終わりまで、長くお付き合いができる(役に立てる)関係の構築とその空間の実装。

テクノブレーン株式会社
https://www.techno-brain.co.jp/
https://www.techno-brain.co.jp/scout/

ポーランド人の複雑なメンタリティが沈潜した傑作SF:『エデン』(スタニスワフ・レム著、小原雅俊訳)

f:id:tech-dialoge:20190913184630j:plain

ポーランド人の複雑なメンタリティが沈潜した傑作SF作品。
1959年の作品であるというのに、すでに放射能汚染にまで言及されている。
さすがコペルニクスキュリー夫人を排出した科学の国ポーランド
キュリー夫人にいたっては被爆で命を落としているぐらいだから、放射能ポーランドのゆかりは深い。
ちなみにこの国は1986年のチェルノブイリ原発事故の被害が大きかった。

作品を通してポーランドの苦悩を社会に示した作品
惑星エデンの土地がポーランドだとしたら、そこに住む異星人はポーランド人であったりナチスであったりソ連人であったりで、また惑星そのものは支配者と連携した体制そのものであって、エデンに不時着した地球人は文化人やモラリストというキャラクターに置換できる。

レムは当時のソ連支配下にあったポーランドにおいて、SFという表現スタイルを通して作品を構築し、作品を通してポーランドの苦悩を社会に示した作品として読めた。

『エデン』の後にレムは、タルコフスキーの映画『惑星ソラリス』の原作『ソラリスの陽のもとに』(1961年)を書くのだが、『エデン』は『ソラリス』ほど哲学的な美意識が徹底した作品ではなく、死と戦争のイメージが漂う薄暗い作品だ。

1959年といえばアンジェイ・ワイダ監督の『地下水道』(1956年)や『灰とダイヤモンド』(1957年)が発表されたほんの少し後。

不安や裏切り、抵抗という、戦争で徹底的にやられたポーランド人の精神の傷が深く刻まれた時代であった。

ポーランド人を尊敬すべきは、戦争とナチスソ連による支配で、精神や物体がとことんやられてまでも、文芸や映画といった「作品」を作り続けたところにある。70年代に共産主義国家における労働組合の「連帯」が結成されたのもポーランドである。

表現統制が敷かれていた当時の共産主義体制の中で、手を変え品を変え表現し続けたポーランド人は、執念というか、あまりにも立派だ。

レムの作品を通して、ポーランド人の卓越したクリエイティビティを感じた次第である。

f:id:tech-dialoge:20190913184803j:plain◎2012年10月、小原雅俊先生と。新宿にて撮影

翻訳者である小原雅俊東京外国語大学名誉教授との対話
これは、大学のポーランド語のクラス会に参加。解散時、恩師の小原雅俊先生と撮影。
先生の訳された『エデン』の本トビラにサインしていただいた。これもまた我が家の家宝入り。

72歳には一切見えない若々しさとエネルギーにあふれた素晴らしい先生。
22年前とまったく変わらない。ビールを飲みながら、ポーランド史、スラブ史、ユダヤ人のことやヨーロッパ文学のことなどを、閉店時間までとくとくと語っていただいた。

先生の談義の妙味は、ヨーロッパの源流をすべてポーランドユダヤ人に還元して語れるところにあり、ほかの誰からも聞くことができない貴重な話ばかりだった(本当にそう思っている。毎回傾聴)。

先生のカフカの話も面白かった。
先生は元々チェコ文学を専攻したくプラハに入ろうとしたが、当時の社会情勢からワルシャワに行くことになり、そのまま人生をポーランドに没入させた方だ。先生、お酒が入ってくると必ずカフカ談義になる。それもまた面白い。

スタニスワフ・レムに関して「そもそもあんなひどい時代のポーランドに生きたレムに、どうしてあれだけクリエイティブな仕事ができたのか」という質問に対し、小原先生いわく、「ポーランド人はそもそも楽天的なんだよ」との明解な回答。

先生、今年から大学の仕事がなくなり、「ようやく翻訳に集中できるようになった」と、やる気満々。そのバイタリティもまたすごかった。ポーランド史の素晴らしい本がみずす書房から出るらしい。どんな訳が出るのか、楽しみ。

こうして22年間も生徒とつながりがあり、22年前と変わらないようなことを話し続けられるというのは、お金では買えない貴重な現象である。

それもこれもひとえに、小原先生の人間性なんだろう。

三津田治夫

驚異のiSO式フラッシュ速読と、子どもの脳の不思議な力

f:id:tech-dialoge:20190907100322j:plain

このところ速読が注目されている。
欧米の横文字文化では速読が当たり前で、アメリカのケネディ大統領が速読の技術で大量な書類をさばいていたというエピソードはよく耳にする。
1960年代から日本でも日本語の速読をビジネス用途で開発する人たちが現れ、同時に速読を扱った書籍が出はじめ、1980年代には韓国のキム式、パク式速読で日本に一大ブームが巻き起こった。

「飛ばし読みじゃないか」「斜め読み?」という懐疑論も多い中、着実に速読は定番技術化しつつある。
ビジネス書なら1冊数分で読めるのが速読術である。
そのスキルに到達するまでのトレーニングの内容と時間が最も重要である。

超高速速読の力を身につけた中学2年生の少女
仕事で速読の調査や取材をする中、ある中学2年生の少女の動画と出会う機会があった。
この子は400ページあるミヒャエル・エンデの長編『モモ』を数秒で読み、直後、あらすじを暗唱してしまうのだ。
そして1ヶ月後、「類似のスキルを持った女子中学生を発見した」と、iSO式フラッシュ速読の開発者である磯一郎先生から報告を受けた。
磯一郎先生は、1973年から40年以上、速読の開発を続けている権威である。
後日、この子の速読トレーニングに立ち会うことができた。

はじめは読書すらおぼつかない子だったが、数時間のトレーニングで、ディズニー作品をノベライズした子供向け新書を、ものの15秒で読めるようになった。

事実は小説よりも奇なり。
この衝撃は隠しきれなかった。
信じられない。
しかし、明らかな現実として起こっている。

活字が視覚を通して脳に入り込み、そこでなんらかの処理がなされている。
この子は、速読した内容を文字に書き出していた。
読み上げるのは15秒だが、書き上げるのには何10分もかかる。
一文字一文字、頭から情報を絞り出すようにアウトプットしながら、見事にあらすじが再現されていた。

磯一郎先生によると、このような超高速速読術は、子供にしか身につかないという。
科学的なエビデンス首都大学東京との共同研究で現在検証中だが、察するに、脳の成長期にのみ発現する特殊な能力なのだろう。

このような事実に直面し、私はふと「カスパー・ハウザー」を思い出した。
カスパー・ハウザーは、19世紀のドイツに現れた謎の少年で、哲学者フォイエルバッハの父である法学者のA.V.フォイエルバッハが彼について克明にレポートしている。
壁の向こうを透視したり、暗闇の中で文字や色を識別したりなど、数々のありえない能力を発揮したという。
1991年の本だが、フォイエルバッハの『カスパー・ハウザー』(福武書店)が文庫として翻訳されているので、興味があっったらぜひ読んでいただきたい。

もう1人思い出したのは、フランスの詩人アルチュール・ランボーである。
10代のうちに文学史に残る詩作を数々生み出した天才で、成人すると突如断筆し、商売人に転身してしまった。
歴史的名作『酔いどれ船』を書いたのが1871年
実に17歳である。

子供の速読能力に上記2名を引き合いに出したのは、子供時代にしか持ちえない脳の力の脅威に共通点を見たからである。
だからこそ、子供の情操教育は大事だし、幼児期に与える愛情はその子の一生に大きな影響を与える意味でとても重要だ。
そんな脅威の時期に、子供たちが高速に文章をインプットする能力を身につけたら、なにが起こるだろうか。
受験用の学習はもちろんのこと、大量な文芸作品や歴史書に触れることができる。
選別された言葉が大量にインプットされることで、豊かな知識と心が養われる。

豊富な体験と語彙力が大人の脳の力を高める
同じことは、大人にも言える。
脳の成長は成人とともに停止するが、使っていない脳の部位や潜在意識は意図的に活動させることが可能だ。
これにより、成人後にも速読の能力を飛躍的に高めることができる。

そもそも、大人には、子供にはない豊富な体験と語彙力がある。
インプットした文章と自分の持つ体験や言葉の意味をマッチングさせることで、文章を記憶に深く定着させることができる。
そして、定着させた文章を経験と語彙力使ってアウトプットすることができる。
大人にしか持ちえない力で速読術を身につけ、活用することができるのだ。

これにより、文字に接する態度はまったく変わってくる。
現に私も、iSO式フラッシュ速読をトレーニング中だが、読書のスピードがすでに平均の10倍以上にアップしている。
また、自分に必要な書籍に素早くアクセスできる力が身についた。
それがひいては、言葉に対する自身にもつながっている。

単に本を早く読むだけの術でないのが、磯一郎先生が開発したiSO式フラッシュ速読の最大の特徴である。
インプットした文字情報を定着させ、的確にアウトプットさせるテクニックの一つでもあるのだ。
今後は各方面にiSO式フラッシュ速読は適用されるであろう。
世間にはさまざまな種類の速読術が公開されている、興味のある人は、自分に合った速読術を選び、体験してみることをお勧めする。

デジタルの時代が進めば進むほど、アート作品や料理といったアナログのものに、非常に高い価値付けがなされる。
文字情報も同じである。
つまり、検索エンジンが拾ってきた情報の価値は低い。
人間が脳の各部位をフル回転させて選び抜いた情報にこそ価値がある。
そしてその情報を人間が再構成し、アウトプットしたものにこそ価値がある。
iSO式フラッシュ速読との出会いを通して、そんな時代が来ていることを強く感じている。

三津田治夫

8月21日(水)東京・田端にて、「本とITを研究する会」創立2周年感謝・懇親会」を開催

f:id:tech-dialoge:20190825190457j:plain

8月21日(水)東京・田端にて、「本とITを研究する会」創立2周年感謝・懇親会」を開催しました。
皆様には楽しんでいただき大盛況で、この2年間を振り返るという意味でも、感謝にたえない時間でした。
この場をもって、重ね重ね、参加された方には心から感謝いたします。

プレゼントとして記念にお渡しした「本とITを研究する会」のオリジナルのノベリティ(真空タンブラー)とお菓子、気に入っていただけたら嬉しいです。
飛び入りのLTも盛り上がって、とてもよかったです。

f:id:tech-dialoge:20190825190556j:plain

本会において、私が個別でお会いしている方々が一堂に会することで、新たな出会いや化学反応が起こるのではないかという試みでもありました。
交流が深まってくれたら、とてもうれしいです。

f:id:tech-dialoge:20190825190648j:plain

「本とITを研究する会」のメンバーは、「自分のために生きる人」が多いと、改めて感じました。
これは利己的という意味ではなく、自分を大切に、自分の追求するものを突き詰め、責任をもって生きる人たちが多い、という意味です。
このような、素晴らしい人たちと2年間を過ごすことができた自分は、改めて感謝の気持ちを深めました。
「自分のために生きる人」だからこそ、自分を支える他人とのつながりを大切にする。
長年つながりのあるメンバーの顔を思い出し、改めてそうとも感じています。

この集まりをより実りの多いものにするべく、また、創立3周年も迎えられるよう、日々邁進していくつもりです。

これからもメンバー同士の交流や学びが深められたらうれしいです。
また、いままで同様、お力添えをいただくことも多いかもしれません。
そのときには、よろしくお願い申し上げます。

最後に、皆様のますますの健康と繁栄を、心からお祈り申し上げます。

今後ともなにとぞ、よろしくお願いいたします!

三津田治夫

「夏休み子供科学電話相談室」から学ぶ「どうして?」の力

f:id:tech-dialoge:20190818215652j:plain

毎年夏になると、NHKラジオで恒例の「夏休み子供科学電話相談室」が放送されている。
最近は仕事で子供たちと接する機会が多い関係もあってか、
これを聞くたびに、子供たちの感性の豊かさに心が動かされる。
たとえば、

「どうして星は流れ星になって落ちてこないのですか?」
「どうして蜂は自分でとった蜜を人間に取られてしまうのですか?」
「どうして蝉の幼虫は硬い土を掘れるのですか?」
「蝉の幼虫は掘った土をどこに捨てているのですか?」

など、相談内容はバラエティに富み、聞いているだけでワクワクする。
大人は、生きていくために知識と情報を利用している。
同時に大人は、まかり間違えると知識と情報の奴隷にもなる。
子供の疑問提示力というフィルタにかけると、
そういった大人の弱点が改めて浮き彫りになる。

子供の持つ純粋な問いによる「どうして?」には、
とてつもないパワーが潜んでいる。
これはすなわち、生きるための創造性の源泉に他ならない。

夏休み子供科学電話相談室の中で、私に最も印象的だったものがある。
それは、小学5年生のシンジ君が出した
「どうして太陽は光っているのですか?」
を巡る問答だった。
先生による回答は、
「水素とヘリウムが核融合を起こしているんだよ。
シンジ君、核融合って、わかるよね?」
であった。
シンジ君は便宜上「うん!」と元気よく答えていた。
(もちろん、水素とヘリウムが核融合を小学生がわかるわけない)

私はなにが言いたいのかというと、子供は成長と共に「しったかぶり方」を学ぶ。
これに伴い、子供の素晴らしい「どうして?」の力も喪失していく、ということだ。

**「どうして?」の力を鍛える本当の意味**
子供たちは「どうして?」の力の喪失と共に、大人へと成長していく。
しったかぶりをする大人が多いのは、こうしたプロセスを経て成長した
子供たちの一つの結果である。
「どうして?」の力が衰退した中で疑問が発生すると、
人はたびたびGoogle検索に依存する。
Google検索は非常に便利でスピーディで、私もよく活用している。
むしろ、日常の疑問を解決する中、なくてはならない存在だ。
しかし忘れてはならないことがある。
これは、あくまでも「キーワードによるデータベース参照」に過ぎないということ。
疑問となる言葉をインプットすると、答えがアウトプットされてくるだけだ。

Google検索は、人間の「どうして?」の力を動かすものではない。
また、その力を鍛えるものでもない。
「どうして?」の力を動かすことは、ある意味精神的な苦痛が伴う。
それを回避するためにも、キーワードによるデータベース参照は
実に手っ取り早いし、精神衛生的にもよい。

とはいえ、「どうして?」の力を動かさないことには、その力は確実に錆びる。
だからこそ、大人になっても「どうして?」を持ち続け、動かし続けられる状況が、
非常に好ましいといえる。

狭い土地の中で多言語多人種がひしめき合い、価値観のるつぼの中で秩序を保つヨーロッパでは、
人が「どうして?」を持つことは当たり前である。
むしろ、「どうして?」を持たないと、生きていけない。
なぜなら、理由がわからないものに個人が判断を下すことができないから。

日本人の場合、他人や目上の人間に判断の多くをゆだねる。
だから、「どうして?」は、不要だ。
島国として海で他国から守られていた日本人にとって、かつてはこれで通用していた。

しかしもはや、ネット社会により国境や人種、性別の壁がなくなりつつある。
もはや、「どうして?」のない生き方は、通用しない。
本当の意味で、自律した判断能力が個人に求められる。
ゆえにいま、日本人は、「どうして?」の力を鍛えることが迫られている。

その「どうして?」の力を鍛えるのに最適なツールは、本を読むことである。
本を読むことは、自問自答の訓練である。
読書とは、本からの問いに答え、本に問い返すことを、延々と反復する作業である。

子供たちが持つみずみずしい「どうして?」の力を見習おう。

そして大人たちも、本を読み、生きる力として、「どうして?」の力を鍛えよう。

三津田治夫