本とITを研究する

「本とITを研究する会」のブログです。古今東西の本を読み、勉強会などでの学びを通し、本とITと私たちの未来を考えていきます。

「クイーンと私」【その3】:『クイーン詩集』

クイーンの歌詞は、取りつく島のない、物寂しい、薄暗いものが多い。
その対極に「バイシクル・レース」のような純粋な言葉遊びがあったり、クイーンの作り出す詩の世界のコンテキストは奥深く広い。

私が『クイーン詩集』を買った当時(大学生)も、クイーンとは大変なインテリ集団だと感心しながら彼らの詩を読んでいた。
彼らはどこでどう、あのような教養やセンスを身につけたのかと、とても不思議に感じていた。

『クイーン詩集』には、ロックバンドの歌詞を「詩集」として翻訳発刊したところに画期的な意義がある。
この版には『A Kind Of Magic』までの有名曲の詞が掲載されているが、映画『ボヘミアン・ラプソディ』によるクイーン・ブームもあって、2019年2月には『クイーン詩集 完全版』が上梓された。
この映画を通して、版元のシンコーミュージック(など音楽専門版元)は大変な書き入れ時、大変なクイーン景気を迎えたともいえる。これはいいことだ。

映画を観ると、クイーンの歌詞の物寂しさや薄暗さ、その半面の言葉遊びやはじけた調子など、両極性の理由がどこにあるのかがよく伝わってくる。
逆に、映画で初めてクイーンに興味を持った方は、ぜひ『クイーン詩集』を読んでいただきたい。
そしてさらに興味が深まったら、英和辞書を片手に、彼らの編み上げた詩の原文に向き合っていただきたい。韻を踏んだりダブルミーニングだったり、よく作りこまれた「詩」の数々世界を、存分に味わうことができる。

三津田治夫