本とITを研究する

「本とITを研究する会」のブログです。古今東西の本を読み、勉強会などでの学びを通し、本とITと私たちの未来を考えていきます。

「クイーンと私」【その2】:『戦慄の女王』

デビューアルバム『戦慄の女王』において、すでにクイーンは完成されていた。
映画『ボヘミアン・ラプソディ』ではこれ以前の、ブライアン・メイロジャー・テイラーが結成した「スマイル」の時代から描かれている。
スマイルがあのままのバンドだったら、よくあるメロディアス・ロックのような、あまりぱっとしないバンドであったはず。強烈な個性と才能を持ったフレディ・マーキュリーの加入とともに一気に色がついた。
人間の出会いとは大変な化学変化を起こすものだと、クイーンの出自を見ていても改めて考えさせられた。

さらに、クイーンがすごいのは、結成以来メンバーチェンジが一度もなかった点。
往々にしてバンドはビッグになると、音楽性の違いなどの理由でメンバーが脱退したり、俺の実力は安売りしないぜ的にソロになったりと、メンバーの入れ替えや決裂が必ず起こる。
各々のお役目を知った賢い音楽家集団という意味でも、クイーンからは学びが多い。

フレディが亡くなった後もクイーンは活動していたが、傍から見ていて、いつも残されたメンバーは「まるでフレディの亡霊と活動」しているように私は感じていた。

フレディの悪魔的な存在感や影響力はすでに『戦慄の女王』でできあがっていたといえる。
いささか音が古臭いが、クイーンの個性ある作品として愛聴している、おすすめの一枚だ。

三津田治夫