本とITを研究する

「本とITを研究する会」のブログです。古今東西の本を読み、勉強会などでの学びを通し、本とITと私たちの未来を考えていきます。

2019-01-01から1年間の記事一覧

壮大なテーマと詳細なデータで読者を「次世代の大使」へと導く、リーダー必読の啓蒙書:『海の歴史』(ジャック・アタリ著)(後編)

(前編から続く) 後半は、海とともに人間がいかに生き残り、いかに成長するのかを提言する。歴史や政治経済は組織のトップダウンで決めるものではなく、ボトムアップで個人が作り上げていくという姿勢を、著者は一貫して崩さない。そのうえで、一人一人が人…

壮大なテーマと詳細なデータで読者を「次世代の大使」へと導く、リーダー必読の啓蒙書:『海の歴史』(ジャック・アタリ著)(前編)

「海」をテーマに、人間の未来は海が担っているという事実を、詳細なデータで読者に解き明かしながら、人間はいかにして海と生きるべきかを指南する。壮大なスケールを持つ読み物であり、啓蒙書である。 人類史と世界史、環境、物流、経済から海を理解するま…

読書会の記録:伝記文学から人生の「陰と陽」を考えた『人類の星の時間』(シュテファン・ツヴァイク著)

伝記文学の古典中の古典今回は趣向を変えて、ドイツ語圏から伝記文学を取り上げました。シュテファン・ツヴァイクといえばオーストリアの大作家で、『マリー・アントワネット』や『ジョセフ・フーシェ』はいまでも文庫で手に入り、気軽に読むことができる。…

趣味から美学、崇高、自然まで、スリリングで難解な論考を展開:『判断力批判』(上・下)(カント 著)

カントを知るには『純粋理性批判』と『実践理性批判』という巨大な山脈があるが、その最後に控えているのが『判断力批判』である。カントの「批判シリーズ」の最終作で、遺作。 まずカントの言葉で誤解しやすいのは、「批判」の語意だ。日本語で言う批判とは…

セミナー・レポート:4月3日(水)、株式会社C60秋葉原オフィスで「「エンジニアのための「おとなの速読」入門講座」 ~第18回 本とITを研究する会セミナー~」が開催

4月3日(水)に株式会社C60秋葉原セミナーラウンジにて、「「エンジニアのための「おとなの速読」入門講座」 ~第18回 本とITを研究する会セミナー~」が、同社代表の谷藤賢一氏を講師として開催された。 ◎株式会社C60秋葉原セミナーラウンジにて、満員の会…

駐輪場+シェアリングエコノミーの「みんちゅう」サービスが藤沢市と提携

3月28日(木)、神奈川県藤沢市役所にて、株式会社アイキューソフィアが提供するサービス「みんちゅう」が、同市と提携を結んだことが発表された。◎株式会社アイキューソフィアの中野里美代表取締役社長「みんちゅう」は駐輪場にシェアリングエコノミーを導…

ITエンジニアの「悔いのないキャリア」の築き方とは? ~キーパーソン・インタビュー:テクノブレーン株式会社会長、能勢賢太郎氏~

AIやディープラーニング、ブロックチェーン、画像・音声認識技術、自然言語処理など、さまざまな要素技術が飛び交う複雑化した社会で、いま、ITエンジニアの持つべきキャリアやその考え方はどういったものか。そして、ITエンジニアが悔いのないエンジニア人…

読書会の記録:AIやロボットなど「生命を模倣したもの」が多い現代が見えてくるフィールドワーク:『忘れられた日本人』(岩波文庫、宮本常一著)

宮本常一氏が長年のフィールドワークで獲得した「忘れられた日本人像」をまとめあげた渾身のルポタージュ。 1960年刊。半世紀以上前ですでに「忘れられた日本人」であるから、取材される人物は幕末や明治初期を生きた古い人物たちだ。そのころ日本人は現在と…

反骨大河文学を通してインドネシアを深く理解:『人間の大地』(上・下)(プラムディヤ・アナンタトゥール著)

東南アジアでは日本から最も遠く、また、国土面積が最も大きな国インドネシアは、ビジネスや観光やで日本とは盛んな交流関係にある。文学の楽しみとは、その場にいながら文字情報だけで、脳内で時間や空間を移動できることだ。今回はインドネシア現代文学の…

Springフレームワークを巡る16年

「Spring Boot2」はSpringフレームワークの一部として基幹系システムでよく使われている定番Javaフレームワークである。私の会社で制作をお手伝いした、2018年11月発刊の『現場至上主義 Spring Boot2徹底活用』(韓国版の発刊も決定)は、Spring Boot2とその…

『コンビニ人間』を読んで考えた「自分らしさ」を追求する手段としての「教養」と「感性」

このごろよく使われるキーワードに「自分らしさ」がある。2016年に第155回芥川賞を受賞し、その後文庫化され累計100万部を突破したベストセラー『コンビニ人間』。この作品を読んだ人は本ブログ読者にも多いはずだ。 主人公は30代半ばの独身アルバイト女性。…

「ボヘミアン・ラプソディ」と「ゴルトベルク変奏曲」が見せてくれた、「体験」を進化させるテクノロジーの力

映画「ボヘミアン・ラプソディ」が大ヒットで、空前のクイーンブーム到来と言われている。第91回アカデミー賞で5部門にノミネートされ、1月時点で累計興行収入100億4168万7580円、観客動員は727万904人に到達したそうだ。クイーン世代の中高年に限定されず、…

バウハウスを訪ねる旅(後編) ~ライプツィッヒ~

(前編から続く) ライプツィッヒバウハウスを訪ねる旅の最終目的が、この、ライプツィッヒだった。ライプツィッヒはバウハウスにゆかりの深い街、というわけではないが、この街に住む友人の母親がバウハウス作品のコレクターであり、生家がバウハウスの建造…

バウハウスを訪ねる旅(前編) ~ヴァイマール/ベルリン/デッサウ~

今年2019年は、ヴァイマールでバウハウスが設立されてちょうど100周年。これを記念して、本サイト「本とITを研究する」にて、2011年にバウハウスを訪ね歩いた際のレポートを二度に分けてお届けする。 1世紀前のクリエイターたちが、どのような環境で現代芸術…

東京ビッグサイトで開催された「オートモーティブ ワールド2019」に参加

新年初のイベントとして、1月16日(水)から18日(金)まで東京ビッグサイトで開催された「オートモーティブ ワールド2019」に参加してきた。ハードウェアを中心にさまざまな企業が出店していた。その模様の一部を、フォトレポートとしてお届けする。 ◎旭化…

新年、あけましておめでとうございます。

新年、あけましておめでとうございます。 今年も、新しい一年がはじまりました。コミュニティ「本とITを研究する会」が2017年に立ち上がって一年半が経過。運営会社の株式会社ツークンフト・ワークスは1月11日づけで起業1周年を迎え、二期目に入ろうとしてい…