本とITを研究する

「本とITを研究する会」のブログです。古今東西の本を読み、勉強会などでの学びを通し、本とITと私たちの未来を考えていきます。

起業の「身体性」を示したプロフェッショナルのドキュメント:『新しい一歩を踏み出そう!』(守屋実著、ダイヤモンド社刊)(後編)

f:id:tech-dialoge:20190705200756j:plain

事業がうまくいかなかったときにも関係を継続できる「人」に投資
「守屋実さんを囲む会」では、本文外部のエピソードを著者自身からたくさん聞くことができた。
たった一滴の血液から10秒で検査ができるサービスをケアプロで提供した社会的意義について。
パチンコ屋に行くと空腹時血糖値が500オーバーの老人客が多く、数えると実に100人に一人の割合でそれに該当していたという。
ケアプロはこうした人の医療費に充てられている税金が莫大であることに着目。
同社の活動が医療費の節減に貢献できるはずだ。
こうした現実把握のもと、医療事業を推進しながら、さまざまな抵抗を乗り越え政府の法改正を強く促したという。

「囲む会」では質疑応答が飛び交った。
参加者に起業家や事業家が多かったせいか、組織論や企業論など、質問の内容が人間にまつわる「すでに行動してしまった人が持つ課題」が主だった。

本文の「人を見て決める際の分岐点をあげるとしたら、上手くいかなくなったときも、いっしょにやっていけるかどうか」という言葉に関連し、実際に守屋氏は「事業がうまくいかなかったときにも関係を継続できる「人」に投資する。」という。

組織での従業員の育成についての質問では、「人は育てるよりも、自分で「育つ」」といい、「初期の組織は戦力としての個人の集合体だが、組織が成熟してくると個人は戦力から駒となる。その過渡期の人の扱いは非常に難しい。」と説明。

大手が新規事業で負けるのは、起業が「業務」になってしまうから
また、
「事業がダメになる原因の多くはビジネスモデルではない。組織と人のゴタゴタ、個人という、人間系である。」
「組織がどうのではなく、「その人がなにをしたいか」が大切。」
「理屈で起業すると血が通わなくなりその事業は死ぬ。」
というように、事業に占める人間を中心に力点を置く。

そうした人の行動や心理を踏まえたうえで、「大手が新規事業で負けるのは、起業が「業務」になってしまうから。土日休みの起業などありえない。」と指摘。だからこそ、本文にもある「本業ルールから外れた「特区」(出島)は新規事業開発に重要。」という。

事業の推進には解決のできない悩みも発生する。その際には「「悩みの同志」を探すとよい。悩みが解決することがある。」とアドバイスする。

最後に私からの質問で、「事業を成功させた/失敗させたリーダーのいくつかの典型パターン。」を聞いた。
答えは、「それはわからない」であった。
しかし一つだけ、「人間はそもそも利己的な生き物。しかし、利己心が強すぎる経営者に人はついてこない。」とははっきりと言っていた。経営者にはやはり、自律、すなわち利己心のコントロールが大切なのである。

最後に、『新しい一歩を踏み出そう!』を2周以上読まれた方は、巻末の「企業の心得」「企業50」から読まれることをお勧めする。
本文を読めば読むほど、「企業の心得」「企業50」が実に深く刺さってくる。
本文と巻末の往来は、一つの効果的な読み方であることをお伝えする。

* * *

以上、書籍からの引用と談話内容を基に、『新しい一歩を踏み出そう!』を紹介させていただいた。

会を主催いただいた航海家で作家、経営者の拓海広志さん、参加いただき貴重な質疑応答を共有した起業家や経営者の皆様、会場と場の雰囲気をご提供いただいたおかみ丼々和田の和田真幸さん、そして素晴らしい作品をお書きいただき、会では血の通った力ある言葉を共有いただいた守屋実さん、本当にありがとうございました!

f:id:tech-dialoge:20190705200909j:plain

三津田治夫

 

当ブログ運営会社

f:id:tech-dialoge:20190320130854j:plain