6月某日都内にて、新刊『新しい一歩を踏み出そう!』(ダイヤモンド社刊)を持ち寄り、著者の「守屋実さんを囲む会」を開催した。
今回は、書籍からの引用とそのときに出た言葉をベースに、本書を紹介する。
まず、著者の守屋実氏は、巻末の自己紹介文の冒頭に「50=17+19+14」という数字を掲げている。
分解すると「現在50歳、企業内起業17回、独立起業19回、週末起業14回を行ってきた男」、という意味である。
同氏はラクスルとケアプロなど、31年で50の事業を立ち上げ、また2か月連続上場という快挙も成し遂げた、プロフェッショナルのシリアルアントレプレナーである。
書名に『新しい一歩を踏み出そう!』とあるとおり、この本の中心テーマは「行動」である。
行動とは、動き、検証し、成功の勘を掴んでいくという、著者が体感した起業の方法である。
本書を端的に示した言葉「人は考えたようにはならず、動いたようになる」は、読んでいて非常に腹落ちする。
「動けば動いた分だけ、現実が分かる。」
「行動」とはすなわち、「一歩を踏み出す」ことからはじまる。
本書にはそれを促す言葉がたくさんちりばめられている。
巻末には「起業の心得」として語録が掲載されているが、本文中にも、一言で本質を表現する格言箴言的な言葉が多い。
「できない理由探しはいくらでもできる。」
「面白そうと思ったら、軽くやってみる。」
「1つでも多くのプランを出す。」
「考えて考えまくり、やってやりまくる人間が、起業家になる。」
「考えるほど、解決策からは遠ざかってしまうこともある。」
「「足踏み」をし続けると、人は、進むことに憶病になり、足踏みし続けるようになる。」
一つのきっかけから行動がはじまると、アウトプットが生まれる。
「動けば動いた分だけ、現実が分かる。」という、
同時に「考えて動き、動いた結果を振り返ってまた動く。」というサイクルを回すことで、勝ちパターンを掴んでいく。
しかし著者いわく、「勝ちパターンはまだ掴めていない」という。
このように本書では、過去に起こったことではなく、「著者のいま」、が描かれている。
本書はノウハウ本や成功事例集ではない。
失敗事例も含め、掛け値なしで書かれたいわば起業の実録、チャレンジの過程を描いたドキュメントである。
プロとして仕事をする人は「ピン芸人と同じ」
本文にもあるように、「起業家は二度失敗したら退場。起業が成功したらその人はその事業の責任者になってしまう。これでは起業のプロは育たない。だから君はずっと企業のプロをやっていなさい」と、守屋実氏は元上司のエムアウト田口会長から提言されたという。その他、田口会長が同氏の独立の背中を押したことなど、信頼関係でつながった師弟関係を本書の中から読むことができる。
巻末の「不安定な中に飛び込む経験が結果として安定を呼び寄せる。」という言葉は私の印象に強い。
不安定な中に飛び込むとは、大変な勇気でありチャレンジである。
「プロとして仕事をする人は「ピン芸人と同じ」で、「自分は何者か」が明確になっている必要がある。」という考えのもと、守屋実氏は自己紹介文を月次で更新している。
これが更新できないということは、「今月はなにか抜かっていた」のである。
自己紹介文の月次更新は、チャレンジの結果として生まれる。
本文で紹介されている「「日次決算」と「週次決算」」という振り返り作業の月次作業が、自己紹介文の月次更新といえよう。
(後編に続く)