2025-01-01から1年間の記事一覧
いわゆる評論とは、「〇〇主義」や「××説」、「□□論」という引用やひな形が論調のベースに敷かれることが多い。しかし本作はそうではない。ドストエフスキーが書き記した言葉そのもの、言語そのものに迫り、彼の作品の本質に迫る、共感が多い文芸評論である。…
先日、とある教育関係のエッセイを読む機会があった。その中で、学費上昇の問題が興味深く取り上げられていた。 ここ60年近くの大学の授業料の推移統計によると、国立大学の年間学費は1万2000円(1965年)から53万5800円(2016年)に増加し、この間、実に44…
最近あまり聞かなくなってきたものに、「文化」という言葉がある。雑誌や書籍が花開いた昭和時代までには「出版文化」という言葉もあった。 そこでいま一度、忘れかけていた言葉である「文化」をめぐって考えてみる。 人間が生み出した心にかかわる成果Webを…
最近、人と読書会に関して話をする機会が増えてきた。そこで、「読書会で人と人がつながる」という意見を聞くことが何度かあった。なかには、読書会の中で縁結びが生じ、めでたくご結婚、という話も聞いた。 人と人がつながる手段が読書会であることに、どう…
先日、読書会メンバーの友人から次のようなことを耳にした。 人に読書会の話をすると、「怪しい集まり」「壺を売りつけられるのではないか」という声が上がってくるという。 1980年代、「セミナー」や「勉強会」と称してさまざまな勧誘が行われた。そこには…
2025年5月24日(土)、第51回目の読書会を飾った選書のテーマは「オカルト」である。 皆さんは、オカルトという言葉を聞いてどんなものをイメージするだろうか。不思議、怖い、得体が知れない、そんなものに関心がある人自体が気持ち悪い、などがあるだろう。…
伝説のストリッパーの晩年を取材した作品。メディアに潰された人間の分析、アウトサイダー社会分析、精神病理学的観点など、さまざまな視点からの思考が行間に織り込まれた作品。 体当たりで本作を取材上梓した作者の加藤詩子氏、現在は沖縄で精神カウンセラ…
7月27日、企業での導入が進む「GX」(グリーン・トランスフォーメーション)を解説した入門書、『GX実践の教科書』が発刊された。 当社、株式会社ツークンフト・ワークスが「X」(トランスフォーメーション)をテーマに企画を手がけて以来、4年ぶりの新刊。…
映画『アッカットーネ』の脚本文学。パゾリーニは世間の評価や一部の映画の評判、短い人生だけを見聞すると超異端の怪人だが、作品に接すると、まぎれもない天才アーティストである。そうした認識転換のきっかけは、映画通の友人からDVDを借りたり、四方田さ…
とてつもない大作。一度は読んでみたいと思いつつ、なかなか手を出す機会がなかった。今回一気に読ませていただいた。 この大作を5歳児に向けて要約するとどうなるのだろうか。いま話題のChatGPTに聞いてみた。 ---**「オリエンタリズム」ってどんな本?**「…
本作には、音楽家、グスタフ・マーラー(1860~1911年)を評し称えた、当時西洋で発表された関係者による雑誌記事や論考が便覧的に収録されている。 大きく分けて、マーラーの活躍時代、没直後、没後数十年の、3時代からの記事が掲載されている。 寄稿者は、…
今回は記念すべきキリ番の第50回目である。 皆さんは「アメリカ」という国の名前を聞いて、なにをイメージするだろうか。世代により国名から響くイメージが相当異なるはずだ。 たとえば戦中派は、「外国の象徴」だったり「カッコいい」「憧れ」のイメージだ…
OpenAIが、標準規格「MCP」(モデル・コンテキスト・プロトコル:Model Context Protocol)を採用すると発表し、世間を騒がせている。 MCPとはなんなのだろうか。簡単に言うと、複数林立するCahtGPTやGeminiなどのAIどうしを連結し、AIに問い合わせができる…
読書会などの場で議論している日渡健介さん。最近はIT企業との仕事も始めたとのことで、どことなく元気がないIT業界をなんとかしたい、という対話が増えてきた。 そこで、いまのIT業界や、日本全体の産業の停滞についてもう少し話しましょうと、対談を提案し…
当社株式会社ツークンフト・ワークスがプロデュースさせていただいた『ゼロからわかるITほんき入門+マンガ 生成AIのなかみ』の重版が決定した。本シリーズ第一弾の重版である。 著者の黒川なおさん、監修の橋本泰一さんの筆力やサポート力はもとより、マン…
当社、株式会社ツークンフト・ワークスがプロデュースさせていただいた新刊、『ビジネスリーダーのための意思決定の教科書』が読者から評価をいただき、発売後2週間で重版が決定した。 ◎2025年4月23日付の日本経済新聞に掲載された広告 企画立ち上げ当初は、…
昔、ドリフのコントで「もしものコーナー」というものがあった。「もしも直木賞作家の山口瞳が考古学者だったら」と設定したら、きっとこんな本が書かれるだろう。そういった示唆に富んだ名著だった。 なにより、私が生まれた昭和の葛飾立石についての物語が…
今回で第2回目を数えることができた「ピアニスト髙橋望によるブックトークと音楽」。2025年2月16日日曜日の午後、ピアノカフェ・ベヒシュタインにて、多くのお客さんに囲まれ、本と音楽のマリアージュが2時間展開された。(第1回目の模様はこちら) 今回ブッ…
『WTF経済 ―絶望または驚異の未来と我々の選択』を読みました。IT出版人ティム・オライリーの書下ろし。献本いただいてさっと読んで書架に入れてしまったが、改めて精読する機会があり、実に面白く、500ページを超える大著だが、作品にのめりこんでしまった…
当社、株式会社ツークンフト・ワークスでお手伝いさせていただいた『ゼロからわかるITほんき入門+まんが』シリーズ、書店で順調に売れているとの報告を版元から受けました。 以下、シリーズ第1、2弾がすでに発刊されており、第3弾は年内配本予定として計画…
皆さんはエドガー・アラン・ポーという名前を聞いて、思いうかべることはあるだろうか。 私は中学一年、ポーの作品が初の海外文学体験だった。きっかけは、当時本などまったく読まなかった私にあるとき、図書室にあったポプラ社の江戸川乱歩にのめり込んだ時…
※季刊『大学出版』第140号[2024年11月1日発行](大学出版部協会 刊)からの再掲載です。どんな読書会か?私たちは開催場所から、本会を「飯田橋読書会」と命名している。人とのつながりを通して未知の本と深くかかわろう、本の新しい可能性を探ろうと、編集…
2月16日(日)、今回で第2回を重ねるイベント「ピアニスト髙橋望による ブックトークと音楽」を開催します。 1月には浜離宮朝日ホールで「喜び、哀しみ、嘆き、祈り ゴルトベルク変奏曲 髙橋望によるバッハの世界」を、12年連続で行われた髙橋望さんによる、…
本日、2025年1月11日(土)をもちまして、当社株式会社ツークンフト・ワークスは創業8年目を迎えることになりました。 ここまで来られたのは、事業活動を支えてくださった著者様ならびに読者の方々、パートナー企業様、デザイナーさんなど出版プロフェッショ…