本とITを研究する

「本とITを研究する会」のブログです。古今東西の本を読み、勉強会などでの学びを通し、本とITと私たちの未来を考えていきます。

2020年に来る30万のIT人材不足に備え、ITエンジニア研修を考えるセミナーを開催します

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いま日本は、深刻な人材不足に見舞われている。
仕事があるのに人材が確保できずに倒産する企業もこれからは増える。
とくにIT業界は深刻である。

経済産業省が発表した「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によると、2020年にはビッグデータやAI関連の先端IT人材が4万8000人不足することが想定され、IT業界全体では実に30万人の人材不足という、深刻な状況が予測されている。

本づくりの現場から見えるエンジニア数の減少とスキル・意欲の低下
私は23年間エンジニア向けIT書籍の編集制作に携わってきたが、本づくりの現場からもエンジニア数の減少とスキルや意欲の低下が顕著に見て取れる。

まず、本を購入するエンジニアが激減している。これは出版不況という理由以外に、「本まで買って学ぶ必要はない」と考えるエンジニアが増えていることが大きな理由だ。「学習はWebで済ませる」というエンジニアとは実際に何人か出会ったことがある(とくにWeb業界は顕著)。

もう一つ、本づくりを通してエンジニアのスキルや意欲の低下が見て取れる点として、読者からの問い合わせの内容があげられる。以前は、ソースコードの誤りなど(あってはいけないことだが)、読者であるエンジニアが問い合わせ窓口から丁寧に教えてくれたものだ。また、感謝の言葉も多数いただいた。感謝の電話までくれる読者もいた。しかしいまでは、これらが極端に少なくなってきた(感謝の言葉はほぼ皆無)。

まさにこれらは、かつてのオープンソース・ソフトウェア開発の時代に起こった出来事だった。
「エンジニアたちと一緒に本を作ってきた」時代。
ひと昔以上前、2000年代なかばまでの出来事だった。

オープンソース・ソフトウェア開発時代を乗り越えたエンジニアと「教育」を考える
こんな時代、ソフトバンククリエイティブの編集者だった私と共に過ごしたエンジニアが、12月7日金曜に開催の「2019年新入社員育成対策・特別講座 正しいITエンジニア研修を考えるセミナー」を主催する、株式会社クロノスの方々だ。

この方たちは、LinuxやSpring Freamwork、Seasar2など、当時のオープンソース・ソフトウェアの最先端技術を熱意をもって追いかけ、調査し、技術情報を書籍にまとめ上げた。私は当時の新大阪の本社にお邪魔し、原稿を受け取りに行くことはたびたびだった。このときのメンバーの一人である大石宏一氏はいまでも同社で教育者として力を注いでいる(登壇記事:「AI(人工知能)ビジネスの可能性を考える」~第1回 本とITを研究する会セミナー)。他社に移られた方、独立され世界中を飛び回っている方、さまざまなエンジニアたちが書籍の執筆を支えてくれた。

私が今回のセミナーに期待していることは、このような時代をともに過ごし、日本のエンジニアリングの底上げに注力した同志に、今度は教育を通して、日本のエンジニアリングの底上げに貢献していただきたい、という点である。その考えのもと、私が主宰する「本とITを研究する会」がセミナーを協賛する運びになった。

教育の力が日本のエンジニアリングを救う
日本を襲うIT業界の人材不足や技術力の低下は、教育の力で歯止めができる。そして5年後には、日本ならではのITの技術力を手にしている。私はそう確信する。教育の力は、エンジニアの育成だけではなく、エンジニアとノンエンジニアとの間でビジネスの話ができる人材の育成や、児童にエンジニアマインドを育成するなど、各方面から日本のエンジニアリングの底上げに貢献できる。

21世紀、日本人はさまざまな天災や世界的な動乱に飲み込まれ厳しい状況に置かれている。しかし日本人には本来、明治維新から戦後の復興まで、奇跡的な変身と復活を遂げてきた胆力がある。そうした確信のもとで、日本のIT人材復興プロジェクトを支援していきたい。これが、本セミナーの根底に横たわっている考えである。

本とITを研究する会ともども、こうした活動に貢献することができたら誇らしい。そして、5年後10年後という、日本の未来を底上げする力になれたらうれしい。
セミナーの参加を通して、皆さんがそのお力になっていただけることを切に願っている。

12月7日(金)開催「正しいITエンジニア研修を考えるセミナー」参加登録ページ
https://goo.gl/YbDHVn

三津田治夫