◎日本のIT産業構造を図示する株式会社クロノスの大石宏一氏
12月7日(金)、株式会社クロノス東京本社セミナールームにおいて、同社大石宏一氏による「2019年新入社員育成対策・特別講座 正しいITエンジニア研修を考えるセミナー」が、本とITを研究する会の協賛により開催された。
新入社員の多くは「やりがい」を見出せないことにより意欲が落ち、ひいては早期退職に至ることを指摘。
同時に、新入社員教育において「優しさと甘やかしは違う」という線引きが大切であることも指摘。
現場の厳しさも伝えつつ、仕事達成の先にあるやりがいや、達成へいたる基盤となるチーム意識、他愛の意識を、新入社員教育時点で共有することが鍵であることを大石氏は強調した。
◎内製研修のメリットとデメリット
IT教育におけるヒューマンスキルの重要性を強調する中、仕事の姿勢としてあるべき「フォー・ミー」「フォー・アス」「フォー・ユー」の発想が見逃されがちなことを解説。
エンジニアは自分の好奇心から「フォー・ミー」思考で仕事を進めがちである。
そしてキャリアが積まれることでサービスの受け手を視野入れた「フォー・ユー」思考に成長する。
しかしここで見逃していけないのは、「フォー・アス」思考が間に入ることである。
つまり、チームや社会を視野に入れた「フォー・アス」思考を経たうえで、「フォー・ユー」思考に至ることが重要である。
◎新入社員研修のさまざまなスタイルを分類
IT教育の現場では講師の高齢化が進み、慢性的な教育者不足に悩まされている。
こうした現状において、2020年にきたる30万人のIT人材不足は、どのように解消されるのだろうか。
社内の内製教育だと、講師が現役エンジニアであることがほとんどなので、とくに繁忙期、生産性の低下に伴う売り上げ減少という、経営にとって大きな打撃を受ける。
◎政府の助成金制度の仕組みを紹介
政府の助成金制度を活用することで、実質コストゼロでIT教育を受けることもできるが、その他にも選択肢が増えることを望む。
たとえば、政府が率先してIT教育者を増やす政策をとることは、状況改善への期待が大きい。
また、eラーニングやIT書籍など、教材となるコンテンツへの積極的な投資、という政府の動きにも期待したい。
IT人材不足という国家規模の深刻な問題を、教育者の力やコンテンツの力で克服できることを、私は願っている。
関連記事
私が体験した23年前のITの「学び」
2020年に来る30万のIT人材不足に備え、ITエンジニア研修を考えるセミナーを開催します