
5月15日(金)の「バッハ・フランス組曲全曲演奏会」に先立ち、ブックトークと共に、バッハの以下楽曲が演奏された。
・フランス組曲第1番 ニ短調 BWV 812アルマンド
・フランス組曲第3番 ロ短調 BWV 814アルマンド
・フランス組曲第5番 ト長調 BWV 816アルマンド
・フランス組曲第5番 ト長調 BWV 816サラバンド

本会のレポートに代えて、髙橋望氏のSNSエントリからの文章を引用する。
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ブックトークで紹介した池谷裕二先生の『夢を叶えるために脳はある』(講談社)を通じて、ピアノを弾くということは近過去と現在と近未来の3つを感じること、ピアノがなぜボケ防止によいと言われるのか、などをお話ししました。
本の途中に出てくる「知好楽」〜知識がある人は、好きでやっている人にはかなわない。好きでやっている人は、楽しんでやっている人にはかなわない。〜はよい言葉です。
また、『世界認識の再構築~十七世紀オランダからの全体知』(寺島実郎著 岩波書店)は、大阪往復でほぼ読んでしまったくらい面白く、十七世紀のオランダから我々も得ることが多々あるという点で勉強にもなりました。
この本を読んで一番良いなと思ったのが、寺島氏がオランダの叡智に夢中になり、読者に「ちょっと聞いてよ、十七世紀のオランダは、こんなに面白いんだぜ!」という気持ちで夢中になって本を書いている、そのテンションが伝わってくる本だということ。
読書していて、テンションの高さをはじめて意識した本でした。
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今回も会場は満席。さまざまな声がSNSやアンケート回答から寄せられてきた。
次は、参加者TTさんのSNSエントリからの文章を引用する。
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無類の読書家で知られる髙橋望さんが、ご自身の感性、視点から本を紹介するイベントです。
20冊を超える本のことをここまで要約して語れるのは、パーティ参加者70名を自ら紹介するのと並んでもはや至芸と言ってもよいかもしれません。
私は、ドリアン助川さんの『プチ革命 言葉の森を育てよう』と『動物哲学物語 確かなリスの不確かさ』を読んでみたいと思いました。
トークの合間にはバッハの演奏もあり、知的探究と癒やしの相乗効果で満ち足りた時間を過ごしました。
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引用の最後は、参加者MHさんのアンケート回答から。
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読書が得意ではないので、2時間ほどのイベントで沢山の本を知ることができるこのイベントが毎回楽しみです。
『プチ革命』の名詞の森で「言葉はあなたを助ける。名詞の葉っぱを沢山集めてみよう。名詞は生きている」といった言葉はわかりやすいけれども深い言葉だと感じました。
メジャーでもなく公的な資格を取得せずマイナーな資格をいくつか持ち、「そんなことをして意味があるのか」と自問自答していましたが、それが私にとっては「名詞や好きなこと」で、それに関する単語を沢山集めることには意味があるということと結び付けてしまいました。
『動物哲学物語』では動物から見た人間社会、人間と自然の関係について知ることができました。
『愛×数学×短歌』は思わずうるっとくるものばかりでした。
『静寂の技法』では、「音は自分の芝を刈る時。音楽は隣人が自分の家の芝を刈ってくれる時」といったことに思わず納得。
『夢を叶えるために脳はある』は「心で感じる時間は記憶。どれもが正しくてどれもが間違っている」といった点が、自分の悩みを解決してくれるようでした。
『基礎研究者』の「人間の細胞は60兆個あるのに、“あなたの身体がわかる”というDr.のことはあてにならない』という点がとても共感できました。
『五感でわかる名画鑑賞術』の「画家の名前を見て鑑賞しない。これは有名だからといって観るのではなく感覚で観る」というのも、「クラシック音楽を聴く時に解説を読んでから聴くのは先入観を持ってしまうから好きではない」と思っていた自分を肯定してくれていると共感しました。
今回のブックトークでは、1つのものを一定方向から見るのではなく、さまざまな方向から見ることの大切さや、感覚が大切だと感じました。
私自身に大した肩書もなく成果も出せない中、それをずっと負い目に感じていました。
けれどもメジャーな資格を取得してきたりすることで、いろいろな人たちの視点で見ることができたのが無駄ではなかったと、少し自信が持てました。
そして、髙橋先生がピアニストとして演奏をする時に「本番でいつもと違う自分になるのが楽しい。そうなった時のために練習する。ゴルトベルク変奏曲の変奏から変奏への間が好き」といったことが、今回のブックトークの内容(パズルのピース)と合ったように感じました。
第4回を切望です。
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ブックトークで紹介された22冊の書籍一覧を最後に掲載する。
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・『バッハ ~文藝別冊』(河出書房新社)
・『日本文学全集02 百人一首 小池昌代 ほか』(河出書房新社)
・『幼年 水の町』小池昌代(白水社)
・『プチ革命 言葉の森を育てよう』ドリアン助川(岩波ジュニア新書)
・『動物哲学物語 確かなリスの不確かさ』ドリアン助川(集英社)
・『愛×数学×短歌』横山明日希(河出書房新社)
・『バッハ・古楽・チェロ』A・ビルスマ(アルテスパブリッシング)
・『ことばのために 詩と言葉』荒川洋治(岩波書店)
・『静寂の技法』J.ゾルン/L.マルツ(東洋経済新報社)
・『イヤー・オブ・ワンダー 365日のクラシック音楽』C.ヒル(みすず書房)
・『僕には鳥の言葉がわかる』鈴木俊貴(小学館)
・『世界認識の再構築~十七世紀オランダからの全体知』 寺島実郎(岩波書店)
・『夢を叶えるために脳はある』池谷裕二(新潮社)
・『ピカルディーの三度』鹿島田真希(講談社)
・『パリのパサージュ~過ぎ去った夢の痕跡』鹿島茂(中公文庫)
・『パリ万国博覧会~サン=シモンの鉄の夢』鹿島茂(講談社学術文庫)
・『ヘルシンキ 生活の練習』朴沙羅(ちくま文庫)
・『読んじゃいなよ!~明治学院大学国際学部高橋源一郎ゼミ』高橋源一郎(岩波新書)
・『基礎研究者』 永田和宏、大熊良典 角川新書
・『日本の「食』が危ない!生命40億年の歴史から考える食と農』中村桂子(幻冬舎新書)
・『想定外を楽しむ~火山学者が教える1000年に一度の時代の生き方』鎌田浩毅(幻冬舎新書)
・『五感でわかる名画鑑賞術』西岡文彦(ちくま文庫)
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楽譜から生まれた音楽と、文字から生まれた言葉が化学反応を起こす、稀有なイベント。
その体験の一部を、本ブログをもって共有することができたらうれしい。
楽譜から生まれた音楽と、文字から生まれた言葉が化学反応を起こす、稀有なイベント。
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三津田治夫