本とITを研究する

「本とITを研究する会」のブログです。古今東西の本を読み、勉強会などでの学びを通し、本とITと私たちの未来を考えていきます。

コラム/エッセイ

『コンビニ人間』を読んで考えた「自分らしさ」を追求する手段としての「教養」と「感性」

このごろよく使われるキーワードに「自分らしさ」がある。2016年に第155回芥川賞を受賞し、その後文庫化され累計100万部を突破したベストセラー『コンビニ人間』。この作品を読んだ人は本ブログ読者にも多いはずだ。 主人公は30代半ばの独身アルバイト女性。…

「ボヘミアン・ラプソディ」と「ゴルトベルク変奏曲」が見せてくれた、「体験」を進化させるテクノロジーの力

映画「ボヘミアン・ラプソディ」が大ヒットで、空前のクイーンブーム到来と言われている。第91回アカデミー賞で5部門にノミネートされ、1月時点で累計興行収入100億4168万7580円、観客動員は727万904人に到達したそうだ。クイーン世代の中高年に限定されず、…

バウハウスを訪ねる旅(後編) ~ライプツィッヒ~

(前編から続く) ライプツィッヒバウハウスを訪ねる旅の最終目的が、この、ライプツィッヒだった。ライプツィッヒはバウハウスにゆかりの深い街、というわけではないが、この街に住む友人の母親がバウハウス作品のコレクターであり、生家がバウハウスの建造…

バウハウスを訪ねる旅(前編) ~ヴァイマール/ベルリン/デッサウ~

今年2019年は、ヴァイマールでバウハウスが設立されてちょうど100周年。これを記念して、本サイト「本とITを研究する」にて、2011年にバウハウスを訪ね歩いた際のレポートを二度に分けてお届けする。 1世紀前のクリエイターたちが、どのような環境で現代芸術…

新年、あけましておめでとうございます。

新年、あけましておめでとうございます。 今年も、新しい一年がはじまりました。コミュニティ「本とITを研究する会」が2017年に立ち上がって一年半が経過。運営会社の株式会社ツークンフト・ワークスは1月11日づけで起業1周年を迎え、二期目に入ろうとしてい…

私が体験した23年前のITの「学び」

30万人のITエンジニア不足が予測される、2020年のIT業界問題をご存じの方は多いはずだ。12月7日(金)、その課題解決につながるセミナーを実施する。 私自身もこれには特別な問題意識を持っている。ちなみに30万人がどんな数かというと、私が住む埼玉県越谷…

2020年に来る30万のIT人材不足に備え、ITエンジニア研修を考えるセミナーを開催します

いま日本は、深刻な人材不足に見舞われている。仕事があるのに人材が確保できずに倒産する企業もこれからは増える。とくにIT業界は深刻である。 経済産業省が発表した「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によると、2020年にはビッグデータやAI関…

台湾で考えたメディアのこと、日本の「本」のこと(後編)

(前編から続く) 台湾のテレビを見ながら日本のメディアのことを考えていると、ふと、日本の出版のことが思い浮かんだ。出版業界も視聴率を求めるテレビ業界と同様、経営難で生き残るために必死で、短期で収益化できる本が評価される傾向が日増しに高まって…

台湾で考えたメディアのこと、日本の「本」のこと(前編)

9月27日から4日間、高雄経由で台北のITコンベンション「Taiwan Innotech Expo」と「Discover Advanced Trends in E-commerce 2018」に仕事で行ってきた。 ◎超高層ビル「台北101」を直下から撮影 超高層ビル「台北101」に隣接する台北世界貿易センターで開催…

ディープブルーはなぜ勝ったのか?

しゃべり言葉に書き言葉、言葉にはいろいろあり、いずれも人間同士が考えを相手の頭脳に送り込むための媒体が言葉だ。人間同士の会話にはこうした言葉が使われるが、人がコンピュータに対して考えを送り込むために使う言葉は、いまのところ、プログラミング…

「ブラックボックス」のジレンマ ~AI時代に感性を磨く大切な意味~

近ごろはどこに行くにもiPhoneのGoogle Mapを利用している。行き先の住所や名称をインプットすれば自分の位置がマッピングされ、リアルタイムで行くべき方向を画面や音声で指示してくれる。大変便利だ。そこで最近気づいたことは、Google Mapを利用するよう…

AI自動運転に関する一つの提案 ~現代の産業革命を支える巨大な要素~

AI自動運転のことを考えていて、ずいぶん昔、工場にロボットが大量導入されたころ、ロボットが暴走して人間にけがを負わせたり殺してしまったらどうするのかという議論がさんざんとなされていたことを思い出した。しかし工場のロボットとAI自動運転の問題と…

2020年から必修化されるプログラミング教育への意見 ~なにを主眼に見据えるべきか?~

2020年から子供たちにプログラミング教育が実施される。この計画が果たして日本の教育に根付き、そして日本は欧米列強と並んでソフトウェア開発立国となることができるのだろうか。そして、日本がすべきプログラミング教育は、どこに主眼を置くべきか。これ…

本とITを研究する会、2017年の振り返り・まとめ

2017年も残すところあとわずかになりました。仕事納めや大掃除など、師走のお忙しい時期を過ごされていると思います。7月にコミュニティが発足して、12月でちょうど半年が経ちました。この半年、大変お世話になりました。無事、年を開けることができそうです…

第3次人工知能ブームは、私たち人類に「問い」を投げかけてくれた

第3次人工知能ブームの与えた貢献は、人類の未来の可能性や利便性を高めるといった期待以前に、私たち人類に「問い」を投げかけたという点にある。 つまり、「知性ってなに? 人間ってなに? 身体ってなに?」と、AIは、人が自問自答し、人が哲学的になるき…

日本ロボティクス黎明期の記録①

2015年、劇作家の平田オリザさんがpepperのプロジェクトにかかわられた件を東京藝術大学や豊岡市の関係者に取材し、記事にしました。 志賀直哉にまつわる古風な温泉にpepperとは、なかなか風流なものです。pepperプロジェクトの背景やその未来まで、本ブログ…

セミナー/イベントは、共鳴と化学反応が起こる貴重な場 ~モーツアルトから得た考察~

8月26日(土)に、本とITを研究する会第1回記念セミナー「AI(人工知能)ビジネスの可能性を考える」(https://goo.gl/74tiZf)を開催するが、それを踏まえて、ライブイベントにはどういった意味と価値があるのか、以下、考察してみた。 以前、エーリッヒ・…

原爆投下日にあたり、ビキニ環礁で被爆した大石又七さんの講演メモ

72年前、1945年の明日、8月6日、午前8時15分、核兵器が人類に初めて使われた。広島に原爆が投下された日時である。 それから9年後の1954年、ビキニ環礁で操業中の漁船、第5福竜丸が米軍の核実験に巻込まれ被爆した。 その模様と後日談は『ビキニ事件の真実――…

AIは労働「道」を生み出す

「AIは人間の労働を奪うか?」という恐怖感は、産業革命の時代に労働者たちが蒸気機関の機械を打ち壊した恐怖感に似ている。現代においては、奪う、ではなく、「代替する」が正しい表現だろう。 AIにより人間の労働時間が減少すれば、ベーシックインカムのよ…