本とITを研究する

「本とITを研究する会」のブログです。古今東西の本を読み、勉強会などでの学びを通し、本とITと私たちの未来を考えていきます。

台湾で考えたメディアのこと、日本の「本」のこと(前編)

9月27日から4日間、高雄経由で台北のITコンベンション「Taiwan Innotech Expo」と「Discover Advanced Trends in E-commerce 2018」に仕事で行ってきた。

超高層ビル台北101」を直下から撮影f:id:tech-dialoge:20181110191750j:plain

超高層ビル台北101」に隣接する台北世界貿易センターで開催され、地元企業を中心に、世界中からAIやロボティクス、IoTの展示など、多数の企業が出展していた。

◎「Taiwan Innotech Expo」の入り口付近f:id:tech-dialoge:20181110191841j:plain

◎「Discover Advanced Trends in E-commerce 2018」の会場内f:id:tech-dialoge:20181110191919j:plain

コンベンションにしては日本のAIバブルのような騒がしい雰囲気はなく、地に足のついた技術を中心におとなしくブースが構えられていた。

◎「Discover Advanced Trends in E-commerce 2018」の会場ブースf:id:tech-dialoge:20181110192035j:plain

ホテルに戻ってテレビの電源を入れると、政治や経済のニュースが終始放映されているのが、とても印象的だった。

日本ではここ20年ほどで、芸能人の息子が覚醒剤やった、相撲の話など、政治経済以外のニュースが露出される割合が日増しに増えてきた。
芸能やスキャンダルも娯楽のニュースとしてもちろん必要だが、言い換えるとこれら要素は、政治や経済のニュースを飽きさせずに見せるための呼び水でもある。

台北の旧市街「迪化街」(てきかがい)f:id:tech-dialoge:20181110192120j:plain

◎迪化街南の大通りf:id:tech-dialoge:20181110192220j:plain

テレビは娯楽の道具であると共に報道の道具。台湾でこれを改めて感じた。報道で政治経済を知ることは、人間にたとえると、自分自身の健康状態を知ることに似ている。

娯楽の提供に偏りすぎてしまったいまの日本のテレビ業界は、経営難で視聴率を稼ぐことが生き残りの手段となった結果である。しかし、国民が報道を通して自国の健康状態を知る機会が減ることで、日本の明日ははたして大丈夫なのかと、いささか不安になった。

台湾には、中国や日本との歴史や国交のこと、国連に加盟していないこと、兵役があることなど、日本人には知り得ないさまざまなお国事情がある。とはいえ、この報道格差には驚きを隠せない。

後編に続く)

三津田治夫