8月某日、今後の地方分散社会を視野に入れ、東京近郊地方での生活とはどういうものかを知るため、一泊でつくばの田舎暮らし体験を試みた。
体験取材ということで一日目はいろいろと考えながら行動していたが、二日目は「楽しい」という純粋な体験・印象ばかりが残った。
先導してくださったのは株式会社C60代表の谷藤賢一氏。
秋葉原からつくばエクスプレスで40分から広がる田舎の世界は、なんともいえない異郷の風景である。
居住している谷藤氏は慣れてしまったというが、慣れすぎないよう、異郷感覚を楽しむことを意識しているとおっしゃっていた。
朝から駅に集合し、みらい平駅前の不動産屋で物件を見たり、大型ショッピングセンターを見学したりなど、田舎と都会が混在した不思議な感覚にいちいち驚いていた。
谷藤氏が「こども社会塾」の教室とする古民家を訪問。
宿泊もできるらしい。
古民家の裏側はカフェにするという。現在はそのためにDIY建築中であった。
みらい平の駅前には巨大なショッピングセンターがあった。
内地に移動すると昭和の香りが漂うゴルフクラブがある。
牛久沼の岬には弘法大師が訪れた由来のあるお寺が建立。
岬のほとりから、牛久沼の対岸を眺めてみた。
岬の食堂で注文した串カツ。実に美味だった。
牛久沼には人間を恐れない白鳥がたくさんいた。意外にでかい。
谷藤氏のご自宅兼セミナースペースで、スローライフセミナーを拝聴した。
セミナースペースには薪ストーブが備え付けられていた。
ストーブにくべる薪の、薪割を体験した。その模範演技を実施する谷藤氏。薪がきれいに割れたときの爽快感といったらなかった。
ご自宅の庭には巨大な天体望遠鏡が。土星の輪がくっきりと見えるらしい。残念ながら雨天にてこれを見ることはできなかった。
近所の雑木林にて。樹液に群がるカブトムシとクワガタ。甲虫マニアには垂涎の光景である。
木からはハチの巣がぶら下がっていた。
おそらく生まれたばかりのカブトムシ。機敏な動きで、元気に木にしがみついていた。
秋の味覚、栗がたくさんなっていた。
公営のキャンプ場が充実。残念ながらコロナ対策で入場には制限がかかっていた。
野菜の直売場。ここが実に安く、おいしい。
つくばの大きな魅力は、食べ物がうまいことである。
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新しい生き方と働き方が模索される昨今、都会の特性と田舎の面白さを選びながら生きていける。そんな強みも感じた。
そもそも田舎は土地が安いし、食べ物がおいしい。
東京という魅力が日増しに減退する昨今、さまざまな生活圏を視野に入れるのは、地方分散社会という未来に向けて必要な考え方だ。
田舎の風景は、テレビやインターネットでいくらでも手に入る。
重要なのは、体で感じること。
ブルース・リーの映画ではないが、「考えるな、感じろ」、である。
感じるとは、味わうことではないか。
人生の味わいという、お金や時間で換算できなかったものが、この、つくばの一泊取材を終えることによって、これからの社会の新しい価値として生まれる予感がしてきた。