本とITを研究する

「本とITを研究する会」のブログです。古今東西の本を読み、勉強会などでの学びを通し、本とITと私たちの未来を考えていきます。

秋の虫から聞こえた、命の循環と環境のこと

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草むらでは秋の虫が元気に鳴いている。
このところ、環境のことや健康、食べ物のこと、世界のことを考える人は増えてきたと思う。
健康、食べ物のことは、10年以上前に医師たちと書籍をつくっていた関係から、よく調べたし、いまでも個人的関心は高い。
とくに食べ物のことは、最近は考えているだけでもなぜか幸福感に包まれる。「生きることは食べること」ともいうが、食べることは健康の大切な指標でもある。

ふと、虫の鳴き声を聞きながら、「この虫の鳴き声は、5年後、もしかしたら環境破壊で聞けなくなるかもしれない!」と思い、ぞっとした。
子供のころ(1970年代後半)、毎年夏、九十九里海岸でホタルをとるのが楽しみだった。
草むらから飛び立つホタルを手で払い、落ちてきたのをとるのだ。
どんな仕組みで光るのか、生きたホタルをつまみ上げながら、好奇心から小さな命の仕組みを調べたものだ。
そのホタルが、ある年を境に急にいなくなった。
この記憶が忘れられない。
九十九里海岸に流入する河辺から、ホタルが一匹もいなくなったのだ。
同時に、小川に這っていた大きなカニたちも、消えてしまった。
さらに、模型ボートを浮かばせて遊んだ小さな池も駐車場になってしまった。
子供心に、これは大きなショックだった。
これは1年間の出来事だった。
思い出した瞬間、いまの環境のことと食のこと、世界のことが、一気につながってきた。

「東西冷戦以降の世界ってどうなっているのか」と、長年もやもやとし、いまでも主義や思想、武力が世の中を支配しているものだと思いこんでいた。それはその通りなのだが、いまは世界がさらに複雑化した。
一年前、偶然「畜産業の高度産業化の反省」というキーワードに世界の視線が向かっていることを知る機会があった。
いまの食肉や穀物(食肉の餌)は、生産性向上と収益を第一に、地球や人体の安全を二の次に、大量生産されているという仕組みが指摘されている。
この仕組みを圧力団体への献金を通して保持し、地球や人体を犠牲にして収益化を図っている大手企業が多い。
と、米国企業を名指しで指摘するアメリカのメディアが出てきていることを知った。

生産性と収益性向上のために穀物には遺伝子操作が加えられている。
発がん性物質を含んだ農薬も使用されている。
食肉生産にも発がん性物質が使用されている。
食の安全への指摘は、日本で何十年も前から何度も繰り返されてきた。
もはや世界が見過ごせない深刻な時代に突入したことを万人が認識し始めた。
それは、さまざまな意味で、今回のコロナ禍が影響している。
自他の心や人との関係、仕事やお金、命のことなど、いままでは頭で考えていたことを、言葉ではなく体で考える時代になった。
私自身もこれからも考え、動き、働きたい。
5年後にも、そしていつまでも、元気な秋の虫の声を聴きたい。