本とITを研究する

「本とITを研究する会」のブログです。古今東西の本を読み、勉強会などでの学びを通し、本とITと私たちの未来を考えていきます。

小説作品から日本仏教のルーツを探る:『鳩摩羅什 ~法華教の来た道~』(立松和平/横松心平著)

鳩摩羅什(くまらじゅう)という書名を目にして衝動的に買った一冊。副題にもあるように、この方は日本に法華経をもたらした中国の高僧で、西遊記でおなじみの三蔵法師の一人である。 小説は2つの物語から構成されている。一つは現代。病苦から世をはかなみ…

演じられることの少ない名喜劇:『こわれがめ』(クライスト、岩波文庫)

クライストの書いた喜劇とはどんなものだろう。そんな疑問を持ちながら読んでみた。 さすがクライストだけあって、喜劇とはいえ辛口。割れてしまった甕を巡る裁判を通していろいろな事実が判明し、そこにオチがつく。クライストの作品の中ではわかりやすい世…

音楽や文章との感動的な出会いは、年齢とともに突如やってくる

近頃はマーラ―ばかりを聴いている。学生時代は交響曲第1番『巨人』は少し聴いていたが、それ以外はどうも肌に合わなかった(ちなみに1980年代、世紀末に迫ることを機に「空前のマーラーブーム」というものがあった。その影響で外発的に聞いていた)。が、最…

投票会場で見た民主主義の風景

新型コロナウイルスや経済問題など、世の中に課題が渦巻く中、10月、衆議院選挙が行われた。駅のコンコースに臨時設置された期日前投票会場に足を運んだ。そこは、いままでに見たことのない行列だった。国民の関心の高さがうかがえるとともに、いままでの選…

『ゼロから理解するITテクノロジー図鑑』の中国語繁体字版見本が到着

『ゼロから理解するITテクノロジー図鑑』の中国語繁体字版の見本が到着いたしました。 監修させていただいた本作が海を越えたことは感無量です。 版型はB5。大きくなりました。フォントは「字型」、ディープウェブは「深網」と訳されています。台湾において…

『ゼロから理解するITテクノロジー図鑑』の動画取材を受けました

「本TUBE」の取材を受けました 先日、「本TUBE」の取材をいただきました。紹介書籍は、監修させていただいた『ゼロから理解するITテクノロジー図鑑』です。懐かしのITガジェット紹介なども交え、楽しく、本書の魅力とITをめぐるお話をさせていただきました。…

第35回・飯田橋読書会の記録:『現代経済学の直観的方法』(長沼伸一郎 著)~「縮退」の停止した多様な世界はどこに?~

毎回連続したテーマを取り扱わないことをモットーとした飯田橋読書会。前回の『孔子伝』(白川静著)から変わって、今回は『現代経済学の直観的方法』(長沼伸一郎 著)を取り上げる。世界的に経済が混乱をきたすいまだからこそ、経済学に取り組むことには意…

19世紀の哲学者がまとめたビジネス書の原典:『法の哲学』(I/II)(ヘーゲル著)

大学時代、授業の課題図書として本書を出され、著者の意図するところがさっぱりわからずに挫折した。20代、サラリーマンになりたてのときにも再挑戦。それでも本書の意図がほとんどわからなかった。50代になり、やっと、ようやく、ドイツの哲学者ヘーゲルが…

草加せんべいをめぐる小さな文化の物語

◎草加宿を北に抜けた場所に設置された松尾芭蕉像地元の名菓に草加せんべいがある。草加は17世紀に栄えた日光街道二番目の宿場町だ。俳人の松尾芭蕉が訪れたことでも知られており、当時は戸数120軒ほどからなる小さな宿場町だった。宿場では余った米やまんじ…

秋の虫から聞こえた、命の循環と環境のこと

草むらでは秋の虫が元気に鳴いている。このところ、環境のことや健康、食べ物のこと、世界のことを考える人は増えてきたと思う。健康、食べ物のことは、10年以上前に医師たちと書籍をつくっていた関係から、よく調べたし、いまでも個人的関心は高い。とくに…

個人が事業の「ファン」として投資する、クラウドファンディングを取材

日経ムック『DXスタートアップ革命』の事例⑨で紹介された日本クラウドキャピタルが、渋谷東急本店に「FUNDINNO SHOP」を出展されました。出展最終日の9月20日(月)、取材にお伺いしました。 ◎案内してくださった日本クラウドキャピタルの向井純太郎CMOと中…

この夏の、もう一つの敗戦体験 ~第五福竜丸展示館にて~

毎年夏になると、東京新木場(夢の島)にある第五福竜丸展示館に来る。きっかけは、2011年6月に埼玉県草加市の講演で偶然お会いした、第五福竜丸の乗組員として被ばくされた大石又七さんとの対話だった。講演での質疑応答や講演後の名刺交換で20分ほど話させ…

第34回・飯田橋読書会の記録:『孔子伝』(白川静著) ~乱世に現れた反逆の聖人~

皆さんは孔子というと、どのようなイメージを持たれているだろうか。渋沢栄一の『論語と算盤』はテレビドラマの影響で最近よく話題に上がるが、孔子の名前はその『論語』の原作者として第一にあげられる。 「論語読みの論語知らず」のことわざでも『論語』は…

研修課題図書として取り上げた『学習する組織』(ピーター・センゲ著)

知活人で実施したつくば1泊リーダー研修の課題図書は『学習する組織』(ピーター・センゲ著)でした。仏陀、孔子、ソクラテス、キリスト、マホメット、道元、カント、ヘーゲル、マルクス、フロイト、ユング、レヴィ・ストロース、マリノフスキー、デリダ、な…

つくば1泊リーダー研修2日目、JAXAにて科学の粋に感動

研修2日目は、知活人のメンバーたちとJAXAの施設と展示を視察。屋外に展示されたロケットの巨大さに圧倒されました。 接近するとビスやリベットが精緻に打ち込まれており、これほど巨大な精密機器はほかになかろうと驚いていました。 技術は日進月歩で、ハー…

つくば1泊リーダー研修にてセミの羽化と生命の神秘に遭遇

パートナー企業の代表たちと、つくばにて1泊リーダー研修を「知活人」として行ってきました。1日目は視察と、『ティール組織』を題材にディスカッションとランチミーティングを終え、フィールドワークを実施。弘法大師に由来するといわれる湧き水近くで、羽…

日経ムック『DXスタートアップ革命』に関連し、守屋実さんと「経営者JP」井上和幸さんの対談収録を実施

日経ムック『DXスタートアップ革命』に関連し、守屋実さんと「経営者JP」の井上和幸さん、記者の内藤風香さんとの対談収録を実施しました。予定時間をオーバーしながらも、リクルートの話題からはじまり、起業や事業にまつわる終始意義深いお話が聞けました…

第33回・飯田橋読書会の記録:『ヴェニスに死す』(トーマス・マン著) ~「パンデミック、ツーリズム、美少年」の謎を解く~

ヴェニスといえば、ゴンドラが行き交う水の都、世界中のツーリストが集う名観光地、ユダヤ商人がヒロインのポーシャにまんまとやられるシェイクスピア作品の舞台であったりなど、非常にコンテンツ力の高いイタリアの土地である。 イタリアはドイツのアーティ…

日経ムック『DXスタートアップ革命』の、見本が届きました。

守屋実さん監修の日経ムック『DXスタートアップ革命』の、見本が版元から届きました。書店では7月8日(木)からお買い求めいただけます(税込み1980円)。 構想からアウトプットまでちょうど半年。DXという時代物の題材を、オフライン媒体において内容の濃さ…

7月発売の『DXスタートアップ革命』(日経ムック)、校了しました。

『DXスタートアップ革命』(日経ムック)のカバーデザインがまとまりました。本作の色校を持たれているのは、ADの大橋義一さん。ブックデザインの細部すべてにわたり、ご尽力いただきました。神は細部に宿るを実現していただきました。 そして本文もデータの…

7月刊行『DXスタートアップ革命』、ゲラがまとまってまいりました!

7月刊行の守屋実さん監修の日経ムック作品『DXスタートアップ革命』のゲラがまとまってまいりました。総勢12名の編集制作チームにて、鋭意進行中です。編集校閲結果はPDFに乗っていますので、実際にはゲラまっ赤っ赤です(汗)。 5月にロケットスタートを果…

DX時代のITエンジニアのための、キャリアづくりの考えるヒント ~要素技術とエンジニアリングの間に見えたもの~

先日、某IT人材企業の代表にお会いし、業界のことやエンジニアのキャリアのあり方などについて話を伺い、さまざまなキーワードを手にした。その中でもとくに、以下3つが印象に残った。 ・要素技術は時代とともに消える・エンジニアリングそのものは消えない…

読書ノート:『群衆と権力』(上・下)(エリアス・カネッティ著)

今回は、書評のベースとなる、本文からの抜粋などによる「読書ノート」をまとめてみた。20世紀の奇書『群衆と権力』全巻の外観を共有できたら幸いである。パラノイア患者あるいは権力者以上に群衆の諸性質をはっきり見抜く眼を具えている者はたしかにいない…

DXと問い、そしてアジャイル

先日、農林水産省が「「農業DX構想」の取りまとめについて」を発表した。「データ駆動型の農業経営により消費者ニーズに的確に対応した価値を創造・提供する農業(FaaS(Farming as a Service))への変革を進める」とし、日本古来の仕事である農業の世界に…

『ゼロから理解するITテクノロジー図鑑』の中国語簡体字・繁体字版の翻訳出版版権が販売決定

プレジデント社様から、『ゼロから理解するITテクノロジー図鑑』の中国語簡体字・繁体字版の翻訳出版版権が販売された、とのご連絡を受けました。この場を借りて、この企画に携わっていただいた関係者の方々に、厚くお礼申し上げます。これをもって近々、中…

私たちの生活を担う、「知足」の感性磨き

先日、作家の髙坂勝氏のWeb講演に参加してきた。同氏は千葉県匝瑳(そうさ)市で有機農業や再生可能エネルギーの普及にライフワークとして取り組まれている方である。延べ3時間におよぶスピーチと質疑応答は、まだまだ時間が足りないほどの、あっという間の…

能楽師、森澤勇司氏との世阿弥談話clubhouse会議、大盛況

3月23日(火)14時からのclubhouse、総勢38人にお集まりいただき、大盛況でした。改めて、ご参加に感謝いたします。イベントの会議をオープンで実施するというのは初の試みで、とても良い体験になりました。世阿弥の話が盛り上がりすぎて、会議なのか本編な…

『ゼロから理解するITテクノロジー図鑑』のDMを、全国の専門学校に発送いたしました。

今年も、『ゼロから理解するITテクノロジー図鑑』(プレジデント社刊)のDMを作成し、当社から全国の専門学校に送付させていただきました。4月からは都内IT系専門学校にて、教科書採用が入るとの連絡を受けました。大変ありがたいことです。深く、感謝いたし…

2月24日(水)、プロジェクト「知活人」のWebサイト・ローンチイベント、無事終了

2月24日(水)、プロジェクト「知活人」のWebサイト・ローンチイベント、無事終了しました。http://www.chi-iki-jin.jp/ 皆様お忙しい中、活発な意見交換とともに、たくさんのご参加を、ありがとうございました!また、たくさんの祝辞もいただき、深謝いたし…

ウィズ・コロナの物流から見えてきた、仕事・価値・「個」の本質【第2部】 ~キーパーソン・インタビュー:エルテックラボ代表、菊田一郎氏~

< 第2部:標準化、共有化、DX >前回は仕事の自動化と機械化、そこから見えてきた仕事とAIの本質について語っていただいた。また、ジャーナリストとしての菊田一郎氏の来歴について興味深い自分史をお聞かせいただいた。今回はその続編として、第2部をお届…